劇場公開日 2024年3月15日

「飾りじゃないよのドラムは」COUNT ME IN 魂のリズム カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5飾りじゃないよのドラムは

2024年4月7日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

ここに出てくるドラマーたちは色々な年代でバックボーンもそれぞれだが、リズムによるコミュニケーションの表現者としての喜びや憧れたドラマーをそれぞれ語ってくれる。
往年のロックドラマーや新しいパンクバンドやラップミュージックのドラマーたちがリスペクトする大物たちの名前を聞くと、へぇ~となる。
60年後半から70年代前半のロックの洗礼を受けた年代としては、いまや長老となったイアン・ペイスと32才であの世に行ったジョン・ボーナムは双璧だ。
ジョン・ボーナムのグルーブ感が出せるとめっちゃキモチいい。ボンゾといえば、LOUDNESSの樋口宗孝は50歳目前で他界。

確かにブルースロックをイギリスから逆輸入されたアメリカのミュージシャンからすると、クリームの変人ジンジャー・ベイカーはジャズドラムの要素が濃い教祖だけれども、彼のスタイルの完コピは難しくて、しかも、あまりノレないので結構辛い。クリーム解散後ジンジャー・ベイカーはアフリカン・ミュージックに向かって行く。
ザ·フーのキース·ムーンの歌うようなエモーショナルなパフォーマンスはややもすればバンドメンバーから敬遠されがちだが、それを受け入れるメンバーに恵まれた。私は昭和の歌謡曲の編曲にあるようなエモーショナルなドラムが結構好き。
バンドはライブ。
かっこいいフィルインやグルーブはロックには欠かせない。
ドラマーがしっかりしていないバンドは続かない。個性的なドラマーの存在はロックバンドにとって大きな推進力。ロックバンドの多くは様々ないざこざにより常に崩壊·解散の危険性を孕んでいる。ドラマーのキャラクターや懐の深さがバンドの命綱になるのは本当にその通り。その一方でエキセントリック過ぎる伝説のドラマーは早死傾向にある。そんなハチャメチャで豪快なドラマーたちの中で、私が選ぶ3巨塔はジョン・ボーナム、キースムーン、コージー·パウエル。27才でこの世を去ったロックスターはジミヘンを筆頭に有名どころが目白押しだが、ドラマーの早逝伝説は32歳。コージーパウエルは50歳だったが、一時期プロレーサーでもあった彼はアウトバーンで泥酔してスポーツカーを運転中、ガールフレンドと携帯電話していて中央分離帯に突っ込んで事故死。ダブルバスドラのスビードもすごかったが、速さの王様だった彼にはは本望だったに違いない。
ドラマーの厄年は32歳の次は50歳前後。男更年期を乗り切るのが難しいのかも。
イアン・ペイスはほんとに長生き。真面目なんだね。ちなみにイアン・ペイスに憧れて、PearlとZildjianのシンバルを揃えていました。車は中古だったから車の3倍以上ドラムに使った。
ドラム·ドクターのロス·ガーフィールドの広大な倉庫に行ってみたい。
現役女性ドラマーが4人出演するが、みんな本当にかっこいい。プレイではシンディ·ブラックマン·サンタナがダントツにクールだったが、サマンサ·マロニーがモトリー・クルーのツアーにランディ·カスティロのかわりに丸1年参加した話はとてもムネアツ。

どなたか破天荒ドラマー列伝の映画を作ってくれないかなぁ~ 人材の宝庫だもんね。

カールⅢ世