真藤順丈 : ウィキペディア(Wikipedia)

は、日本の小説家。

2008年から2009年にかけて、4つの新人賞を相次いで受賞しデビューした。受賞したのは、刊行順にダ・ヴィンチ文学賞大賞(『地図男』)、日本ホラー小説大賞大賞(『庵堂三兄弟の聖職』)、電撃小説大賞銀賞(『東京ヴァンパイア・ファイナンス』)、ポプラ社小説大賞特別賞(『RANK』)。 2018年に『宝島』で山田風太郎賞、2019年には同作で第160回直木三十五賞を受賞。

人物

学生時代、自主映画やウェブコンテンツを製作する創作集団を結成。映画監督を志して映像関係の仕事にたずさわり、そのかたわらで小説の執筆も始める。のちに小説に専念し、長編短編あわせて10作ほどを投稿するがことごとく落選。 30歳になって一念発起、一年間で毎月一作を各新人賞に応募して、すべて駄目なら小説家の道はあきらめると決める。生活を切りつめて執筆に臨み、純文学系からライトノベルまで様々なジャンルの作品を投稿して、四作が受賞『小説現代』2008年9月号『ダ・ヴィンチ』2008年10月号。2008年にNHK「おはよう日本」2008年9月28日放送やTBS「王様のブランチ」2008年10月25日放送などで特集が組まれる。

ホラー、ミステリ、幻想怪奇、SF、アウトロー小説といったジャンルにとらわれない幅広い作品を発表。ホラー大賞受賞の選評で、高橋克彦は「異常な状況に、笑いや人の心の温かさを加味する才能」を評価している『野性時代』2008年7月号。また、平山夢明は「〈魂の救済〉をテーマとし、物語の〈極限〉を提示しようとしている」と評している『庵堂三兄弟の聖職』文庫版解説。

2009年からは、WOWOW「ノンフィクションW」にナビゲーターとしてゲスト出演したり2010年9月20日放送「MAPS 地図裏の冒険者たち」、映画『眼球遊園〈大日本ノックアウトガール〉』に彫り師役として出演するなど、活動の幅をひろげている。

近代文学では安部公房三島由紀夫を愛好する。現代の作家では平山夢明、村上春樹、村上龍貴志祐介などを挙げているBookJapan

受賞歴

  • 2008年
「地図男」で第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞
「庵堂三兄弟の聖職」で第15回日本ホラー小説大賞大賞受賞
「東京ヴァンパイア・ファイナンス」で第15回電撃小説大賞銀賞受賞
「RANK」で第3回ポプラ社小説大賞特別賞受賞
  • 2018年
『宝島』で第9回山田風太郎賞第1回細谷正充賞受賞
  • 2019年
『宝島』で第160回直木三十五賞第5回沖縄書店大賞受賞

作品リスト

小説

  • 地図男(2008年9月、メディアファクトリー / 2011年2月、MF文庫ダ・ヴィンチ / 2019年3月、角川文庫)
  • 庵堂三兄弟の聖職(2008年10月、角川書店 / 2010年8月、角川ホラー文庫)
  • 東京ヴァンパイア・ファイナンス(2009年2月、電撃文庫)
  • RANK(2009年5月、ポプラ社 / 2011年12月、ポプラ文庫)
  • バイブルDX(2010年3月、メディアファクトリー)
  • 畦と銃(2011年7月、講談社 / 2014年4月、講談社文庫)
    • 収録作品:拳銃と農夫 / 第二次間伐戦争 / ガウチョ防衛線 / あぜやぶり・リターンズ
  • 墓頭(2012年12月、角川書店 / 2015年10月、角川文庫)
  • 七日じゃ映画は撮れません(2014年3月、実業之日本社 / 2018年12月、実業之日本社文庫)
    • 収録作品:天国の真下で / ODコネクション / 魔弾の射手 / 声と鼓膜のあわい / 蜃気楼のドレス / THE BANDIT WORKS / 太陽のまがいもの / 映像特典 / プロデューサーと災禍の歴史 / アンダーヘブン撮影記 / それでは映画の時間です (※短編+長編の連作形式)
  • しるしなきもの(2015年1月、幻冬舎)
  • 黄昏旅団(2015年4月、文藝春秋 / 2019年4月、文春文庫)
  • 夜の淵をひと廻り(2016年1月、KADOKAWA / 2018年11月、角川文庫)
    • 収録作品:蟻塚 / 優しい夜の紳士 / 着飾るヴィジランテ / 笛吹き男はそこにいる / 悪の家 / 新生 / ぼくは猿の王子さま / スターテイル / 夜の淵をひと廻り
  • 宝島(2018年6月、講談社 / 2021年7月、講談社文庫)
  • われらの世紀 真藤順丈作品集(2021年4月、光文社)
    • 収録作品:恋する影法師 / 一九三九年の帝国ホテル / レディ・フォックス / 笑いの世紀 / 異文字 / ダンデライオン&タイガーリリー / 無謀の騎士 / 血の潮 / 終末芸人 / ブックマン――ありえざる奇書の年代記
  • ものがたりの賊(2021年11月、文藝春秋)

オリジナルノベライズ

  • GANTZ/EXA(2011年1月、集英社 JUMP j BOOKS)
奥浩哉「GANTZ」を基にしたオリジナルノベライズ。原案 / 構成・平山夢明
  • ジョジョの奇妙な冒険 無限の王(2024年4月 集英社)

編著

  • 真藤順丈リクエスト!絶滅のアンソロジー(2021年8月、光文社 / 2022年9月、光文社文庫)

アンソロジー 参加作品

  • ボルヘスハウス909(『怪物團 異形コレクションXLIII』2009年8月、光文社文庫)
  • 終末芸人(『喜劇綺劇 異形コレクションXLIV』2009年12月、光文社文庫)
  • 餓え(『憑依 異形コレクションXLV』2010年5月、光文社文庫)
  • CLASSIC(『Fの肖像 フランケンシュタインの幻想たち 異形コレクションXLVI』2010年9月、光文社文庫)
  • 十億年浴場(『邪神宮 闇に囁くものたちの肖像』2011年4月、学研パブリッシング)
  • 長い呪い(「怪談実話 FKB話 饗宴」2011年5月、竹書房文庫)
  • 夜のひと群れ(『怪談実話系6 書き下ろし怪談文芸競作集』2011年6月、MF文庫ダ・ヴィンチ)
  • 異文字(「物語のルミナリエ 異形コレクションXLVIII」2011年12月、光文社文庫)
  • クライクライ(『憑きびと 「読楽」ホラー小説アンソロジー』2016年2月、徳間文庫)
  • 蟻塚(『沈黙の狂詩曲 最新ベストミステリー』2019年11月、光文社)
  • 愛にまつわる三つの掌篇(『ダーク・ロマンス 異形コレクションXLIX』2020年11月、光文社文庫)
  • ブックマン――ありえざる奇書の年代記(『蠱惑の本 異形コレクションL』2020年12月、光文社文庫)
  • オキシジェン(『緊急事態下の物語』2021年6月、河出書房新社)
  • グレート・ナンバーズ(『短編ホテル』2021年9月、集英社)
  • キングズベリー・ラン(『狩りの季節 異形コレクションLII』2021年11月、光文社文庫)

単行本未収録作

連載

  • ヴンダーカマー文学譚(HB ホーム社文芸図書WEBサイト 2019年8月30日 - )
  • P(『読楽』2020年7月号 - )
  • 愚者の殺人(『小説幻冬』2020年8月号 - )
  • 無限の王(『JOJO magazine』2022 SPRING - )

連載終了

  • ゴッドブレス(『小説トリッパー』2010年秋季号 - )
  • オメガ・スポーツ(『小説すばる』2012年9月号 - )
  • 銀の夜は人にあらず(『小説宝石』2013年4月号 - )
  • 塔の国(『ミステリーズ!』vol.93 FEBRUARY 2019 - vol.104 DECEMBER 2020)
  • ビヘイビア(『文芸カドカワ』2019年7月号 - 2019年8月号、『カドブンノベル』2019年9月号 - 2020年12月号)
  • 奈落の子(『週刊新潮』2020年11月26日号 - 2021年11月11日号)

短編

  • まどろみの聖櫃(『野性時代』2008年12月号)
  • 墓苑の皮(『野性時代』2009年5月号)
上記二作は『庵堂三兄弟の聖職』のスピンオフ作品
  • アップデート狂(『小説すばる』2009年1月号)
  • 闇はぼくたちの窓(『小説現代』2009年8月号)
  • 野生の獅子舞(『小説すばる』2009年11月号)
  • メロディアス(『小説すばる』2010年8月号)
  • 隠り社(「『小説宝石』2011年9月号)
  • クライクライ(『読楽』2014年9月号)
  • 死神(『小説現代』2018年4月号)
古典落語「死神」の翻案
  • ある寵児(『オール讀物』2019年9・10月合併号)
  • アッシュ・トゥ・アッシュ(『文春ムック 週刊文春 FASHION is SCANDAL!!週刊文春が迫る、BEAMSの世界。』2019年10月)
  • アリューシャン海獣ラリー(『小説 野性時代』2019年12月号)
  • ブーテン(『小説現代」2020年5月号)
  • (ex):絶滅教育(『小説宝石』2020年6月号)
  • 25セント(『小説現代』2020年8月号)
  • 五つ目の石(『小説現代』2020年9月号)
  • アーニーパイルで逢いましょう(『小説現代』2020年11月号)
  • キングタイド(『小説 野性時代』2020年12月号)
  • 王立遊園地のスリラー(『小説 野性時代』2020年12月号)
  • 海の眼(『怪と幽』2020年5月 vol.004、2020年9月 vol.005、2020年12月 vol.006)
  • オキシジェン(『文藝』2021年春季号)
  • 家族の唄(『小説現代』2021年5・6月合併号
  • インディゴの塵(『小説 野性時代』特別編集 2021年冬号)

帯文・解説

  • 河崎秋子『土に贖う』(2019年9月、集英社):帯文
  • 李龍徳『あなたが竹槍で私を突き殺す前に』(2020年3月、河出書房新社):帯文
  • 角幡唯介『漂流』(2020年4月、新潮社文庫):解説
  • 藤井誠二『沖縄アンダーグラウンド』(2021年5月、集英社文庫 ):解説

出典

関連項目

  • 日本の小説家一覧
  • 怪奇小説作家一覧
  • 推理作家一覧
  • SF作家一覧
  • ライトノベル作家一覧

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