劇場公開日 1989年12月23日

「◇アメリカ音楽の街と異邦人」ミステリー・トレイン 私の右手は左利きさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5◇アメリカ音楽の街と異邦人

2024年3月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

 物語の舞台はテネシー州メンフィス。綿花の集散地として発展する過程から、奴隷市が開かれた歴史背景もあって、今でも人口の約6割をアフリカ系アメリカ人が占める街です。その土壌が様々なジャンルのアメリカ🇺🇸音楽を生み出して、音楽産業が栄えました。エルヴィス・プレスリー、カール・パーキンス、マディ・ウォーターズ、ロバート・ジョンソン、B.B.キング、ハウリン・ウルフなど、この街をルーツとする伝説のミュージシャンは多数です。

 そんなアメリカ音楽の聖地が持つ霊気のようなものこそ、この物語のエッセンス。ソウルやロックンロールを味わい深く醸成してきた街ですれちがう人々の群像劇が、オフビートなグルーヴを醸し出します。
第一編(ファー・フロム・ヨコハマ)
日本から観光にやってきたロカビリー好きのいわゆる「バカップル」街を訪れることで二人の愛は深まったか?
第二編(ア・ゴースト)
空港での手違いで不意にメンフィスに逗留することになったイタリア人女性。メンフィス所縁のエルヴィス・プレスリーの幻影。
第三編(ロスト・イン・スペース)
自暴自棄になった男の人生の歯車が狂い始める一夜。

 アメリカポピュラー音楽で歌い上げられてきたフィーリングの根幹には、社会の周縁に位置する黒人音楽の魂(ソウル)が底流しています。そのリズムのうねりを異邦人の視点を用いて立体化させています。アメリカ🇺🇸、それは折り重なる移民たちの心の声の集積であることに気付かせてくれるような作品でした。

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私の右手は左利き