ボーン・アイデンティティー : 新作映画評論

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映画

ボーン・アイデンティティー

劇場公開日 2003年1月25日
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ボーン・アイデンティティー 1月25日より日劇3ほか全国東宝系にてロードショー

物語が理知的に展開する大人のサスペンス

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記憶を失った男が、姿の見えない組織から命を狙われながら、体が覚えている戦闘術を頼りに自分を捜すサスペンス。マット・デイモンが持ち前の知性に加え、特訓で鍛えた肉体を擁して主人公ボーンを好演。その推理や状況分析、感情をていねいに描写し、知的に物語が展開する大人の映画に仕上がっている。

たとえば、逃げ込んだアメリカ大使館で窮地に陥るシーン。従来のハリウッド映画なら、銃を奪い、撃ちまくって脱出する。が、ボーンは、非常口の地図を取り、奪った無線で相手の動きを知り、知的に解決しようとする。以後も、鋭い判断力で、電話のリダイヤルなどから手掛かりをつかみ、真相に迫っていく。

そんなボーンが、最後の最後まで銃に頼らない描写も巧み。恐ろしいことをしていたらしいと感じたボーンの心には、自分の正体を知りたいが、生まれ変わりたいという願いも生じる。その思いが、過去の象徴である銃を手にしない描写で切なく伝わってくるのだ。

また、ボーンと行動をともにするなかで自身も変わろうと思いはじめるマリーの変化も魅力的。スリリングなアクションもふんだんにありながら、繊細な心理描写と叙情的な映像で小説のような味わいを醸し出している。

山口直樹

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