風よ あらしよ 劇場版

劇場公開日:

風よ あらしよ 劇場版

解説

大正時代に結婚制度や社会道徳に真正面から異議を申し立てた女性解放運動家・伊藤野枝を描き、2022年にNHK BS4K・8Kで放送された吉高由里子主演のドラマ「風よ あらしよ」を劇場版としてスクリーン上映。原作は村山由佳による同名の評伝小説。

福岡の田舎の貧しい家で育った伊藤野枝は、家族を支えるための結婚を断り、単身上京する。「元始、女性は太陽だった」と宣言し、男尊女卑の風潮が色濃い社会に異を唱えた平塚らいてうに感銘を受けた野枝は、らいてうらによる女流文学集団・青鞜社に参加。青鞜社は野枝が中心になり婦人解放を唱えていく。第一の夫であるダダイスト・辻潤との別れ、生涯をともにする無政府主義者・大杉栄との出会い、そして関東大震災による混乱のなかで彼女を襲った悲劇など、野枝の波乱に満ちた人生を描いていく。

野枝役を吉高、平塚らいてう役を松下奈緒、辻潤役を稲垣吾郎、大杉栄役を永山瑛太がそれぞれ演じる。演出は吉高主演のNHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」も手がけた柳川強。

2023年製作/127分/G/日本
配給:太秦
劇場公開日:2024年2月9日

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(C)風よ あらしよ 2024

映画レビュー

3.5個人史であり事件史

2024年4月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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ぺがもん

4.0伊藤野枝と大杉栄、100年前の二人の生きざま。いつまでも語り継ぐべき物語。

2024年3月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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M.Joe

2.0吉高由里子は吉高由里子だと思う

2024年3月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

NHKドラマの劇場版ということで、正直、気が進まなかったのですが、
吉高由里子主演なので観ました!

吉高由里子が好きだからよいのですが、
吉高由里子は何をやっても吉高由里子だな・・・と感じます。

本作も吉高由里子は熱演していますし、難しい役どころだったと思いますが、
やってのけた感があります。

特にラスト近くの予告編でも使用されていた「犬っ、犬っ!!」というセリフの発声が
実に迫力があり素晴らしかったです。

史実とは言え、登場する男性がほぼクズというのも笑えました。
稲垣吾郎が良い人の役なはずがない!という先入観で見ていましたが、やはり(笑)という感じでしたね。
人が良さそうな男性は、玉置玲央演じる村木源次郎と石橋蓮司演じる渡辺政太郎でした。
このふたりに救われた映画でもあったと思います。

吉高由里子の主演作が楽しみですが、今の大河ドラマ後でしょうね。

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ひでちゃぴん

5.0伊藤野枝のドキュメンタリー

2024年3月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

知的

幸せ

伊藤野枝のドキュメンタリー
1895年(明治28年)1月21日-1923年(大正12年)9月16日)28歳没
旧糸島郡今宿村、今の福岡県福岡市西区今宿 生まれ

序説
関東大震災後の混乱のさなか、ひとりの女性が憲兵に虐殺された。
女性解放運動家の伊藤野枝。貧しい家で育った野枝は、平塚らいてうの「元始、女性は太陽であった」という言葉に感銘を受け、結婚をせず上京。自由を渇望し、「青鞜社」に参加すると、結婚制度や社会道徳に異議を申し立てていく。
------------------
「女は、家にあっては父に従い、嫁しては夫に従い、夫が死んだあとは子に従う」事が正しく美しいとされた大正時代。
男尊女卑の風潮が色濃い世の中に反旗を翻し、喝采した女性たちは社会に異を唱え始めた。
福岡の片田舎で育った伊藤野枝は、貧しい家を支えるための結婚を蹴り上京。
平塚らいてうの言葉に感銘を受け手紙を送ったところ、青鞜社に入ることに。
------------------
青鞜社は当初、詩歌が中心の女流文学集団であったが、やがて伊藤野枝が中心になり婦人解放を唱える闘う集団となっていく。
野枝の文才を見出した第一の夫、辻潤との別れ、生涯のパートナーとなる無政府主義の大杉栄との出会い、
波乱万丈の人生をさらに開花させようとした矢先に関東大震災が起こり、理不尽な暴力が彼女を襲うこととなる。
-------------------
登場人物は以下の通り

伊藤野枝(吉高由里子)
1895年(明治28年)1月21日-1923年(大正12年)9月16日)28歳没
大杉栄(永山瑛太)
1885年(明治18年)1月17日-1923年(大正12年9月16日)36歳没
平塚らいてう(松下奈緒)
1886年(明治19年)2月10日-1971年(昭和46年)5月24日)
辻潤(稲垣吾郎)
1884年〈明治17年)10月4日-1944年〈昭和19年〉11月24日)
神近市子(美波)
堀保子(山田真歩)
甘粕正彦(音尾琢真)
渡辺政太郎(石橋蓮司)
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集英社文庫「風よ あらしよ」下 終章 終わらない夏 364頁-369頁 より引用します。
関東大震災 麹町の東京憲兵隊本部に連行された野枝。甘粕正彦大尉との面会

野枝「だから、いったい何の話です」
甘粕「愚民どもが混乱すればするだけ、貴様ら主義者にとっては好都合ってわけだ。おい、お前だってどうせ、この国が早く滅びてしまえばいいと思ってるんだろう、ええ?この淫売の国賊め」
思わず失笑が漏れた。
「失礼ですけど、それは見解の相違でしようね。
「生意気な口をきくんじゃない。お前が爆弾を用意しているという報告も上がってきてるんだぞ」
「私がですか? 爆弾を、まあ怖い」
「やかましい!俺を、いや、国家を愚弄する気か!」
野枝はため息をついて「愚弄しているのはあなたのほうでしょう」
「なんだと?」
「愚かしいといったらないわ。私たちをどこまでも厳しく取り締まって、涙どころか血の小便も出ないくらい絞り上げて、捕まえればろくに取り調べもせずに粛清する。そうすることで民衆に、逆らえばこうなるんだっていう恐怖を植え付けて何も言えなくさせているんだわ。ねえ、あなたがた、批判されるのがそんなに怖いの?きっとそうなんでしょうね。」
「見たところ、周りに置くのは絶対に盾突くことのない人間が、いざという時に二つ返事で動いてくれる脳みそのない兵隊ばかりのようだし」
「貴様・・・よくもべらべらと」
「ええ、この際ですから言わせてもらいますとも。私は黙らないわ、あなたの部下じゃないんですから、従う義理なんかありませんからね。とにかくはっきりしていることは、あなたちは民衆の幸福なんか少しも考えていないってことよ。考えるのは、どうしたら自分たちの地位が脅かされずに済むか、どうしたら今より出世して弱い者から搾取できるかってことばかり。そうでしょう?」
甘粕が、冬眠しはぐれた熊のように低く唸る。間近に見ると、眼球の白目の部分が真っ赤に染まっている。
「口のきき方に気をつけろよ。女だからといって、特別扱いはせんぞ」
「望むところですとも」
一歩も引くまいと甘粕を睨み上げる。丸っこい鼻孔がひくひくと動き、こめかみに憎々しげな青筋が立つのを見て」、ザマアミロと思った。
「いいから大杉を返してください」
甘粕は答えない。
「家で子供たちが待っているんです。生まれてすぐの赤ん坊もね。あなたがたの知りたいことなんか私たちは何も知らないし、今は何ひとつ企てていません。とにかく、早く家に帰らせて」
「貴様らにのような頭のいかれた連中を、はいそうですかと野に放つほど、この俺がお人よしに見えるのか」
野枝、再び長いため息ついた。お話にならない。
「あなたなんかと議論したくないわ」
「議論?」甘粕が嘲り笑う。「女のくせに、俺と議論だと?これだから主義者は」
「関係ないでしょう」
「無政府主義は、建国のおおもとを揺るがす国家反逆思想である!」
甘粕は声を張り上げた。大杉がいつも言うところの「お題目」だ。思わず笑ってしまいそうになる。
「貴様らが今、この非常時につけこんで、国家の転覆を謀ろうとしているのは分かっておるんだ。そうはさせさせるか。」
「ですからそれは、何らかの誤解か悪意あるでっち上げです。だいたい、あなたのいうことは矛盾してますよ。ほんとうに私たちがこんな国なんかどうなろうと構わないと思っていたら、自分の命を危険にさらしてまで運動をつづけようとするはずがないじゃありませんか。そうでしょ?まったく 馬鹿も休み休み言ってくださいな」
「なにを?」
「考えてますとも。天下国家じゃあなく、民草一人ひとりのことを。私たちはちゃんと自分の頭を使って考えているんです。ええ、あなたがた「犬」」と違ってね」
顔の左側が爆ぜた。
椅子からころげ落ち、うつぶせに床に倒れ込んで初めて、頬を張られたのだと気づく。
「な・・・・」
何をするのだと言うより先に、髪をわしづかみにされた。
「犬、と言ったか?」
ぐいと引き起こされ、悲鳴を上げたとたん、床に思いきり顔面を打ちつけられる。強烈な痛みだ。
「もういっぺん言ってみろ。誰が犬だと?貴様か?」
引き起こされ、再び打ち付けられる。
「そうだろうな 這いつくばって床を舐めるのが好きなようだし」
三度の衝撃。鼻骨の砕ける感触を耳が聞く。
どこかで子どもの泣き叫ぶ声がする。いや、風だろうか。自分の呻き声が邪魔で耳を澄ますこともできない
後頭部を掴んでいる手が、ようやく緩んで離れていった。立ち上がる気配がする。
脈打つ痛みに意識は遠のく。必死にこらえて、まぶたをこじ開ける。細かくかすんだ視界、顔のすぐ近くに甘粕の革靴がある。その靴のかかとにべっとりと、自分のものではない血液が付着しているのを見て、野枝は覚った。
全身から力が抜け落ちる。
最後に見た、あの澄んだ目・・・彼の、眼。
革靴の向こう側、床板の彼方でドアが開き、部下が一人入ってくるのがぼんやり見える。振動が耳に響く、這ってでも逃げたいのに身体が動かない。いつのまにか子供のなき声も止んでいる。
(ああ、宗坊)
それだけは信じたくない、いjくら憲兵でもあんなに小さな子どもまで手にかけるはずが・・・
近づいてきた靴が、すぐそばで止まった。蹴り転がすようにして仰向けにされると、天井からぶら下がる明かりが目に突き刺さる。太陽のような丸い明りの中に、黒い頭が二つ。涙と血と逆光で、顔は見えない。
「合いたいかね 旦那に」
甘粕の声が降ってきた。
「合わせてやろう」
脇腹に靴先が食い込み、野枝は身をよじった。別の靴が顔を蹴る。胸を、腹を踏みつづける。何度も、繰り返し。
湶が折れ、内臓のどれかに刺さる。
ああ、死ぬのだ。
張り詰めた乳房を踏みにじられたとたん、熱いものがほとばしり、服を」内側から濡らした。腕を掴んで引き起こされ、、背後からは太い腕が首に巻きつく。もがきながら鼻からわずかに吸い込む息に、血と乳の匂いが入り混じる。
締まってゆく、頭がぱんぱんに膨れあがる。だめだ。破裂する。
暗転前の一瞬・・・子らの顔が浮かんだ。

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大岸弦
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