白い花びら
6月24日より、ユーロスペースほかにてロードショー
カウリスマキ・弟、古典メロドラマを“無声”で再現

アキ・カウリスマキの映画が、どれも「悲惨なんだけど、妙におかしい」のはなぜでしょうか。「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」でも「マッチ工場の少女」でも、ワケのわかんない格好をした無骨な男たちや、笑っちゃうくらい人生のドツボに陥ったりする女の子を眺めながら、われわれは「ここまでする?」なんて突っ込みを入れて、彼らを嘲笑する。そして同時に、妙に救われたような気持ちになる。何というか、今時珍しい“ボケ”てくれる映画なんですね。
サイレント仕立ての最新作「白い花びら」もまた、実にいい“ボケ”味が楽しめる佳作です。田舎者の夫婦が都会の伊達男に誘惑され、悲劇的結末を迎えるという筋立ては、サイレントにぴったりの単純なメロドラマ。まあ、サイレントという手法自体が、カウリスマキの場合、“ボケ”なんですね。いかつい夫婦が手を取り合い飛び跳ねて、“幸福”を表現するシーンあたりでは、「ここまでする?」と突っ込みたくなるでしょう。でもパロディにしないところが、この人の品格。誘惑されるカティ・オウティネンのむっつり顔を見守っていると、やはりありきたりな物語を生きている、自分自身の人生さえも許される気がするから不思議です。
(日下部行洋)

フィンランドの小さな村でキャベツを作る幸せな夫婦、ユハとマルヤ。ある日、村にシェメイッカと名乗る男が車で通 りかかる。車が故障したという男は畑にいたユハに助けを求め、ユハは快く車の修理を引き受ける。しかしシェメイッカは隙を見てはマルヤを誘惑、マルヤも彼を強く意識するようになる。再びシェメイッカが2人を訪れ、マルヤはシェメイッカと駆け落ちするが、2人が結ばれたあとシェメイッカの態度は豹変する。
原題:Juha
監督・製作・脚本・編集:アキ・カウリスマキ
出演:サカリ・クオスマネン、カティ・オウティネン、アンドレ・ウィルムス
字幕:石田泰子
1998年フィンランド映画/1時間18分
配給:ユーロスペース
オフィシャルサイト(フィンランド語)
オフィシャルサイト(英語)
