毛利菊枝 : ウィキペディア(Wikipedia)
毛利 菊枝(もうり きくえ、1903年11月3日 - 2001年8月20日)は、日本の女優。本名は森 キク(旧姓:小林)。夫は美術史家の森暢。
杉村春子、山本安英らと同世代の新劇女優であり、岸田國士に師事。幾つかの劇団を経て、京都市に劇団くるみ座を創設し、長く代表をつとめた。戦後は映画やテレビドラマにも多く出演し、老け役で活躍した。
略歴・人物
1903年(明治36年)11月3日(火曜日)、群馬県利根郡沼田町(現沼田市)に生まれる。群馬県立高崎高等女学校(現群馬県立高崎女子高等学校)中退。
1925年(大正14年)、岸田国士主宰の新劇研究所に第1期生として入る。1929年(昭和4年)、喜劇座の旗揚げ公演『御意に任せて』で初舞台を踏む。1932年(昭和7年)に友田恭助・田村秋子夫妻の築地座に参加するが、1934年(昭和9年)に木崎豊、清川玉枝、龍岡晋らと脱退して京都で創作座を旗揚げした茨木憲著『日本新劇小史』p.96。1937年(昭和12年)に同座を退団。1940年(昭和15年)に宇野重吉、中江良介、信欣三、北林谷栄らと瑞穂劇団に参加した茨木憲著『ものがたり・戦後演劇』p.30『日本新劇小史』p.105。
1946年(昭和21年)、京都で毛利菊枝演劇研究所を発足させ、1948年(昭和23年)に劇団くるみ座と改称したデジタル版 日本人名大辞典+Plus「毛利菊枝」の項。門下生には俳優の栗塚旭、北村英三、多賀勝一、沼田曜一、劇作家の山崎正和らがおり、京都の新劇の劇団の中では最古で、劇団民芸、文学座、俳優座と並ぶ古い歴史を持つ劇団となった。舞台の代表作に『肝っ玉おっ母とその子どもたち』(くるみ座)があり、この演技で毎日演劇賞を受賞している。
映画では、1937年の『からゆきさん』(木村荘十二監督)が初出演作となり、およそ100本の作品に出演。
テレビドラマでは『信子とおばあちゃん』に主人公・信子の祖母(佳年おばあちゃん)役などで出演。
老け役の名手として活躍した。
2001年(平成13年)8月20日、肺炎のため静岡市内の病院で死去。享年97。
受賞・栄典
- 1954年:毎日演劇賞(『肝っ玉おっ母とその子供たち』の演技で)
- 1960年
- 京都新聞文化賞
- 大阪府民劇場賞
- 1975年:京都市文化功労者
- 1980年:勲四等瑞宝章
- 1983年:第1回京都府文化賞功労賞
- 1984年:第8回山路ふみ子映画功労賞
出演作品
映画
- からゆきさん(1937年、入江ぷろだくしょん) - からゆきさん
- 女優須磨子の恋(1947年、松竹) - 島村いち子
- 好色五人女(1948年、大映) - お喜乃
- 夜の女たち(1948年、松竹) - 古着屋の女将
- 女の一生(1949年、東宝) - 木村たき
- フランチェスカの鐘(1949年、松竹) - 棚橋文子
- 千石纒(1950年、東横映画) - お米
- エデンの海(1950年、綜芸プロ) - 吉田先生
- 金田一耕助シリーズ(東映)
- 八ツ墓村(1951年) - 田治見小竹
- 悪魔が来りて笛を吹く(1954年) - 信乃
- 大江戸五人男(1951年、松竹) - 老母お岸
- 西鶴一代女(1952年、新東宝) - 老尼妙海
- あの手この手(1952年、大映) - アコの祖母
- 雨月物語(1953年、大映) - 右近
- 欲望(1953年、大映) - 生神様
- 祇園囃子(1953年、大映) - 女紅場の教師
- 東京マダムと大阪夫人(1953年、松竹) - 大阪のおばあちゃん
- 怪談佐賀屋敷(1953年、大映) - お政の方
- 地獄門(1953年、大映) - 佐和
- 女の園(1954年、松竹) - 学長
- 忠臣蔵 花の巻・雪の巻(1954年、松竹)- わか
- 真実一路(1954年、松竹) - 河村うめ
- 山椒大夫(1954年、大映) - 巫女
- 右門捕物帖 妖鬼屋敷(1954年、宝塚映画) - 光月院
- 新諸国物語 紅孔雀全五部作(1954年 - 1955年、東映) - 黒刀自
- たけくらべ(1955年、新芸術プロ) - お富
- 青銅の基督(1955年、松竹) - つる
- 赤穂浪士 天の巻・地の巻(1956年、東映) - 宗徧の妻
- 逆襲獄門砦(1956年、東映) - ふく
- 朱雀門(1957年、大映) - 本寿院
- 暴れん坊街道(1957年、東映) - おこう
- 源氏物語 浮舟(1957年、大映) - 乳母衛門
- 夜の鼓(1958年、現代ぷろ) - 祖母菊
- 第五福竜丸(1959年、近代映画協会) - 久保山きぬ
- 紅顔の密使(1959年、東映) - 柴木
- 二等兵物語 万事要領の巻(1959年、松竹) - さよ子
- ぼんち(1960年、大映) - きの
- 安珍と清姫(1960年、大映) - 渚
- 武器なき斗い(1960年、大東映画) - 滝井のおばさん
- 江戸っ子繁昌記(1961年、東映) - 菅乃
- 天草四郎時貞(1962年、東映) - 天草四郎の母・マルタ
- 雪之丞変化(1963年、大映) - お三婆
- 死闘の伝説(1963年、松竹) - 園部梅乃
- 風の視線(1963年、松竹) - 竜崎聰子
- われ一粒の麦なれど(1964年、東京映画) - 根本の母
- 仇討(1964年、東映) - とめ
- 明治侠客伝 三代目襲名(1965年、東映) - 江本ひさ
- 六條ゆきやま紬(1965年、東京映画) - 六條美乃
- 刺青(1966年、大映) - 新助の母
- 強虫女と弱虫男(1968年、近代映画協会) - 百姓の婆さん
- 沈黙 SILENCE(1971年、表現社) - 老婆
- あゝ決戦航空隊(1974年、東映) - 易妻
- 夜明けの旗 松本治一郎伝(1976年、東映) - 松本ちよ
- 赤穂城断絶(1978年、東映) - 大高貞
- 地獄(1979年、東映) - 懸衣嫗
- ちゃんばらグラフィティー 斬る!(1981年、東映)
テレビドラマ
- お好み日曜座 / おばあさん(1959年、NHK) - おばあさん
- サンヨーテレビ劇場 / 羅生門(1959年、KR)
- 部長刑事 第48話「盆おどりの夜」(1959年、OTV)
- 現代人間模様 第19・20話「城 修復技師」(1959年、NHK)
- 東芝日曜劇場(TBS)
- 第204話「穴」(1960年)
- 第804話「寒椿」(1972年)
- 第924話「風前の灯」(1974年)
- 第1001話「二人の息子」(1976年)
- 第1136話「京おんな・恋のおくり火」(1978年)
- 女の園(NHK)
- 第32話「その歳月」(1962年)
- 第58話「姥の門出」(1962年)
- 創作劇場 / 闖入者(1963年、教育テレビ) - C・老婆
- 嫁ぐ日まで 第17話「つゆ」(1963年、CX)
- テレビ指定席 / 恐山宿坊(1964年、NHK)
- 風雪(NHK)
- 炎の女(1964年) - 英の母
- 活動大写真(1965年) - 牧野やな
- 素浪人 月影兵庫 第1シリーズ 第17話「真赤な花が咲いていた」(1966年、NET) - 多門
- 剣 第5話「蝉時雨」(1967年、NTV) - きくの母
- NHK大河ドラマ / 竜馬がゆく(1968年、NHK) - お竜の母
- 影の顔(1970年) ‐ 老女中・お糸
- 連続テレビ小説(NHK)
- 信子とおばあちゃん(1969年 - 1970年) - 佳年おばあちゃん
- よーいドン(1982年 - 1983年) - 八洲弥生
- 徳川おんな絵巻 第13話「白鷺城の若き獅子」・第14話「永遠の初夜」(1970年、KTV) - 光月院
- 銀河ドラマ / 影の顔(1970年、NHK) - 老女中お糸
- 水戸黄門(TBS / C.A.L)
- 第2部 第24話「悪い奴ら・宮津」(1971年) - 桔梗屋
- 第3部 第20話「帰って来た男・土佐」(1972年)
- 第4部 第12話「なまはげ様のお通りだ!・秋田」(1973年) - さき
- 第5部
- 第8話「一寸の虫にも五分の魂・金沢」(1974年) - 森かね
- 第24話「二人の御老公・佐賀」(1974年) - 農家の婆さん
- 第7部
- 第19話「最上紅花恋の唄・米沢」(1976年) - とめ
- 第30話「おふくろさまは山びこ・上田」(1976年)- おかの
- 第8部 第22話「海鳴り龍王岬・高知」(1977年) - おさき
- 影同心II 第15話「尼と男の冬の宿」(1976年、MBS / 東映) - 老庵主
- 遠山の金さん 第38話「消えた姫君を追え‼」(1976年、NET) -たか
- 横溝正史シリーズII / 八つ墓村(1978年、MBS) - 田治見小竹
- 赤穂浪士(1979年、NET) - 高木くめ
- 大岡越前 第6部 第11話「江戸っ子駕籠」(1982年、TBS / C.A.L) - おとき
外部リンク
- 毛利菊枝 - 日本映画データベース
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/03/23 15:58 UTC (変更履歴)
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike and/or GNU Free Documentation License.