VESPER ヴェスパーのレビュー・感想・評価
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ヨーロッパ産インディペンデントSFの潜在能力を感じる
リトアニア出身の監督らが中心となって制作されたヨーロッパ産SF映画。もはやインディペンデントでもこれほどの物語のスケール感を創出、展開できるのだ。映像技術をとってもメジャー作品と見劣りしないどころか、むしろハリウッドと一線を画したオリジナリティ溢れる質感が感じられる。例えば、大自然にSF描写が散りばめられるような実写とCGの有機的な融合ぶりに関しては一見の価値ありで、特に主人公が得意とするバイオ技術をVFXでどう表現するかについての並々ならぬこだわりが伝わってくる。その一方で、やや贅沢なことを言うなら、登場人物の感情や絵画的な絵づくりを優先させるあまり、カメラワークが緩慢、物語運びもありきたりで、観る者を退屈させてしまう面もないとは言い切れぬ。これを作り手の将来性を見据えたプレゼンテーションの機会と見れば大きな成果だが、純然たるエンタメとして厳しく見るなら、乗れるかどうか反応は割れるかも。
スケール感はやや期待外れだが、映像やメッセージ性は悪くない
1982年生まれのリトアニア人女性クリスティーナ・ブオジーテと、1974年生まれのフランス人男性ブルーノ・サンペルという、珍しい組み合わせの映像作家コンビによる4度目のコラボ作品。ブオジーテ監督は2003年から短編映画を作っていたようだが、2008年の初長編監督作「THE COLLECTRESS」(英題)でサンペルと共同で脚本を執筆。同じ担当で2012年の「ナイトメアは欲情する」を作ったのち、2014年のオムニバスホラー「ABC・オブ・デス2」の一編で初の共同監督、そしてこの「VESPER ヴェスパー」で2度目の共同監督という流れになる。
手つかずの自然を思わせる荒涼とした山々や森でのシーンはブオジーテ監督の出身国であるリトアニアで撮影されたという。知識がほぼ皆無だったので地図を見たら、北欧圏に位置し、東にベラルーシ、南にポーランド、バルト海を挟んで西にデンマークがある。北緯は樺太の最北端とほぼ同じだそうで、寒々とした空気感が映像から伝わってくる。
ポスターやキービジュアルに「宇宙戦争」のトライポッドに似た巨大構造物があり、壮大な世界観を予感させるのだが、そのわりにはかなり小ぢんまりした話で、ハリウッド製SF大作のような派手なアクションやアドベンチャーを期待すると肩透かしになるかもしれない。2020年日本公開作「囚われた国家」もそうだったように、背景の巨大な物体で大作感をほのめかしながらも本編は意外に地味というのはたまにあるけれど、こけおどしというか張子の虎というか。資料の監督インタビューによると、アメリカの企業が実際に特許取得した遺伝子組み換え種子では、1度だけ収穫ができたあと2世代目以降の種子が成長するのを阻害するプログラムが組み込まれるのだという。そうした科学技術の行き過ぎや環境破壊のリスクに警鐘を鳴らす姿勢は評価できるし、人工知能と知性、女性同士の連帯といった要素も現代的だが、やや切れが甘く、雰囲気先行になってしまったか。
ヴェスパーを演じた2007年イングランド生まれのラフィエラ・チャップマンは、中性的な魅力が印象に残る。特殊な世界観の中でキャラクターを自然体で表現できる演技力もあり、今後が楽しみな若手だ。次回主演作は今年英国で公開予定の「Sweet Brother」だが、予告編を見たところクセが強めのカルトホラーといった趣で、日本で劇場公開されるかは微妙かも。
ビジュアル全振り
富裕層と貧民層の二極化が進む生態系が崩壊した地球を舞台にしたアポカリプスSF。既視感強めのプロットで、ストーリーも派手さはなく、たくさんの哀しみと少しの希望を描く。
と、一見退屈になりそうなのに、新鮮で個性的なSF描写で全く飽きさせないのが凄い。風の谷のナウシカ」を彷彿とさせる進化した不思議な植物で覆われた森や、不思議なドローン、寝たきりの父親との意思疎通の仕方や、研究ツールなど、どれも独特で面白く、世界観に没入することができました。
ビジュアルに全振り感が凄くて、ラストもここで終わり?という感じもあったのですが、視覚的満足度が高く、映画館で観て良かったです。
うーん、この謎のB級…。ただ、ストーリーとしては崩壊していない?
今年47本目(合計1,139本目/今月(2024年1月度)47本目)。
(ひとつ前の作品「ミッション・ジョイ 困難な時に幸せを見出す方法」、次の作品は「罪と悪」)
投稿が前後して申し訳ないです。
こちらの作品、要は世界(地球)滅亡後を描いた作品ものなのですが、B級映画の「おきて」というか謎のそういう表示(唐突世界背景=この映画の「ルール」を字幕で説明してくる)等、かなりアレだなぁ…という気がします。
ただ、設定なのはそういう「特殊な部分」だけで、人を不愉快にさせるような発言はまるで存在しませんし、一方で、種苗法ほか環境法(行政法の一分野)の問題提起をしているのかしていないのか…といった「ヘンテコな枠」です。要は、例えば動物ものにしても時々「明らかに動物枠だと思っていったら、唐突に、「~~年の間に動物が人の狩りによってなくなり」といったことが表示される謎の映画(タイトル忘れた…)があったように、そういう「持続可能」ではないですが、何らかカタカナ用語を並べて色々説得させようという部分はあるんですが(映画も作品の性質も)、一方で設定があれこれよくわからないので(パンフレットを買えば出てくるのかな?)、この辺の採点がかなりしにくいです。
ただ、こういう「教育枠」(子どもに対して映画を通じて持続可能だの何だのというものを教える団体はあるだろうし、そういうカリキュラムはあるんでしょう)にこの映画がこっそりあたっているだけという可能性もあり、「多少教育くさいなぁ」とは思うものの(それが全体として学術枠っぽくいえる部分にも関わる)、一方で海外の日本でいう指導要領までどうこう言うこともできないし、「映画館として」見て「ここのサイトに書き込む」限りでは映画として成り立っているか?と考えると、多少はまぁ変かな…と思っても、いきなりワープしたりヘンテコすぎる展開になったりといったことにはならないので、フルスコアにしています。
※ t-joy梅田(旧ブルク9)ってこういう「教育枠的な映画」を流すことが時々ありますよね。
B級SF映画っぽい散らかり方
B級SF映画の魅力は説明しがたい。予算をかけた映画よりも映像はしょぼいかもしれないけど、そこには攻めてる姿勢と低予算なりの工夫、そして何より監督の豊かな発想が詰まっている。もちろんハズレも多いのだが、青田買いなところもあるので気にしないようにしている。
さて、本作。いきなり基本的な世界観を字幕で説明する乱暴さ。しかも結構適当な感じの設定。いや、わかるんだけど。ここらへんB級ぽい。でもその設定自体はそんなに悪くない。人の顔が書いてあるドローンはとてもいいし。寝たきりの父親が操っているあたりもちょっと面白い。
そこに登場する女性の存在とその正体。ここらへんがカギなのだが、どうにも乗り切れない。この世界観を消化しきれていないからかもしれない。後半の盛り上がってくるところもなんでそんなことになるのかが理解できない。そして、ラスト。なんだそれ?結局何がしたかったの?という終わらせ方は、モヤモヤ感が強まるだけだった。
あぁ、もしかしたらこれは壮大なストーリーの序章的な扱いで、いろいろとわからないままになっているものは続編で明らかになるのか、なんてことを考えてもみた。でも、続編ができたときに観たいと思えるかどうかは自信がない。青田買いとしては成功にはならなかったかも。
首の後ろがエロい。
フランス.リトアニア.ベルギー合作です。
目の離れ具合がユマサーマンに似てる主役の子がかわいい(Miss ペルグリンの頭の後ろにでかい口がある大食いの子)のと、美術、世界観の徹底した作り込みで楽しく見れた。話はディストピアに小さな希望的なやつでアクションも少なく地味目。
あんなに汚い手でバイオ、遺伝子、生態メカとかヌルヌルいじって大丈夫なのだろうかと素人ながら心配になったwww 他にも焼印とか、シタデルとの関係とか、あまり機能してないネタがありもったいない。後半の自己犠牲連発も切迫感が無く理詰めで淡白、説得力が足りない。
でも自然との関係がナウシカ的で嫌いじゃなかったです。きっと監督もイメージしてたと思う。
種苗法改正とか、ターミネーターシード、企業の食糧支配問題なんかの是非を問う作品ですな。
エディ マーサンが、こういう役じつに良い感じ。
人工人間の首の後ろにあるコネクタがエロくて萌えました。
ディズニーの映画みたいな空気感
なんか、ディズニーの映画みたいなヌルい空気感が漂っていて、
『ウィロー』っぽくて、中世ヨーロッパっぽさ、ロールプレイングゲームっぽさ、を感じます。
エルフやドワーフが出てきそう(笑)
ディズニーの映画のヌルさ、中世ヨーロッパ、ロールプレイングゲームの世界観、どれも苦手なのでキツかった(笑)
早よ終われ、早よ終われ、思いながら、ウトウトしながら観ました(笑)
興味ない事だと眠くなるけど、人間の防衛本能なんですかね?
僕はダメでした(笑)
シタデルはイツデル?
大枠の背景説明が冒頭に入るが、細部は中身を見ても不明瞭でした。
そもそもこの時点で、「一度しか収穫できなくして何のメリットが?」と首を傾げてしまう。
開墾させて貢がせるか、最初から与えないでよいのでは。
ドローンの意識が父親なのが後出しだったりと、設定開示がまどろっこしいのも難点。
主人公が虐げられてる理由や、叔父の立ち位置も分かるような分からないような。
エリアスがカメリアを造った動機や出奔の経緯、そこに込められた想いなどは皆無。
ヴェスパーと父、カメリア、叔父くらいしかメインがいないのに、それすら描かれない。
これで感情移入するのは無理です。
結局は叔父との小競り合いがメインで、あとは女性2人にアッサリ負けるクソザコ兵士と闘うくらい。
種だ食料だ言ってるけど、肌ツヤはよく、痩せこけた人物もいないため深刻さを感じない。
そもそも書物や記録媒体などが見当たらなかったのに、どこから知識を得たのやら。
それで食料問題が解決しても、わざわざ封印してたシタデル側が放置してくれるとも思えず。
最後、よく分からない子供たちとピルグリムの集落に行った理由も不明。
このピルグリムや失踪した母親なんかは投げっぱなし。
感動できるでもない「自分は残る」「そんなのダメだ!」を何度見せられただろう。
それで話が遅々として進まないのだから眠くもなる。
肝心のシタデルも外殻チラ見せ程度で、SF的なワクワク感が薄いのも残念。
ドローンひょいひょい抱えて走ってたけど、材質はプラスチックですか?
魅力的ヴィジュアルもあるのだが‥‥
予告編やチラシのヴィジュアルに惹かれて鑑賞。
しかし、あまりにも退屈な映画で眠くなった。
ヒト以外の動物が死に絶え、植物が変異している未来の地球という映像世界は、好きなのだけれど‥‥。それを描くには、明らかに予算不足。
最初から最後まで釘付けだか、ずっと憂鬱
映像は美しいし、世界観が独特。賞を取ったのがわかる気がする。寝たきりのお父さんの意識を感じ取って代わりに喋るドローンが健気。欠点があるとしたら、何処にも向かわない、落ちのないストーリー。逆にあえてそうしたストーリーで映画を作って見せたと言える。その意義はある。また、途中でストーリーが途切れた感があるので、続編もあるかも知れない。続編が出たらもちろん見に行く。最初から続編ありきで作っているのなら落ちのないストーリーも説明がつく。
説明すべき設定はスルーで、解決もしないのに突如終わるというディストピアな作品
2024.1.24 字幕 T・JOY京都
2022年のフランス&リトアニア&ベルギー合作の映画(114分、G)
遺伝子技術の先にある歪なディストピアを描くSF映画
監督はクリスティーナ・プオジーテ&ブルーノ・サンペル
原題は『Эра выживания』で「サバイバルの時代」という意味、英題の『Vesper』は主人公の名前から取られている
物語の舞台は、遺伝子技術が発展した近未来の地球で、「新暗黒時代」と呼ばれる時代に突入していた
その世界では、城塞都市(シデタル)と呼ばれるコロニーのようなものがあり、そこに住めない人はサバイバル生活を余儀なくされていた
シデタルから一代限りの収穫ができる品種改良された種子を受け取り生活をしていて、ジャグと呼ばれる人造人間を奴隷のように扱って生きている
そんな中、森に住居を構えるヴェスパー(ファラエラ・チャップマン)は、寝たきりの父ダリウス(リチャード・ブレイク)の世話をしながら遺伝子工学を独学で学んで研究を行なっていた
彼らの住む森は父の兄ヨナス(エディ・マーサン)が支配していて、彼は子どもたちの血液を集めては、シデタルからの物資を独り占めしていた
ある日、シデタルの偵察機が低空飛行しているのに気づいたヴェスパーは、それが落ちたと思われる場所へと向かった
そこにはシデタルの住人らしき女性カメリア(ロージー・マキューアン)がいて、ヴェスパーは何とか彼女を救い出すことができた
同乗者には彼女の父エリウス(Edmund Dehn)がいて、彼はシデタルの研究者だと言う
そこでヴェスパーはヨナスの家にある無線機を使ってシデタルに応援を呼ぼうとするものの、逆に不審な行動を疑われて偵察機の存在がバレてしまう
ヨナスはエリウスを見つけ出し、何を思ったか殺してしまう
そして、同乗者のカメリア探しに奔走し始めるのである
映画は、見たことのある近未来SFで、食料と言う武器を手に入れた下界の人間による支配構造の中で反抗する様子が描かれていく
見たこともない植物などが登場し、イメージはさながら『風の谷のナウシカ』を思わせるものがあり、カメリアは王族の人間のようなビジュアルをしている
だが、彼女はエリウスによって改良されたジャグであり、彼女の遺伝子には「種子の封印を解く鍵」が刻まれていたのである
映画は、既視感満載の世界観と人物描写になっていて、説明すべきものがほとんど説明されないまま終わりを告げる
ヨナスがエリウスを殺す意味もわからないないし、全てが終わった後に、ピルグリムと呼ばれる放浪者の塔の上に昇って、そこから封印を解かれた種子をばら撒く行動も意味不明である
何かが解決したように思えるが、実際には何も解決しないまま終わっているので、何を描きたかったのかよくわからない内容になっていた
種子は手元で育てるべきだと思うし、シデタルの脅威が肌感覚でわからな
ピルグリムと化したとされる母親の行方も放置プレイだし、そもそもあの塔に勝手に昇っても良いのかわからなかったりする
いずれにせよ、リトアニアの映画と言うところに興味を持てないとスルーしても良い案件で、内容はかなりスッカスカな映画だったと思う
遺伝子工学を城下でできる状況も意味わからず、虫もたくさん登場するので、ダメな人はスルー推奨の作品だろう
見終えた後に何も残らないのだが、パンフレットに載っている設定自体は結構頑張っていたと思うので、脚本次第では化けたのかなと感じた
「平凡」は一元的でなく多元的。そのため平凡だが個性はある。
地球崩壊後のディストピアもの。一部の富裕権力層が奴隷的な貧困層を支配搾取している、という構図はありきたり。あとは、この世界をどういう約束事で成立させているかのアイデア勝負だ。これまでの映画史でも、少年少女を殺し合わせる『ハンガー・ゲーム』シリーズや、権力者が時間を支配する「TIME/タイム」、疾走する列車の中に富裕貧困がある「スノーピアサー」などなど工夫の限りを尽くしている。本作はウィルスによって食用動植物が死滅して、唯一支配層が住民の「子供の生き血」と交換する、一回しか収穫ができない種子でしか食料が手に入らないという世界。そこで、その種子に収穫ロックされた暗号を、遺伝子工学で解読しようとする天才少女が主人公。彼女が彷徨う原野は、ナウシカにインスパイアされたような、人間には凶悪な植物だらけ。そこへ支配層エリアから飛んできた船が墜落して・・・。まあアイデアだけで結末が読めてしまうレベルなのだが、主人公のヴェスパーを演じるラフィエラ・チャップマンがなかなか良い。
期待度○鑑賞後の満足度△ ポスターのビジュアルとリトアニア製のSFということに惹かれて観たが…😅 ただ、これぐらいの寒々しさが「ディストビア」には相応しいのかも知れない…
①第一の不満は、ポスターにあるあのタコ型の建造物が何か全く説明が無かったこと。アー、焦れったいたりゃありゃしない。
②
始めと終わり
わかりずらかったですね。始まりは背景や設定や人物がよくわからないまま進んでいくので、入り込めないし、途中はそれがわかって少し興味が湧きましたが、最後の旅のシーンではまた疑問いっぱいのまま終わった感じです。はるか先には、地球もこうなってしまうのでしょうか?
夕凪
こういうディストピアな世界観広がるキービジュアルにはなぜか惹かれるものがあり、今作も例に漏れず吸い込まれるように劇場にINしました。
映像だったり、未知の生物だったり、ビジュアル面ではワクワクさせられたんですが、一本の映画として観ると、かなり難のある作品だなと思いました。一本調子の作品なのでウトウトしてしまいましたし。
説明がなく進行していくので、この世界がどういう状況なのか、この人達の身分はどうなのか、どうやって生活しているのかというのを画面のみで理解していかなければならないので、何度も見返せるわけではない映画という形態向きではないので不親切だなと思いました。
フィールドが広そうで広く無く、ヴェスパーの家の周りで色々やっているので、絵面の変化の無さも致命的だったなと思いました。
遺伝子やらの伏線も敷いた割にはどこかにいってしまったので、もやもやしてしまいました。
この手の映画にしては珍しく、主題歌込みのエンドロールで、楽曲も壮大さと優しさがある曲でかなり好みでした。
全体的に盛り上がる部分は無く、単調な作品でした。何か続編があって、その前日譚なのかなって立ち位置で、この作品単体だと楽しめる要素は少なかったです。
ちょっと苦手な作品でのれませんでしたが、PVとして観ると完成度はかなり高いので、ハマれる人はとことんハマれる作品だなと思いました。配信されたらもう一回見直したいタイプです。
鑑賞日 1/20
鑑賞時間 14:40〜16:45
座席 E-5
ちょっとナウシカかな
大規模遺伝子汚染後で従来の生態系が破壊され、怪しい生物たちが跋扈するディストピア設定のSF。 生命工学が極端に進んだ世界設定のようで、発電から有機部品使用のドローンやコンピューター、バイオロイドなどが登場する。ブレードランナーと風の谷のナウシカを足したような世界観かな。
主人公は独学で生命工学を学び、遺伝子操作した植物?を試作したりしている天才少女。この女優さん、エキセントリックでかつボーイッシュな風貌で本作品の世界観によくマッチしてました。 彼女と常に行動をともにする飛行ドローンは、最初AIかと思ってたら、体が不自由な主人公の父親の外部感覚器官だった。
ディストピアものの常で、暗いエピソードが延々と続き、結構説明のない設定も多い。ラストに明快なカタルシスはなく一般向けじゃあないんで、★は3つにしておく。
理解はし難い
雰囲気と設定は好き。
世紀末よりの、衰退した世界。
主人公の、設定も悪くは無いんだけどちょっと都合が良いかな。
なんでそんなに賢いのか裏設定が欲しかった。
というか、この作品は雰囲気を楽しむものなのかも。全体的に説明不足。
音楽で、発見した!とか盛り上がりは見せてくれるんだけど、なんでそうなるのかの背景と過程がはっきりとは描かれていないので、なるほど!とかやった!とかいう感じはない。
なので雰囲気を楽しむものなのかと。
まぁタネが大事ということでw
種蒔き。
ヴェスパーがシタデルを目指す壮大なアドベンチャーかと思いきや、植物学のうんちくがメインの地味なドラマ。最後、塔からシタデルを見て種を蒔いたのは続編あるって意味?
シタデルの富裕層の暮らしどんなんか見せて欲しかったなあ。
オマージュではなく模倣
鑑賞時点での「IMDb」の評点は6.0、
「Metascore」の方は70と
なんとも微妙なところ。
それでも
「ブリュッセル国際映画祭」で「最高賞(金鴉賞)」等の情報を信じて
鑑賞に行ったのだが・・・・。
〔風の谷のナウシカ〕で『宮崎駿』が提示した世界観。
崩壊した地球
文明の分断
人類に牙を剥く昆虫や植物
それを変えようとする少女
対抗勢力
そうした諸々が
カタチを変えて本作でも繰り返され、
目新しさの点では皆無。
加えて、今居る閉塞した場所からの脱却もテーマとして取り込まれ、
これもかなり手垢の付いたモチーフ。
舞台は近未来の地球。
主人公は荒廃した土地に住む少女『ヴェスパー(ラフィエラ・チャップマン)』
彼女は戦争で四肢が動かなくなった父親の面倒を看ながら、
狂暴化した植物を従順化させる実験に時間を費やす。
また、
富裕層が住む都市「シタデル」から供与される
撒いても種ができない穀物の遺伝子情報を解き明かし
飢えのない世界を創ることも。
が、それに横槍を入れて来る
叔父の『ヨナス(エディ・マーサン)』の存在は目の上のたん瘤。
なまじ地域の有力者且つ「シタデル」ともつながりがあるだけに始末が悪い。
ある日、墜落した「シタデル」の飛行艇から
権力者の娘という『カメリア(ロージー・マキューアン)』を救い出したことから
物語りは動き出す。
タイトルの形式は勿論、
主人公のモチベーションや発端までもが
先の作品をなぞっていることに先ずは驚愕。
些細なエピソードを含め、
あまりにも似すぎている。
一方で、実際には、世界を変えるほどの大きなことを成し遂げようとしているのに、
その広がりがまるっきり感じられないのには脱力。
現実には壮大な世界観も、
狭い世界の、小さな個人のお話に収斂させてしまった恨みもある。
二時間ほどの尺に多岐に構築された設定を詰め込んだにもかかわらず、
言葉や描写による説明は過少のため
鑑賞者はかなり多くを想像でふくらませる必要が。
それでも
ディテールの辻褄が合わないように感じられるし
役割が明示されないまま残った群があるように思えるのは
たぶん独り善がりではないのでは。
圧倒的に、時間が足りていない。
とは言え、親が身を挺して子供の世代に伝え委ねるとの、
自然界の輪廻を巧みにストーリーに取り込む上手さはあり。
また、支配層であり、現在の文明を司る「シタデル」の住人が
下層からの簒奪を基に死生の理に抗おうとしていることは
爛熟した文明が陥りがちな欲望への痛烈な風刺でもある。
本作でのディストピアは
イマイマの世界の延長線上に在るのだから。
全29件中、1~20件目を表示