太陽 : 新作映画評論

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太陽

劇場公開日 2006年8月5日
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太陽 8月5日より銀座シネパトスにてロードショー

ソクーロフは昭和天皇を描いたのか? それとも日本を描いたのか?

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これは後から聞いた話だが、この映画、俳優たちに左右逆で演技をさせて、それを鏡に映したその鏡の映像をカメラが写しているのだそうだ。すべてがそうなのかどうかは分からない。嘘かもしれない。でも確かに、変なのだ。

日本人が描くことの困難な昭和天皇の人間宣言の前後をロシア人監督が映画にし、昭和天皇に扮するイッセー尾形をはじめそれぞれの登場人物たちが、まるでかつての日本映画のホームドラマのような演技をして、静けさとそれ故の深い悲しみと微かな希望が画面を覆うこの映画、何かが狂っている。どことは言えない。これは「昭和天皇」を描いた映画なのか? それとも「日本」という国そのものを描いた映画なのか?

タイトルの「太陽」とは何を意味するのだろう? さまざまなことが考えられる。天皇そのもの、沈みゆく太陽、その一方で終戦後の新たな日本の夜明け? しかも、この映画のほとんどが、仄暗い地下室の中。これはいつの映像なのだろう? ここに映っているのは何だろう? そこからは彼らの体温が感じられない。いや、感じられないと思うくらいの弱い体温が、そこにはある。それは希望だろうか? 絶望ではないだろう。世界中で戦闘が止まない人間世界の未来を、このロシア人監督は、この映画の昭和天皇の微かな体温の中に見ているように思う。

樋口泰人

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ABOUT THE MOVIE

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  • 太陽
  • 「精神の声」「エルミタージュ幻想」などで知られるロシアの鬼才アレクサンドル・ソクーロフ監督が、「モレク神」(ヒトラー)、「牡牛座」(スターリン)に次ぐ、20世紀の権力者を描く4部作の3作目として製作した問題作。神と崇められていた昭和天皇が、終戦を期に「人間宣言」するまでの心の葛藤を描く。昭和天皇にイッセー尾形、皇后に桃井かおり、侍従長に佐野史郎が扮している。
  • 原題:
    The Sun
    監督:
    アレクサンドル・ソクーロフ
    脚本:
    ユーリー・アラボフ
    製作:
    デビッド・ヒギンス
    撮影:
    ジョー・ウィレムス
    音楽:
    アンドレイ・シグレ
    美術:
    エレナ・ズーコワ
    出演:
    イッセー尾形桃井かおり佐野史郎、ロバート・ドーソン
    製作国:
    2005年スイス・ロシア・イタリア・フランス合作映画
    上映時間:
    1時間55分
    配給:
    スローラーナー
  • 8月5日より銀座シネパトスにてロードショー
  • オフィシャルサイト

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