劇場公開日 1983年

「あらゆる真実と事実に呪われた話。愛と死を知る自己発見旅」ソフィーの選択 コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0あらゆる真実と事実に呪われた話。愛と死を知る自己発見旅

2022年8月20日
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鑑賞方法:VOD

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内容は、1947年アメリカはNY Brooklynに作家志望の青年スティングが下宿先で巻き込まれる波瀾万丈な話。愛と死も知らない作家志望の青年が自分の住む階上の住人の恋人とのとの出逢いで、2人の生い立ちや過去と付き合いから愛と死の意味を少しだけ🤏理解し自己発見に繋がり苦い青年時代経てを大人の階段を登る事が出来き成長へと導かれる話。好きな言葉は『独りぼっちになるのが怖かったからよ!』ソフィーの言葉。自分が生き残る術としての欲望と打算に満ちた独善的事実。そんな自分へのアンチテーゼとも取られる発言には驚いた。また『君を1人にはしない!』から『沢山嘘をつき過ぎて、もぅ何が真実か分からなくなっちゃった。』嘘をつき過ぎる事への罪悪感すらも無くなり目的が手段となってしまった。ある種呪いに取り憑かれた人々が苦くも笑えてくる。好きな場面は、一番最初に出会う場面でソフィーがつく父親がユダヤ人擁護派に尽力したと云う都合の良い嘘の場面で、ソフィーの目が泳ぐ所。物語が主人公の一人称で進むが主としてソフィーとネイサンと主人公スディンゴが繰り広げられる話は脚本も内容も役者の表現力や撮影や明暗が非常に上手く全く古さや長尺を感じませんでした。減量をした役作りにも凄さを感じましたし、台詞回しも絶妙です。ソフィーとネイサンの最初期の会話で『僕達は死ぬしかないんだ』との会話は2度目に観ると寒くなります。終始映像表現は明るくて非常に暗い内容は文学的でもあり、登場人物全てが嘘や虚構にまみれた現実を生きている様で、その中で必死に生き抜こうとする生きづらさを表現している様でした。ひたすらに根底に流れる暗さから逃げる為に、ソフィーはアルコールにネイサンは麻薬にスティンゴは文章表現に頼らざるを得なかった辛さが何とも言えません。人は皆何かに酔っ払ってないと生きにくいのかもしれません。次々と分かる嘘が話を盛り上げ最終的に一番大きな嘘に光が当たる素晴らしい構成です。文学や映像や現実と思われるモノですら嘘で、自分達が信じたいものを信じる自分達の業の深さが表現されていて非常に興味深い作品です。『真実を知っても理解するのは難しい』この言葉も好きです。

コバヤシマル
コバヤシマルさんのコメント
2023年6月11日

コメントありがとうございます。メリル・ストリープの演技には陰影があり素晴らしいです。個人的にハンナアーレント・ダッハウ・夜と霧などWW2ものも好きなので色々な角度から見る事が出来、自分なりの輪郭が見え非常に勉強になります。

コバヤシマル
iwaozさんのコメント
2023年6月11日

素晴らしいレビュー感謝です^ ^
これを観てメリル・ストリープって凄い役者だったんだなって思ったのを思い出しました。結構、B級作品にも良く出るので、そのイメージしかなかったので。f^_^;
もうかなり昔に観た記憶なので、このレビュー観て、また観たいなと思いました。m(_ _)m
ユダヤ関連の歴史等も複雑なので、また改めて勉強したいですね。

iwaoz