劇場公開日 2007年3月24日

蟲師 : インタビュー

2007年3月15日更新

累計350万部を超える人気コミックを、「AKIRA」「スチームボーイ」の大友克洋が16年ぶりの実写で映画化した「蟲師」。eiga.comでは、主演のオダギリジョーにインタビューを行い、監督のことや撮影について語ってもらった。(聞き手:編集部)

オダギリジョー インタビュー
「大友監督が実写を撮るときに運良く役者をやっていて、そこに参加できる幸せを感じました」

「AKIRA」には衝撃を受けたというオダギリジョー
「AKIRA」には衝撃を受けたというオダギリジョー

――漫画家出身のアニメーション監督である大友監督の16年ぶりの実写映画でしたが、大友監督ならではの、他の監督と違うというところはありましたか?

「監督が必ず絵コンテを描いてくるのですが、その絵コンテが非常にわかりやすく、スタッフにしろキャストにしろ、それを見れば監督がどんな画を撮りたいのかがすぐにわかりました。やはりプロ(の漫画家)だから描ける緻密な絵コンテでしたね」

――「ゆれる」に出演されたとき、脚本を読んで西川美和監督に嫉妬を覚えたとおっしゃっていましたが、今回は大友監督の久々の実写だからということ以上に、何かかきたてられたものがあったのでしょうか?

「大友監督については、『AKIRA』のあの世界観を作り出せることのできる才能を持った方ということで、嫉妬以前に自分とは違う場所にいらっしゃる方だと思っていました。西川さんは年が1つしか違わないから嫉妬の対象にもなるんですけど、大友さんに嫉妬するなんて、そんなおこがましいことはないですね。そういう感情よりも、大友さんが16年ぶりに実写を撮るというその段階に自分が運良く役者をやっていて、そこに参加できるという幸せを感じました」

――本作のもうひとつの主人公でもある「蟲」はCGで描かれていますが、撮影中は何をもとにイメージしていましたか?

“蟲”との演技も苦労は少なくできた
“蟲”との演技も苦労は少なくできた

「やはり絵コンテですかね。監督の絵コンテがわかりやすいので、あまり想像できない画というはのありませんでした。固い話になってしまいますが、役者の仕事というのは想像が大きな割合を占めるんです。舞台だと、例えば水を飲む水を使っちゃいけない場所、タバコを吸う火を使っちゃいけない場所があったりするんですが、それを再現するのは、やはり自分の想像力なんです。映像作品にしても、例えばカメラ目線で芝居をしなくてはいけないときは、相手を想像して芝居をします。そういう意味で、想像というのは役者が一番得意とするところなんですよ、きっと。だから、役者は蟲に対して他のスタッフよりも苦労も少なかったと思います」

――本作は時代も現代ではありませんし、演じられたギンコは架空のキャラクターで、外見も特徴的です。そういう役になるとき、衣装や髪型などを決めることは重要なことでしょうか?

白髪、隻眼で、衣裳も独特なギンコ
白髪、隻眼で、衣裳も独特なギンコ

「“着物を着ると背筋が伸びる”ようなこともありますし、無意識的に変わるものは必ずあるので、キャラクターを作っていく上で、髪型と衣装というのは一番落としどころを見つけたいところですね。オリジナルの作品の場合は役のことを考えたいので、監督といろいろ決めていくんですが、今回は原作物で時代物でしたから、衣装に関してそんなに要求はしていないですね。監督はもっと時代がかった衣装を考えていたようですが、バランスを考えて少し現代的にしてもらったくらいです」

――オダギリさんからアイデアを出したりした部分はありましたか?

「いえ、ほとんど忠実にやりましたよ。今回は忠実に作品に参加しました。こう言うと他の作品が忠実じゃないみたいに聞こえますけど(笑)。今回は、あまりに現代的すぎてもいけませんし、やはりどこかで原作を好きな方をがっかりさせたくないという思いもあり、一方で原作に縛られたくないという思いもありました。その気持ちを両立できるように、できるだけ台本どおりに作っていきました」

――それだけ大友監督が作り上げている世界が、全てをゆだねられるほどしっかりしていた?

「そうですね。監督の中ではきっと画は決まっていたと思いますが、スタッフやキャストがそれをどう具現化するか、フィルムに焼き付けるかということだったと思います。作品によっては、監督との話し合いだったり現場で起きること全てひっくるめて作っていく作品もありますけど、今回はみんながみんな監督に委ねた中で、監督が作りたいものを全員で作っていこうという気持ちだったんじゃないかと思います」

インタビュー2 ~大友克洋監督インタビュー
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