中村匠吾 : ウィキペディア(Wikipedia)
中村 匠吾(なかむら しょうご、1992年9月16日 - )は、三重県四日市市出身の陸上競技選手。専門は長距離走・マラソン。上野工業高校(現・伊賀白鳳高校)、駒澤大学経済学部経済学科卒業。富士通陸上競技部所属。
経歴・人物
高校3年時の2010年沖縄インターハイ5000mで3位入賞(日本人2位)。同年10月には5000m高校歴代7位(当時)となる13分50秒38を記録し、5000mで同世代の最高記録保持者となる。しかし、この1ヵ月後に、翌年から駒澤大学でチームメイトとなる村山謙太が中村の記録を上回る13分49秒45を記録した。同年の高校駅伝では大会直前の怪我をおして強行出場したものの、1区区間44位のブレーキとなった。
駒澤大学入学後しばらくは、前述の怪我の影響もあり、同級生の村山らの影に隠れ目立った活躍はなかった。しかし、着実に力を付けていき3年時の2013年関東インカレでは2部10000mで優勝。同年の日本選手権でも10000mに出場し5位入賞を果たした。また、同年のユニバーシアードにハーフマラソン代表選手として出場し、銅メダルを獲得。2014年3月に開催された世界ハーフマラソンにもチームメイトの村山とともに日本代表として出場した。駅伝においても大学三大駅伝のうちの2つ、出雲駅伝・全日本大学駅伝でともに1区を走り区間賞獲得の活躍。三大駅伝残りの1つである箱根駅伝でも1区を走り区間賞はならなかったものの、区間賞を獲得した日本体育大学・山中秀仁から11秒差の区間2位であった 箱根駅伝公式Webサイト。このように大学3年生の1年間は、個人のトラック・ロードレース、また駅伝と多くの場で無類の強さを見せた1年であった。
大学4年時にはチームの主将を務める が、好調だった3年時とは打って変わって不調に悩まされ、レースへの出場も少なかった。それでも秋口からは調子を上げ、全日本大学駅伝では4区を走り区間賞。駒澤大学の同駅伝4連覇に貢献した。4年間の集大成となる第91回東京箱根間往復大学駅伝競走では再び1区を任せられる。終盤何度か先頭集団から振り放されそうになるも、そのたびに粘りの走りで先頭に追いつき、最終的に自らスパートを仕掛けトップで盟友・村山にタスキをつないだ(区間賞)。この区間賞獲得で、中村は三大駅伝のすべてで1区区間賞を獲得したことになった。
大学卒業後は富士通に入社して同社陸上部に所属。入社1ヶ月後の2015年ゴールデンゲームズinのべおかで5000mA組に出場し、13分43秒41の記録で高校以来の自己ベストを塗り替えた。同年9月の第63回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会では5000mに出場し、日本人最高位となる6位に入賞した。
2016年元日のニューイヤー駅伝では大学時代から得意としていた1区に出走し、先頭から5秒差の区間6位でタスキリレーした。同年2月の第44回全日本実業団ハーフマラソンでは6位入賞し日本人トップとなり、翌3月に開催された世界ハーフマラソン日本代表に2大会連続で選出された。同年9月の第64回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会では5000mに出場し、前年と同じく日本人最高の記録で走り5位入賞した。
2018年3月には第73回びわ湖毎日マラソンに出場し、初マラソンに挑戦した。気温15~20度と季節外れな高温の悪条件だったが、27km付近まで先頭集団についていった。その後優勝争いから後退するも、レース終盤から追い上げる。37Km過ぎで日本人暫定首位ながら極端にペースダウンした窪田忍(トヨタ自動車)を追い越し、38Km付近で並走していた今井正人(トヨタ自動車九州)を突き放す。結果総合7位ながらも日本人ではトップとなり、ゴールタイムは2時間10分51秒と、辛うじてマラソングランドチャンピオンシップ(2020年東京オリンピック男子マラソン選考会)の出場権を獲得したスポーツナビ陸上:びわ湖毎日マラソン 中村は2時間10分台の7位でMGC出場権獲得 初マラソンのディラングが優勝 2018年3月4日掲載 12時30分スタート。
2018年9月にはベルリンマラソン(ドイツ)に出場し、2度目のマラソンに挑戦した。同大会で2時間1分39秒の世界新記録で優勝したエリウド・キプチョゲ(ケニア)の超ハイペースには、号砲直後からついていかず、15分丁度前後のイーブンペースを維持。30Km以降はペースダウンしたものの、ゴールタイムは2時間8分16秒と自己記録を2分35秒更新、日本男子トップの4位に入った中村、大幅自己新に手応え=ベルリン・マラソン 時事ドットコム 2018年9月16日掲載中村、4位もタイムに不満「ある程度記録を狙える状態だった」 ベルリン・マラソン サンスポ 2018年9月16日掲載。
2019年3月の東京マラソン2019に出場し、自己記録更新を目指したものの、冷雨の悪条件もあってか中間点を過ぎてスローダウン、2時間14分台の総合15位(日本人11着)に留まった東京マラソン2019公式サイト 大会結果。
2019年9月にはマラソングランドチャンピオンシップに出場した。スタート直後から独り飛び出した設楽悠太(HONDA・前マラソン日本記録保持者)にはつかずに、後方の第二集団で待機した。37km過ぎで大幅にペースが落ちた設楽を追い抜き、その後は最終盤まで大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト・現マラソン日本記録保持者)、服部勇馬(トヨタ自動車)らと激しく競り合った。39.5km付近で中村がスパートを掛けて抜け出すも、41km付近で大迫に追いつかれた。しかし、再度スパートを掛けて大迫を突き放し、優勝を飾り、2020年東京オリンピック男子マラソン日本代表に内定した(2位は8秒差で服部が入り、中村と共に東京五輪内定。3位は13秒差で大迫)陸上:マラソングランドチャンピオンシップ 男子 スポーツナビ 2019年9月15日記事中村優勝、服部2位で東京五輪内定/男子MGC詳細◆レース速報 日刊スポーツ 2019年9月15日記事。中村の優勝ゴール後、駒澤大学の恩師・大八木弘明監督が中村に駆け寄り、抱擁して祝福したマラソン中村匠吾の恩師・大八木監督も感激、涙で「男だろ」など声かけに行けず デイリースポーツ 2019年9月15日掲載。
2021年8月8日、2020年東京オリンピック男子マラソンでは2時間22分23秒で62位だった。
自己記録
種目 | 記録 | 年 | 大会 |
---|---|---|---|
5000m | 13分38秒93 | 2016年9月25日 | 全日本実業団対抗陸上競技選手権大会 |
10000m | 28分05秒79 | 2013年5月11日 | ゴールデンゲームズinのべおか |
ハーフマラソン | 1時間01分40秒 | 2020年1月12日 | 高根沢町元気あっぷハーフマラソン |
30 km | 1時間30分11秒 | 2014年2月16日 | 熊日30キロロードレース |
マラソン | 2時間8分16秒 | 2018年9月16日 | ベルリンマラソン |
主な戦績
主な戦績
年 | 大会 | 種目 | 順位 | 記録 |
---|---|---|---|---|
2008 | 第13回全国都道府県対抗駅伝競走大会 | 2区(3.0 km) | 区間28位 | 9分05秒 |
2012 | 第34回読売犬山ハーフマラソン | ハーフマラソン | 優勝 | 1時間03分26秒 |
2013 | 第16回日本学生ハーフマラソン | ハーフマラソン | 優勝 | 1時間02分41秒 |
2013 | 第97回日本陸上競技選手権大会 | 10000m走 | 5位 | 28分27秒73 |
2013 | 第27回夏季ユニバーシアード | ハーフマラソン | 3位 | 1時間4分21秒 |
2014 | 第57回熊日30kmロードレース | 30 km | 3位 | 1時間30分11秒 |
2014 | 第21回世界ハーフマラソン選手権大会 | ハーフマラソン | 28位 | 1時間01分57秒 |
2015 | 第99回日本陸上競技選手権大会 | 5000m走 | 23位 | 13分53秒16 |
2015 | 第63回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会 | 5000m走 | 6位(日本人1位) | 13分45秒58 |
2016 | 第44回全日本実業団ハーフマラソン | ハーフマラソン | 6位(日本人1位) | 1時間01分53秒 |
2016 | 第22回世界ハーフマラソン選手権大会 | ハーフマラソン | 36位 | 1時間04分49秒 |
2016 | 第64回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会 | 5000m走 | 5位(日本人1位) | 13分38秒93 |
2016 | 第57回東日本実業団対抗駅伝競走大会 | 2区 | 区間5位 | 45分19秒 |
2017 | 第1回世田谷陸上競技会 | 5000m | 13組3位 | 14分30秒13 |
2017 | 第1回世田谷陸上競技会 | 5000m | 16組26位 | 14分16秒97 |
2017 | 第51回織田幹雄記念国際陸上競技大会 | 5000m | 18位 | 14分36秒09 |
2017 | 第101回日本陸上競技選手権大会 | 5000m | 3位 | 13分50秒91 |
2017 | ホクレン・ディスタンスチャレンジ網走 | 10000m | 7位 | 28分16秒01 |
2017 | ボストンハーフマラソン | ハーフマラソン | 4位 | 1時間04分50秒 |
2017 | 第58回東日本実業団対抗駅伝競走大会 | 2区 | 区間5位 | 45分27秒 |
2018 | 第1回世田谷陸上競技会 | 3000m | 13組16位 | 8分18秒67 |
2018 | 第66回兵庫リレーカーニバル | 10000m | 9位 | 28分50秒84 |
2018 | 第29回ゴールデンゲームズinのべおか | 5000m | 14位 | 13分53秒43 |
2018 | 第102回日本陸上競技選手権大会 | 10000m | 15位 | 29分57秒05 |
2018 | 第59回東日本実業団対抗駅伝競走大会 | 4区 | 区間2位 | 27分59秒 |
2020 | 第61回東日本実業団対抗駅伝競走大会 | 3区 | 区間4位 | 48分03秒 |
2024 | 第65回東日本実業団対抗駅伝競走大会 | 1区 | 区間12位 | 34分00秒 |
大学三大駅伝
学年 | 出雲駅伝 | 全日本大学駅伝 | 箱根駅伝 |
---|---|---|---|
1年生(2011年度) | 第23回― - ―出走なし | 第43回6区-区間3位36分59秒 | 第88回― - ―出走なし |
2年生(2012年度) | 第24回― - ―出走なし | 第44回― - ―出走なし | 第89回3区-区間3位1時間05分55秒 |
3年生(2013年度) | 第25回1区-区間賞23分25秒 | 第45回1区-区間賞42分38秒 | 第90回1区-区間2位1時間01分36秒 |
4年生(2014年度) | 第26回― - ―大会中止 | 第46回4区-区間賞41分01秒 | 第91回1区-区間賞1時間02分00秒 |
全日本実業団駅伝
年(回) | 区間 | 区間順位 | 記録 |
---|---|---|---|
2016年(第60回) | 1区 | 区間6位 | 35分29秒 |
2018年(第62回) | 5区 | 区間4位 | 48分21秒 |
2019年(第63回) | 4区 | 区間9位 | 1時間5分49秒 |
2021年(第65回) | 4区 | 区間2位 | 1時間4分14秒 |
2022年(第66回) | 4区 | 区間26位 | 1時間6分13秒 |
2024年(第68回) | 7区 | 区間11位 | 48分52秒 |
マラソン全成績
年月 | 大会 | 順位 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
2018年3月4日 | 第73回びわ湖毎日マラソン | 7位 | 2時間10分51秒 | 初マラソン・日本男子首位・MGCシリーズ第5弾(2020年東京オリンピックマラソン代表選考会) |
2018年9月16日 | ベルリンマラソン | 4位 | 2時間08分16秒 | 自己記録更新・日本男子首位 |
2019年3月3日 | 東京マラソン2019 | 15位 | 2時間14分52秒 | MGCシリーズ第9弾 |
2019年9月15日 | マラソングランドチャンピオンシップ(MGC) | 優勝 | 2時間11分28秒 | 東京オリンピック男子マラソン選考会・日本代表内定 |
2021年8月8日 | 東京オリンピックマラソン | 62位 | 2時間22分23秒 | 日本人2位 |
2024年8月25日 | 北海道マラソン2024 | 優勝 | 2時間15分36秒 |
外部リンク
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