劇場公開日 1989年10月7日

「日米間の価値観の違い」ブラック・レイン shinさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5日米間の価値観の違い

2022年2月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

もう何年も前の初見のときは、マイケルダグラスかっけえー、その脇を固める高倉健もアンディガルシアも松田優作もなかなかやるなー、と出演者目当てでしか鑑賞していませんでしたが、今回久しぶりに観ましたところ、やはりそれなりにメッセージ性のある映画でした。

個を主張するアメリカ人と組織に重きを置く日本人という対立構造を作りながら、それぞれが歩み寄るという展開。やはり最後はアメリカ映画ということもあり、「やっぱり個で動いても結果だせちゃうだろ?」ってな価値観を押し付けられたような展開でしたが、そこはそれぞれの出演者の名演で、すがすがしいエンディングとなりました。

ストーリー的にはやくざ同士の対立関係の背景がイマイチ分かりずらく、佐藤の登場シーンから偽警察に引き渡すまでの過程が少々強引過ぎるような印象でした。

公開当時リアルタイムで観ていませんでしたが、この当時はおそらく日本の文化は米国の一般人にはさほど伝わっていなくて、日本といえば、FujiyamaだのGeishaだの、言葉だけでしか知らなくて、日本の街並みなどにかなり不思議な感覚を覚えたのではないでしょうか。とは言え、この映画では、あまり日本を異質な国として描かれていなくて、大袈裟に揶揄したり、皮肉っているわけでもなく、客観的に捉えられている印象でした。

松田優作の作品は映画もドラマもあまり観たことが無いのですが、この映画では、表情に鬼気迫る迫真のものがあったものの、役柄なのかセリフが少なく、演技力については “?” でした。若くして亡くなられたので、過大評価されているような気がしないでもありません。

高倉健、松田優作ばかりが目立ちますが、若山富三郎、神山繁、國村隼などなど、名だたる俳優さん揃いで、それぞれの好演が、この映画を更に盛り上げていてくれたと思います。

今では日米間の文化の違いも浸透し、お互いの違いにさほど驚くこともないかもしれませんが、この当時の情報量でこれだけ骨太なストーリーを作り上げたことは、素晴らしいと思います。

Ichi