劇場公開日 2005年5月21日

「それぞれの役割を全うした交錯」ザ・インタープリター にゃろめさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0それぞれの役割を全うした交錯

2022年5月18日
PCから投稿

冒頭はなかなかショッキングでした。
映画と分かっていても子供が銃を持つシーンは
胸をえぐられる。

主役の二人ニコールキッドマン演じるシルヴィアとショーン・ペン=ケラーは
素晴らしかった。ロマンスを匂わせる描写は蛇足感ありでしたが。

賛否あると思いますが、バスのシーンがこの映画のテーマを
的確に表せていると感じました。
体制側の要人と、それに武力で対抗する反対派。
一方言葉の力で対抗しようとするシルヴィア。
そしてそれらを尾行する捜査官警護官ら。
互いの主張に相違はあれど、
個人個人が役割を全うした結果は
ぐちゃぐちゃで誰も得をしない悲劇。

こういう映画のテーマなら、
もっと「本質的な悪は誰なのか」とか
もっと心にズシンと響くものがあるものだが、
この映画からはあまり響くものがなかった。
かといってエンターテイメントというほど
軽くもないし爽快感もない。
そこがちょっと残念。
それでも、映画としてしっかり見ごたえが
あるのは主役二人の存在感であるのは
間違いがない。さすが。である。

ショーン・ペン。
皮肉っぽい視線と薄い唇の少しおどおどした雰囲気。
どんな役でも存在感は薄れませんね。

にゃろめ