チャールズ・マーティネー : ウィキペディア(Wikipedia)

チャールズ・マーティネー(Charles Martinet、1955年9月17日 - )は、アメリカ合衆国の俳優、声優。アメリカ合衆国カリフォルニア州サンノゼ出身。

人物・来歴

20歳で俳優デビューし、多数の映画に出演。後に声優としての活動も開始している。41歳の頃、1996年発売のテレビゲーム『スーパーマリオ64』では主人公・マリオの声優に起用される。以後マリオシリーズにおいてはマリオの他にルイージやワリオ、ワルイージなどのキャラクターの声も担当している。『スーパーマリオ64』以前にも、いくつかのPCゲームでマリオを演じていた。

なお、2018年には『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』への声の出演をもって「単一キャラクターとして100作のゲームに出演したギネス世界記録」に認定されている。

2023年8月21日、マリオたちの声優の引退と、マリオの親善大使への就任が任天堂の公式X(旧Twitter)で発表された。

マリオのオーディション

前述のように、チャールズ・マーティネーはコンピュータゲームシリーズである「マリオシリーズ」の主人公、マリオの声優を担当している。後にはマリオの弟であるルイージなど他の主要キャラクター複数の音声も担当しはじめ、かつ「マリオシリーズ」の音声は日本を含め世界共通であり、マーティネーの代表作となっている。

彼は元来からマリオというキャラクターを知っていたわけではなく、担当する切っ掛けも偶然に近いものだった。マーティネーはある日、友人から「見本市で配管工の役になって来場客に話す」オーディションがあるという話を聞き、是非にと薦められる。彼が当日会場に辿り着いたのはオーディションの終了間際で、すでにキャスティング・ディレクターらが機材の撤去を始めていた。マーティネーがオーディションを受けたい旨を伝えると、ディレクターはそれを許可し「ブルックリンに住んでいるイタリア人の配管工」をイメージして話すよう注文を付けた。

当初マーティネーはイタリア系アメリカ人のステレオタイプにありがちな、低く耳障りな声を想像したが、すぐにそれだと小さな子供たちに不快がられるだろうし、ありきたりでつまらないだろうと思い直し、親しみやすい今日のマリオの声色と口調に変え、結果としてオーディションに合格する。この時、オーディション用のテープが無くなるまで喋り続けたと本人はインタビューに答えている。

マリオとしてのキャリア

1991年から任天堂で働いていたマーティネーは、ビデオゲームの貿易ショーでマリオの声を担当し始める。参加者はテレビ画面に表示された3Dのマリオの頭に向かって歩き、画面上のマリオと完全な会話をすることができるシステムだった。このシステムは「マリオ・イン・リアルタイム」またはMIRTと呼ばれ、パサデナのSimGraphicsによって開発された。マーティネーは隠しカメラのセットアップによって参加者を見ることができ、顔のモーションキャプチャーは口の動きを記録し、画面上のマリオの口の動きと同期させていた。このデジタル操り人形劇は、当時の新奇さで、マーティネーのコミカルな演技とともに注目を浴びた。また、マーティネーは1992年のスーパーマリオブラザーズピンボールアーケードマシンでもマリオの声を担当した。

マーティネーが初めてマリオとしてビデオゲームに登場したのは、1994年のCD版『Mario Teaches Typing』で、正式には1995年にリリースされた『Mario's Game Gallery』が初。ここでは、マリオとしてプレイヤーと長時間の対話を行った。

スーパーマリオ64

多くの人々が初めてマリオの声を聞いたのは、1996年発売の『スーパーマリオ64』からである。MIRTを通じての作業中、マーティネーはマリオシリーズのクリエイターである宮本茂と知り合う。『スーパーマリオ64』のためにプロの声優を求めていた宮本は、任天堂にマリオの声を担当することについて問い合わせた。彼はこの予想外のチャンスに即座に同意し、サウサリートからシアトルのバッドアニマルズスタジオまで旅し、ゲームのために収録を行う。マーティネーはほとんど台本なしで収録され、プロデューサーから日本のチームが求めていたことの例を示されたほか、即興の演技も行い、それによってマリオの多くの決め台詞が生まれた。収録中、プレイヤーがマリオをほったらかすと、マリオが何をするかという問いが生じるが、最終的に、マーティネーはマリオが睡眠中にパスタの夢を見るアイデアを思いついた。最終的にゲームでは、マリオは2つ目の寝ている姿勢になると寝言を発する。

『スーパーマリオ64』の後、彼はルイージ、ワリオ、ワルイージ、メタルマリオ、ニセマリオ、ミニマリオ、ベビィマリオ、ベビィルイージ、ベビィワリオなどのキャラクターの声を、これらのキャラクターがセリフを発する多くのゲームで担当した。彼はまた、『スーパーマリオアドバンス』でボスキャラクターのマムー、ドン・チュルゲ、ガプチョ、チョッキーの声も担当した。彼の声は、ゲームの英語版と日本語版の両方に登場している。

マーティネーによると、彼は『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のリンクの声を担当したいと考えていたが、宮本茂からリンクは声を持たないままでいると告げられたが、リンクの掛け声は日本の声優によって演じられている。

マリオ以外のゲームの仕事

マリオシリーズ以外にも、マーティネーはビデオゲーム『』におけるFowl Mouthの声や、などの教育ゲームシリーズで主要な声の仕事を行った。また、2011年のビデオゲーム『』でドラゴンのパーサーナックスの声を担当し、2009年の『ラチェット&クランク FUTURE2』ではオーバスの声を、2013年のビデオゲーム『Runner2』および2018年の続編『Runner3』ではカットシーンとメニューのナレーションを担当し、後者では隠しプレイヤーキャラクターとしても登場した。マーティネーは2020年、ビデオゲームの歴史を描いたNetflixのドキュメンタリーシリーズ『』で声の提供を行った。

ビデオゲームの声優業以外にも、マーティネーはコマーシャル、アニメ、プロモーションなどで声優として活動している。2005年のElectronic Entertainment Expo(E3)で、マーティネーはニューヨークのプレイヤーと遊ぶことができる『おいでよ どうぶつの森』のプレイアブルデモで遠隔操作で参加した。また、マーティネーはニンテンドーゲームキューブの『パックマンvs.』でマリオの声をアナウンサーとして提供した。

出演作品

太字は主要キャラクター。

テレビドラマ

  • ザ・ブラザーフッド(愚か者)
  • ミッドナイト・コーラー
  • マトロック
  • リーズナブル・ダウト 静かなる検事記録
  • 刑事ナッシュ・ブリッジス
  • 特務指令 AIR AMERICA
  • ER緊急救命室
  • NYPDブルー

映画

  • ダーティハリー5
  • ママはモンスター
  • 9か月
  • ロルカ、暗殺の丘
  • ゲーム(ニコラスの父)
  • ナロー・エスケープ
  • ソング・フォー・カリフォルニア

劇場アニメ

  • ドラゴンボール超 スーパーヒーロー(2022年、マゼンタ)
  • ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年、マリオの父、ジュゼッペ)

OVA

  • ジョジョの奇妙な冒険(1994年、ウィルソン・フィリップス、パイロット)

ゲーム

海外版のみ
  • Super Mario Bros.(ピンボールゲーム)(マリオ
  • Mario's Game Gallery(マリオ
  • Mario Teaches Typing(マリオ
  • Mario Teaches Typing 2(マリオ
  • Mario's FUNdamental(マリオ
  • Dr. Mario 64(ドクターマリオワリオ、メタルマリオ、バンパイアワリオ)
  • エターナルアルカディア(ビゴラ)
  • ラチェット&クランク FUTURE2(オーバス)
  • エンド オブ エタニティ(ラガーフェルド)
  • Runner3(ナレーター)※作品内ではマーティネー本人をモチーフにしたキャラクターも登場する
  • メイド イン ワリオ ゴージャス(ワリオ、ワリオデラックス)
  • おすそわける メイド イン ワリオ(ワリオ、バグワリオ、ゲームをつかさどるもの)
  • ドラゴンボール レジェンズ(マゼンタ)

CM

  • マリオカートアドバンス(アニメーション)(マリオ)

その他

  • Mario in Real Time(マリオ)
  • Donkey Kong in Real Time(ドンキーコング)
  • Wario in Real Time(ワリオ)

注釈

出典

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/11/18 07:08 UTC (変更履歴
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