劇場公開日 2024年3月22日

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「全てリアルでした。」ゆるし いくりんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0全てリアルでした。

2024年3月30日
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鑑賞方法:映画館

軽い気持ちで観に行きましたが、その後衝撃を受け3日連続で観てきました。
それは、あまりにもリアルで17歳の自分を実写化したのかと思うほど。
タイムマシンに乗って30年前の自分に会いに行くような感覚でした。

平田うらら監督は、3年間300人以上の宗教2世から聞き取りをし、リアルさを追求したとのこと。
当事者でなければ、着色あり、大げさ、わざとらしいと思う方もいるかもしれませんが、これは現実です。母親役の女優さんの演技も圧巻!布教中と家庭の中での信者の表情の差も良く調べてから、演技されていると思いました。

家庭という密室の中、信仰の自由という壁の中で、誰にも助けを求められず、
自由を全く与えらない子どもたちが、
(そうすずちゃんが)この日本には、まだまだたくさん存在します。
その被害者は、おそらく3桁4桁では済まされない数になると思う。

警察も親しい親族なども立ち入るのが難しく、学校などで、隣りにそういう友人がいたとしても、おそらく多くの人が見て見ぬふりをしてきた社会的な問題。

この映画は、そこに深く切り込んでくれました。

私はもうあの世界から離れましたが、ずっと心に蓋をしてきました。そういう方、多いんじゃないかな。今を生きるために。

でも、生きていて良かった。1人じゃなかった。そこに気づいてくれる人は、まだいたんだ。私は、この映画に心を救われました。

少ない予算で、様々な圧力と戦いながら制作されたと思います。映画ですから、エンタメとしての評価もあると思いますが、
こんな形で、人を救う映画もあるんだと知りました。

長年、隠されてきたこの問題…
当事者でない人たちにもぜひ観てもらいたい映画です。

いくりん