クレールの刺繍 : 新作映画評論

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クレールの刺繍

劇場公開日 2005年9月3日
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クレールの刺繍 9月3日よりBunkamuraル・シネマほかにてロードショー

台詞ではなく、ひと針ひと針の刺繍に託して

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希望を失いかけていた少女の人生が、ある人物との出会いを通して再生する。こう書くと、ありふれた物語に思えるし、地味でもある。しかし、これを「刺繍」というメタファーに絡め、せりふに頼らず、映画ならではの表現力で語りきった監督の技量、その繊細な感性は並みではない。

望まない妊娠をした17歳のクレールと、わが子を事故で亡くした刺繍職人、メリキアン夫人。痛みを抱え、心を開けない2人の女性は、よけいなことは何一つしゃべらない。しかし、映画はそんな2人の心のひだを、じっくりと物語る。ひと針ひと針、静かに淡々と、美しい刺繍に打ち込む姿を通して。

陰影に富んだ美しい映像、沈黙に宿るドラマの奥深さは、「真珠の耳飾りの少女」にも似ている。しかし監督の視点と人物造形が明快なぶん、ここで流れる情感は、スリリングというより温かい。もっともらしい言葉こそないが、2人がお互いに同じ匂いを嗅ぎつけているのがよくわかるからだ。デリカシー、根気強さ、職人としての誇り、美的感覚……。それが2人の心を次第に寄り添わせ、ささやかな喜びへと結実していく過程を見るのは、心地よく楽しいのだ。クレールを演じるローラ・ネマルクは、これから化けそうな逸材だ。

若林ゆり

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ABOUT THE MOVIE

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  • クレールの刺繍
  • スーパーのレジ係として働く17歳のクレールは、望まない妊娠をして仕事を辞めるはめになり、刺繍職人のメリキアン夫人のアトリエで働くことに。夫人は最愛の一人息子を事故で亡くしたばかりで悲しみに沈んでいたが、2人は刺繍を通して心を通わせていく。監督が自分の妊娠中に脚本を書き始め、3年の歳月をかけて脚本を執筆。主演は「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」で注目を集めたローラ・ネマルク。04年カンヌ国際映画祭で批評家週間グランプリ受賞。
  • 原題:
    Brodeuses
    監督:
    エレオノール・フォーシェ
    脚本:
    エレオノール・フォーシェガエル・マーセ
    撮影:
    ピエール・コットロー
    音楽:
    マイケル・ガラッソ
    出演:
    ローラ・ネマルクアリアンヌ・アスカリッドジャッキー・ベロワイエ
    製作国:
    2004年フランス映画
    上映時間:
    1時間28分
    配給:
    シネカノン
  • 9月3日よりBunkamuraル・シネマほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

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