ゴールド・ボーイ

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劇場公開日:

解説

平成「ガメラ」3部作の金子修介監督が岡田将生を主演に迎え、殺人犯と少年たちが繰り広げる心理戦の行方を描いたクライムサスペンス。「バッド・キッズ 隠秘之罪」のタイトルでドラマ化され中国で人気を集めたズー・ジンチェンの小説「悪童たち」を原作に、舞台を沖縄に移して映画化した。

実業家の婿養子である東昇は、ある目的のため、義理の両親を崖の上から突き落として殺害する。それは完全犯罪のはずだったが、3人の少年少女がその現場を偶然にもカメラでとらえてしまう。それぞれ複雑な家庭環境や家族の問題を抱える少年たちは、東を脅迫して大金を手に入れようと画策するが……。

岡田ふんする殺人犯と対峙する3人の少年少女を「リボルバー・リリー」の羽村仁成、特撮ドラマ「王様戦隊キングオージャー」の星乃あんな、「ラーゲリより愛を込めて」の前出燿志が演じ、黒木華、松井玲奈、北村一輝、江口洋介らが脇を固める。

2023年製作/129分/PG12/日本
配給:東京テアトル、チームジョイ
劇場公開日:2024年3月8日

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(C)2024「ゴールド・ボーイ」製作委員会

映画レビュー

4.5ウェルメイドでは収まらないミステリー映画の傑作

2024年3月31日
PCから投稿

金子修介監督作をすべて観ているわけではないのだが、和製ドラキュラ映画の『噛みつきたい』みたいな危なげな企画を面白く仕上げてみせる手練れであり、平成ガメラ三部作や『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』のみごとさもあって、日本屈指の職人監督という印象を持っていた。なので、中国の犯罪小説を翻案した本作も、手堅く面白い映画に仕上がっているはず……なんて予想は、当たっていたと同時に、失礼でもあったと反省している。というのも、「職人監督が作るウェルメイドなジャンル映画」なて枠ではとても括れない、どこかハミ出し感のあるパワフルなシーンが矢継ぎ早に訪れるスリラーだったから。

二転三転する物語なのでネタバレなしに書くのは難しいので具体的な中身について書くことはやめておくが、ほとんどの登場人物の倫理観が当然のように歪んでいるのが実にいい。日本映画というより表現のひとつひとつに情け容赦がない韓国ミステリーの手触りに近いが、それでもなおどこに向かっているのかわからない強烈なオリジナリティがあり、ストーリーも面白いけれど、それよりもひとつひとつのシーンの不穏な空気に惹きつけられる。

人でなしのイケメンを演じさせたら相変わらず天下一品な岡田将生はもちろん、出演者はおしなべて素晴らしい。特に愛情深いが生活苦で余裕がない母親を演じた黒木華は、登場シーンのすべてに張り詰めた緊張感と現実感をもたらしていて、相変わらずの天才っぷりに震えました。

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村山章

4.0新しい座組で開けた可能性

2024年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

中国原作でチームジョイが製作に加わっていて、日本のスタッフ・キャストで長編映画を作るという座組は新しいのでとても興味深く観た。座組が変わると新しい可能性も拓けるのだと改めて思う。少年少女が犯罪を目撃して大人から金を脅し取るという内容の、強烈な青春映画なのだが、なかなか日本の会社だけでは企画しづらそうな感じはある。とにかく3人の少年少女の危なそうで純真そうなたたずまいが素晴らしくて、イノセントさと狂気が薄皮一枚の差しかないことを思い知らされる名演技を見せてくれる。

岡田将生はこういう狡猾な男役が本当に上手。脚本の運びも秀逸で全く飽きないで見られる。沖縄を舞台に選んだのも良かったと思う。東京の郊外でも成り立つ話ではあるけど、風光明媚な風景の美しさと人間の狡さのミスマッチがいい。
こういう可能性が開けるなら、どんどんアジアで国際共同製作をやっていくべきだ。国内興行は苦戦気味のようだけど、海外市場でうまいこと活路を見出してほしい。

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杉本穂高

4.5秀逸な中国発原作と、手練れの脚色、演出。日中の歴史が混ざり合う沖縄を舞台にした点も巧い

2024年3月17日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

題名と概要を最初に見た時、スティーヴン・キングの小説「ゴールデンボーイ」を思い出した。資料によると脚本の港岳彦のアイデアで、キングへの敬意を込めて「ゴールド・ボーイ」としたのだそう。両作品は実際、世代は異なるがそれぞれ“悪の資質”を併せ持つ主要人物たちが邂逅し、年少者が年長者の弱みにつけこんで自らの要求を通していく、という序盤の筋が共通する。

それにしても、嫉妬してしまうくらいによくできた、先の読めないストーリーだ。1986年浙江省(せっこうしょう)生まれの紫金陳(ズー・ジンチェン)が2014年に発表した小説が原作で、2020年にはドラマ化された(現在日本でも複数の配信サービスで視聴可能)。

殺人という行為についての、ある種の突き放した感じというか、ドライなセンスが、日本人の肌感覚とは異なるような気もする。とはいえ、明・清時代の中国の影響が大きかった琉球王国から日本の県になった(さらには戦後の米占領下の時代も経験した)、歴史的・文化的レイヤーが複雑に混ざり合う沖縄を舞台にしたことで、日本人の登場人物たちが関わる物語なのにどこか異国の出来事のような、特別な映画世界が生まれたように感じる。

二枚目俳優にはサイコパスの殺人者がよく似合う。甘いマスクの明るい岡田将生が裏の顔に豹変する瞬間に震撼した。「悪の教典」の伊藤英明、「脳男」の生田斗真に匹敵するイケメンサイコパスではなかろうか。

怪獣映画だけでなく、子役や美少女アイドルの演出でも評価の高い金子修介監督は、羽村仁成、星乃あんな、前出燿志人の自然な演技を引き出しただけでなく、変化していく3人の関係性も効果的に描いてみせた。映画が陰惨にならず爽やかさと切なさを残しているのも、青春物語としての側面が活きているからだろう。特に星乃が演じた夏月の純粋さと、ある場面での震える手に、胸が締めつけられたことがずっと忘れられない。

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高森 郁哉

4.0どいつもこいつも

2024年4月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

見事なくずっぷり。しかし、正義はなった・・・のかな?

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satsuん
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