ファンタスティック・フォー 銀河の危機 : 映画評論・批評

2007年9月11日更新

2007年9月21日より日劇1ほかにてロードショー

シルバーサーファーには流線形の美学が必要なのだ

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星々の白い光が点在する広大な宇宙空間、その中を自在に飛翔するのは、サーフボードに乗った銀の裸身、シルバーサーファー。このスペースエイジでサイケデリックなビジュアルイメージが、このキャラの真髄。コミック初出は66年。アポロ計画の非公式1号打ち上げの年、ピンク・フロイドのファースト・アルバム「夜明けの口笛吹き」リリースの前年に、時代の空気をたっぷり吸って誕生したのが彼なのだ。74年のジョン・カーペンター監督作「ダーク・スター」の宇宙空間でサーフィンする乗組員も彼のファンに違いない。

その銀色の肌はすでに「ターミネーター2」の前例もあり心配無用。骨格はコーカソイドが基本で、声はアフリカン・アメリカンのローレンス・フィッシュバーンという、人種を超越した設計も彼の銀色の肌に相応しい。

惜しいのは動きの演出。ここでティム・ストーリー監督が最優先したのは「速度」だと思われる。確かに速い。そして観客がまず求めるのは速度だという判断もおそらく正しい。だが、速度を最優先したとき、その運動は直線となり、サーフィン特有の宇宙の法則に寄り添う優美な運動曲線は失われてしまうのだ。それが残念。サーフボードの形と同じ流線形の美学が必要なのだ、このキャラには。

平沢薫

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