水深ゼロメートルからのレビュー・感想・評価
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良さはある映画と思われましたが‥
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
まるでアイドルPVのような魅力を持った瑞々しい映画だとは思われました。
ただ映画の内容は一方で、その表現の仕方とは違って重さも秘め、しかしその踏み込みは本質の手前で終わっているようにも感じられました。
その理由は以下だったと思われます。
まだ男女区別が未分化の子供時代の男踊りにこだわるミク(仲吉玲亜さん)と、同様に中学では男子に水泳で凌駕していたチヅル(清田みくりさん)の、おそらく女性への自身の身体的変化に戸惑いある2人の悩みは、本質的には対男性に振り回されていて、本当の自身の望みの底には到達出来ていないとは思われました。
また、化粧をして女性を意識して生きようとするココロ(濱尾咲綺さん)も、ミクやチヅルとは一見対照的に見えながら、本質的には対男性に振り回されていて、自身の望みの底に到達出来ていないのは2人と同様だとは思われました。
このことは、ルールにこだわり、自身は化粧を周りの価値観に配慮して抑制している山本先生(さとうほなみさん)も同様だと思われました。
即ち、(後輩のチヅルに期待をかけていた水泳部の元部長ユイ先輩(花岡すみれさん)はそこまで描かれていませんでしたが)男踊りにこだわるミク、水泳部のチヅル、化粧にこだわるココロ、そしてルールに縛られ自身感情を普段は抑圧している山本先生は、男性の陰や価値観に振り回され、一方で女性としての戸惑いや不安定さの感情あるいは自身が本当はどうしたいのかの本音を、直接はほとんど表現出来てないように思われました。
この悪く言えば幼く、良く言えば可愛らしさの魅力は、映画の表現としてはその方向性としては成功している面もあるとは思われました。
ただ一方で、映画では直接登場しない男性に翻弄されているのは分かったけれど、それぞれ自身はそれで男性関係なくどうしたいのだというリアルな心情への踏み込みの弱さが、この映画が食い足りなくさせている要因に思われました。
(ラスト辺りの化粧にこだわるココロの女性として生きる表明も、趣旨は男性の価値観に依存して生きるしかないとの内容で、本当にそれはリアルな彼女自身の本音の心情なのか‥とは疑問を持ちました。)
もちろん、”女性の自立”などといった、リアルな心情から遊離した空疎なスローガンでは全くの台無しですが、それとはまた違う、それぞれの彼女たちのリアルな底の本音は何だったのか、それを表現するもう少し映画としての踏み込みは必要だったのではないかとは思われました。
それがこの映画の、可愛らしさの魅力と、食い足らなさの欠点の、要因だと僭越ながら思われました。
カタルシス?
高校演劇で評価された作品の映画化。
コロナ禍での大会のために一度映像化されており、本作で映像化は2度目らしい。
立場の異なる4人の高校生と1人の教師。それぞれが抱える女性であるが故の生き辛さと気持ちを、それぞれに明らかにしある時にはぶつけ合う。
そのことはそれだけで素晴らしいこととは思う。が、その先には一歩も行けていないのもまた確か。それこそが女性がいまもって置かれている状況そのものである、とも言えるとは思うが。
この作品からカタルシスを感じられなかったのは(名人とは言え)男性監督だったからでは?というのは考えすぎだろうか…
雰囲気はいいがもうひと工夫ほしかった
高校の舞台劇を映画化した作品といえば「アルプススタンドのはしの方」を思い出すし、あの面白さを期待してしまう。
水の入っていないプールの掃除を命じられた女子高校生2人と、途中参加してきた水泳部の2人が気だるそうにわちゃわちゃする会話劇。夏休みの高校、真剣に取り組んでいること、好きだからこそ負けたくない気持ち、どれもかけがえのないものが描かれていた気がする。
ところがつまらないわけではないけど、あまり面白いとは思えなかった。一つにはココロをことを最後まで好きになれなかったことが大きい。掃除しろよ!と。彼女が掃除をしない理由として語る、女性として抱える問題や生きづらさが薄っぺらかったし。自分がやりたくない仕事を、筋の通らない理由をつけて断ろうとする職場の女性を連想してちょっとイラッとしてしまった。
あと、それぞれの登場人物に何か変化が起こって終わっていくのを期待していたが、そうではなかったことも大きい(多少の変化はあったのだが)。彼女たちの関係性に変化があったようにも思えないし。これは完全に個人的な好みの問題だけど。
これ、高校生が演じる舞台として観ていたら印象が違っていた気もする。映画として面白くなるにはもうひと工夫ほしかった。
ラストが良いね
『アルプススタンドのはしの方』と同じ、高校演劇がもとになった作品ですね。
『アルプススタンド』も、この作品も青春のキラキラではなくて、青春のモヤモヤって感じかな。
私、青春のモヤモヤと演劇って相性良いと思うんです。
その年代って、言葉が独り歩きしてしまいがちだけど、演劇の台詞に重なる部分があるんじゃないかと。
それでですね、この映画は女子高生が作った女子高生の演劇がもとになっているから、分かる様な部分も有るし、分からない様な部分も有ったんです。
だけど、ラストシーンの仲吉さんが演じたミクの表情が良かったの。
男だ女だっていうのが、どうでもよくなるくらいに、凄く格好いいの。
あのシーンを見た瞬間に、映画の全ての台詞がミクのラストの表情の為のものに感じたもん。
あれは映画じゃないと撮れないから、あのシーンだけでも映画化した意味が有ると思うんですよね。
チヅルを演じた清田さんは、『野球部に花束を』の時は野球部部員だったのに、今回は野球部を敵視する役で面白かった。
山本先生役のさとうほなみさんは、今回は体育教師にしっかり見えるのに、それでいてイイ女の雰囲気も有るんですよね。
一度、イイ女に振り切った役どころも見てみたいな。
ポスターは観たいって思わせる
シナリオが悪いのか?
演劇は見ていないのでなんとも言えないが映画化するからには何かしら面白みがあったのではないのか。これは全くつまらない。場面が変わると同じ話に戻りループ映画を見ているようにつらい。
何が言いたいのか不明で雰囲気勝負でもなく本当に辛い映画。
唯一キャストが良くこれから活躍してほしいと思う。
シナリオの段階で監督なりプロデューサーなりが気付かなかったのだろうか?
ポカリ美少女 仲吉玲亜 見参!
砂まみれのプールを中心とした、基本的には舞台演劇で、前半はあまり面白くないと感じていました。
後半は女子高校生が気にしている生理、化粧や男女の違いを魂の叫びで主張していきます。
一人圧倒的な存在感を放つミク役の仲吉玲亜ちゃんのひた向きさに魅了されました。
「書道ガールズ!!」とはまた違った味わいで、高校生の頃を思い出す素朴で純情な映画に感じました。
もう忘れた感情とずっと理解できないもの
高校生の思い出に重なるところがたくさんあって懐かしくもやるせない思いが共感できた。女子が見る世界は想像でしかないが生きづらさを感じてるんだなー。男子だってあるけどね。
高校時代の夏空は理由なく綺麗だ。
爽やかになった、
モラトリアムの干魃
水深ゼロメートルから
対戦相手の消えた競技、元々破れていた夢、期限付きの青春の終わりに
厳しい言葉が、ある意味では優しい響きを帯びていたことに気付く。
限られた時間の半分を無為にやり過ごす中で、誰かに覚悟を託すことで誰かが楽になるのか
それよりも自分が好きだと感じるものを大切にして、それが仮に異性として好きなのであっても、そこに男女の差異は関係がない
意味のない決意だとか、永遠には続かない関係性だとか、砂と化粧と共に、雨で流されていく。それでも後に残るものが存在したと、信じたい
メッセージはわかるけど……
成長の関係で、性差を意識せざるをえなくなる高校生を題材に、
補習のプール掃除中の他愛もない話から、
おんなは女らしく生きたほうがいいというココロと
おんなでもおとこに負けてたまるかというチヅルと
おんなもおとこも関係なく自分ががんばればいいというミクと
三人三様の立場がらあきらかになっていく話。ただ、この話とても難しい問題なので、映画としてちゃんとまとめきれていないような感じがしました。
娯楽映画だし、ある意味ラブコメな「アルプススタンドのはしの方」と比べるのは酷な気がしています。
補習はプール掃除。
元々賞を取った高校演劇を映画化した物だから、女子高校生達の悩みが生き生きとリアルで素晴らしい。
が、ひょっとするとその悩み、青さ、若さが話の弱点なのかもしれないとも思った。
大人は1人、ほないこかが参加して子供達の悩みの壁打ちの壁になっている。ドラムも上手いが演技も素晴らしい。なんだろうなぁ?話に大人のズルさというか、仕掛けと言うか、そんな感じの巧妙さがあるともっと刺さった様な気がするんだなぁ。
補習という名のプール掃除に色んな子が集まって悩みを吐き出していく、実に演劇的である。ワンシチュエーションで映画も低予算で効率的だ。
ジェンダーギャップに悩む女子高生
それなりに共感できましたが、女子高生の悩みが現代っぽくないなと思ってしまった。
今の女子高生って化粧なんて小学生高学年くらいからYouTubeで勉強してるので、中学生くらいからナチュラルメイクしてますよね。
化粧を意識しない女子高生に違和感を感じましたが、田舎の子は純粋なのかな。
男女平等が叫ばれて、それ以前の男は男らしく、女は女らしくの教育を全く知らない世代は
男女の性差を過剰に疑問に感じたり、理不尽に思ったりするのかもしれない。
チヅルが水泳の才能があるのに、水泳を辞めようと思ったのは、どうせインターハイに出たとしても、それはしょせん女子の中での話。水泳なんてやってない野球部の男子に負けるのにインターハイに出たとしても意味はないって感じたからだろうか。
確かに中学生までは女子の方が成長が早くて勝っていたのに、高校生になって体力的にどんどん追い越されていく感覚は世代を超えた女子の悩みな気がしますね。
ただクスノキ君はいいけど、たぶん他の野球部のメンバーの多くがチヅルに勝てないし、帰宅部の男子なんて相手にもならない。
女子に負ける男子の気持ちはもっと辛いと思う。
激しい雨
山下敦弘監督作品ということで観ました
原作の演劇は知りません
(彼女達の本音?)
思いはなんとなく伝わってきますが、あまり感情を揺さぶられなかったのは私が男だから?
結構支離滅裂な?言い合いがあったりしますが、現実の「口喧嘩」はそんな感じなのかもしれません
(雨☂️の演出)
「カラオケ行こ!」では冒頭の大雨
「リンダリンダリンダ」ではクライマックス前の大雨
そして本作では雨中のラストカット
(ラストカット)
阿波踊り(男踊り)の構え?が何故かスピードスケートのスタートの構えに見えてしまいました(笑)
二匹目のドジョウは難しい
《アルプススタンドのはしの方》がヒットしたから、高校演劇でもう一発いってみようということだったのかな。
これたぶん、元の戯曲も《アルプススタンドのはしの方》の方がいいね。
序盤からすごく面白く観ていけるんだけど、クライマックスの「JKなめんな」の前あたりがテーマを叫んでる感じでヌルく思えちゃうんだよね。
そこまでは、うまくテーマを後ろに置きながら進んでるのに。
序盤の入り方はうまいね。「なんか偶然集まったのかな?」と思うと、実はクラスメートで互いに面識あるんだって分かったり。
舞台でみたら「なんかまた出てきたぞ」って感じで面白かったろうな。
そして映画化が厳しかったところは、これ、プールのワンシチュエーションで完成してるんだよね。そこだけでやるから、むしろ意味があるような。
映画化にあたってプール以外のシーンもつくってるけど、ほぼ効いてない。
先生の怒り方なんか突然すぎるし意味ないしね。
そんなわけで、高校演劇の映画化は面白いからまたやって欲しいね。脚本はやっぱり普通の作品に比べたらしっかりしてると思うの。
しかし「二匹目のドジョウを狙ったな」っていう商業的な打算がみえちゃうと観る意欲がダダ下がりするので、そこはうまく隠して欲しいな。
プールサイドのはしの方
『アルプススタンドのはしの方』に連なる企画と知って楽しみにしてたのですが…
夏と制服、プールに入道雲でポカリスエット的な絵面にすれば雰囲気は出るけど、それだけでした。
とにかく、終始ココロが不快過ぎる。
掃除もせず、屁理屈にもならない言い訳ばかり重ね、他人の傷を抉ることを平気で言う。
これが悪役として描かれるなら分かるが、大きな衝突もなく受け入れられるのが解せない。
ビンタの一発くらいあって然るべきだろ。
チヅルもなかなかのものだが、こっちはコミカルな所が多かったし、比較対象がヒドすぎたので許容。
それぞれの悩みは男女の壁に帰結するようだが、芯を食ってないのかいまいちピンとこず。
最後にミクが踊りだすキッカケもよく分からない。
生理の話なんかも多かったし、女性だったら共感できるのだろうか。
ってか、マネが飲み物買ってくる部活なんて実在するの?
普通は個々人で用意するし、部費で買うならサーバーに粉ドリンクだろ。(と思ったらサーバーあるし)
あの砂の量じゃバケツ10個でも全然足りないし、あんだけ入ってて女の子が持って走れるのか。
何より、硬球が飛んでくるプールは危険すぎるだろ。
まぁ細かいことは置くとしても、脚本がまとまってるように感じなかった。
何かが好転したようにも思えないし、特にユイは劇中でもメタ的にも放置されすぎ。
一番共感できるのが山本先生とは、歳くったかな…
らしさが滲み出ていました、内容は。
台詞や絡みが生々しく感じたので、青春がにじみ出ているなぁ、なんて感じたのですが、なんかあまりにも映画としては簡単にしすぎていませんかとも思っちゃいました。そもそも肝心の舞台であるプールのリアリティがあまりにもなさすぎるような気が・・・あの砂の量って・・・時間経過とやっぱ砂が・・・いきなり塗れていたりしているけど、不自然に思っちゃいます。JKの作品(?)だからって舐めないでください!と高校生のみなさん、言ってあげてください。大賞のご褒美ではなく、大賞だからこそという思いで高いクオリティで─、とまぁ部外者の勝手な感想でございました。
プール掃除はつらいよ‼️
「リンダ リンダ リンダ」もそうですが、山下敦弘監督は青春の1ページを切り取るのがホントにウマい‼️体育の補習のためにプール掃除を命じられた女子高生4人の、掃除をしながらの学校生活や校則、恋愛、生理、部活、阿波踊り、メイクといった会話の中に、思春期特有の苛立ちや妬み、憧れといった様々な感情を浮き彫りにする会話劇です‼️脚本が面白いのか、会話自体がテンポがあって1時間半飽きる事はありませんが、せめてココロちゃんの阿波踊りくらい、ラストの見せ場として欲しかった‼️ちなみに私は主役の4人より、野球部のマネージャーであるリンカ役、三浦理奈ちゃんが一番魅力的に感じてしまった‼️
中身と方法があってない気がする
87分。それでも長かった。もちろん監督にも期待してたし、女子高生の演劇的な雰囲気のポスターにも期待してたんだけど、さすがに脚本はどうにかならなかったのか。というか映画にする必要はあったのか。もしくはこれ舞台では成立するのか?
映画で演劇を捉え直すという実験をやってるのだとすると、そもそも勝ち目のない実験かもしれず。絵的にはビシバシ決まっているものの、割とお芝居も音も人工的というか学芸会風で、それを俳優の肉体ともども空気感ごと捉える風ではなく、人工的に組み立ててるので脚本の空っぽさ加減が浮かびあがってしまってしまって眠くなるという。中身と方法があってないというか。。そんな感じ。
期待度○鑑賞後の満足度○ 「ここで?」「ここから」『水深ゼロメートルから』…やっぱり青春ってよろしなぁ…題名の意味が水の無いプールの底からの視点(最初は水面からの視点の意味かと思た)というのが面白い。
①★4つあげようかと思ったけれど、元々舞台のせいか舞台臭さが抜けず☆1つ減点。
②もう還暦を過ぎたし、子供も孫もいないので、今の高校生たちはどんな考え方をしどんな感性を持っているのか知りたくて観たけれども、何てことはない自分が高校生だった頃(私は女子高生ではなかったけれど)とあんまし変わらないことにホッとしたり懐かしかったり…
③ただジェンダー意識は私達の頃よりは複雑になっているようで、一番可愛い子が最も古臭い男女感の持ち主というのも面白い。
④しかし、男子が一人も主要人物として出てこない(野球部員たちはあくまでモブ)のも珍しい。
等身大の女子高校生がわかるかも
高校2年の夏休み、体育の特別補習としてプールの掃除を指示される。学校生活や恋愛、メイクなど何気ない会話を交わすうちに、女子高校生たちの悩みが溢れ出し、それぞれの思いが交差していく、青春群像劇。
自分が高校生の時って、こんなにも彼女たちのように悩んでいたかな。もう、思い出せないほど昔のことだけど、懐かしい匂いがする映画です。
ストーリー的には特に事件が起こるわけではないけれど、だからこそ日常の彼女たちの会話は偽りのない心の声のように思う。でも、彼女たちの本音を理解するのは難しい。もう一度観たくなる映画です。
登場する俳優の皆さん(清田みくりさんは特に)は青い青い空と眩しいくらいの日差しの下、皆さんキラキラ輝いてました。
プールの底に砂、あんなにたまるかなぁ。掃除しずらそう。
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