デレク・トラックス : ウィキペディア(Wikipedia)
デレク・トラックス(Derek Trucks, 1979年6月8日 - )は、アメリカ合衆国のギタリスト。スライドギターの名手として知られ、ジョン・メイヤー、ジョン・フルシアンテと共に「新世代3大ギタリスト」と呼ばれる。「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」において2003年は第81位、2011年の改訂版では第16位。妻は同じくギタリストでブルース歌手のスーザン・テデスキ(Susan Tedeschi)。
人物
フロリダ州ジャクソンヴィル出身。オールマン・ブラザーズ・バンドのオリジナル・メンバーであるドラマー、ブッチ・トラックス(ButchTrucks)の甥で、9歳からギターを弾き始める。弟のデュアン・トラックス(Duane Trucks)もドラマーとして音楽活を行なっている。
1994年にベーシストのトッド・スモーリィとともにバンドを組み始め、翌1995年にはドラマーのヨンリコ・スコットが参加してデレク・トラックス・バンドを結成。その後、キーボーディストのコフィ・バーブリッジ(オールマン・ブラザーズ・バンドのベーシストであるオテイル・バーブリッジの兄)、ボーカルのマイク・マティソン、パーカッションのカウント・ムブトゥも加わり、1997年から2010年までに6枚のスタジオ・アルバムと3枚のライブ・アルバムを発表した。
一方、10代前半からオールマン・ブラザーズ・バンドのライブにもゲストとして参加するようになり、1999年には正式メンバーとして迎えられた。以降、同バンドの特徴であるツイン・リード・スタイルの一翼を担ってきたが、2014年にもう1名のギタリストであるウォーレン・ヘインズとともに脱退を表明した。
ブルースシンガーでギタリストの妻スーザン・テデスキも1997年から彼と一緒に活動している。2010年には妻のバンドと合併及び再編成を行い、デレク・トラックス・バンドは活動停止し、現在はテデスキ・トラックス・バンドとして活動している。
著名ミュージシャンの様々なセッションに参加し、2006年にはエリック・クラプトンのツアーにも同行した。ちなみに彼の名前のデレクはクラプトンとデュアン・オールマンが参加した伝説のバンド、デレク・アンド・ザ・ドミノスにちなむ。
2004年にデレク・トラックス・バンドを率いて初来日を果たし、その後もテデスキ・トラックス・バンドで定期的に来日公演を行なっている。
プレイスタイル
微細な音程を自在に操るスライド・ギターの名手として名高い。ロックとブルース(エルモア・ジェイムズやデュアン・オールマン、B.B.キングなど)を基本としつつ、マイルス・デイヴィスの「So What」やジョン・コルトレーンの「Mr P.C」といった曲をカバー、サン・ラなどにも影響を受けるなどジャズ、さらにインド・アラブ音楽など幅広い音楽性を備えている。
ライブにおいては直立不動で、多彩なフレーズを涼しい顔で演奏している。2006年には、デレク・トラックス・バンドの初ライブDVD『Songlines Live』をリリース、このDVDで、当時の彼らの代表曲は一通り見ることができる。
使用機材
メイン・ギターはギブソン社のSGで、スライドバーにはデュアン・オールマンが使用していたことで有名なコリシディン(風邪薬)のボトルを愛用している。アンプはフェンダー社のスーパーリバーブで、エフェクターはディレイのみ使用。シールドは、プラネットウェーブ社のカスタムシリーズを使用。最近では、ポール・リード・スミスが2009年に発表したアンプを導入している。ライブにおいて右手はフィンガー・ピッキング(指弾き)であり、左手がスライドでなく押弦の場合も右手は指弾きである。チューニングはオープンEで、通常のコード弾きもオープンEのままプレイする。
デレク・トラックス・バンド・メンバー
- デレク・トラックス (Derek Trucks) – ギター
- コフィ・バーブリッジ (Kofi Burbridge) – キーボード、フルート、ボーカル※2019年2月死去
- トッド・スモーリィ (Todd Smallie) – ベース、ボーカル
- ヨンリコ・スコット (Yonrico Scott) – ドラム、パーカッション、ボーカル*※2019年9月死去
- マイク・マティソン (Mike Mattison) – リードボーカル
- カウント・ムブトゥ (Count M'Butu) – パーカッション
テデスキ・トラックス・バンド・メンバー
- スーザン・テデスキ(Susan Tedeschi):リード・ボーカル、ギター
- デレク・トラックス(Derek Trucks):リードギター
- タイラー・グリーンウェル(Tyler Greenwell):ドラム、パーカッション
- ケビ・ウィリアムズ(Kebbi Williams):サックス
- エフライム・オーウェンズ(Ephraim Owens):トランペット
- エリザベス・レア(Elizabeth Lea):トロンボーン
- マイク・マティソン(Mike Mattison):ハーモニー・ボーカル
- マーク・リバーズ(Mark Rivers):ハーモニー・ボーカル
- アリシア・シャコール(Alecia Chakour):ハーモニー・ボーカル
- ブランドン・ボーン(Brandon Boone):ベース ※ティム・ルフェーブルの後任として2018年12月に加入
- ゲイブ・ディクソン(Gabe Dixon):キーボード、ボーカル ※亡くなったコフィ・バーブリッジの後任として2019年のツアーから参加。シンガーソングライターとして自らのバンドを率いて活動も行なっている。
- イザーク・イーディー(Isaac Eady):ドラム ※2021年7月30日レッド・ロックス公演から正式参加
元メンバー
- オテイル・バーブリッジ(Oteil Burbridge):ベース
- ティム・ルフェーブル(Tim Lefebvre):ベース ※2018年12月脱退
- コフィ・バーブリッジ(Kofi Burbridge):キーボード、フルート ※2019年2月15日死去
- J.J. ジョンソン(J. J. Johnson):ドラム、パーカッション ※2020年11月脱退
- モーリス・ブラウン (Maurice Brown):トランペット
来日公演
- 2004年 ジャパン・ブルース・カーニバルにデレク・トラックス・バンドとして初来日
- 5月17日なんばHatch、5月20日渋谷クラブクアトロ、5月21日CLUB CITTA'、5月23日日比谷野外音楽堂
- 2007年 Derek Trucks Band Tour 2007
- 11月25日・12月1日 エビス・ザ・ガーデンホール、11月26日・27日 LIQUIDROOM ebisu、29日 心斎橋クラブクアトロ、30日 名古屋クラブクアトロ
- 2009年 Derek Trucks Band Tour 2009
- 9月25日・26日東京国際フォーラム、28日グランキューブ、29日愛知芸術文化センター、30日NHKホール
- 2010年 フジロック・フェスティバルにデレク・トラックス&スーザン・テデスキ・バンドとして出演。
- 7月31日 苗場・フジロック・フェスティバル、フィールド・オブ・ヘブン
- 2012年 Tedeschi Trucks Band Tour 2012
- 2月5日 名古屋クラブクアトロ、7日メルパルクホール大阪、8日・9日渋谷公会堂
- 2014年
- 2月6日 渋谷公会堂、2月7日 名古屋・CLUB DIAMOND HALL、9日 尼崎・あましんアルカイックホール、10日 SHIBUYA-AX、11日 昭和女子大学 人見記念講堂
- 2016年
- 3月30日 名古屋市公会堂、31日 オリックス劇場、4月1日 日本武道館
- 2019年 SIGNS 2019 Tour
- 6月11日 尼崎・あましんアルカイックホール、12日 Zepp NAGOYA、14日・15日・16日 東京ドームシティホール
- 2023年
- 10月18日・20日・21日・22日 東京ドームシティホール、24日 Zepp Nagoya、25日 尼崎・あましんアルカイックホール
ディスコグラフィ
デレク・トラックス・バンド Derek Trucks Band
- 『デレク・トラックス・バンド』 - The Derek Trucks Band(1997年)
- 『アウト・オブ・ザ・マッドネス』 - Out of the Madness(1998年)
- 『ジョイフル・ノイズ』 - Joyful Noise(2002年)
- 『ソウル・セレナーデ』 - Soul Serenade(2003年)
- 『ライヴ・アット・ジョージア・シアター』 - Live at Georgia Theatre(2004年)※ライブ
- 『ソングラインズ』 - Songlines(2006年、Legacy Recordings)
- Songlines Live(2006年、Legacy Recordings) ※DVD
- 『オールレディ・フリー』 - Already Free(2009年)
- 『ロードソングス』 - Roadsongs(2010年)※ライブ
テデスキ・トラックス・バンド Tedeschi Trucks Band
- 『レヴェレイター』 - Revelator(2011年)
- 『エヴリバディズ・トーキン』 - Everybody's Talkin'(2012年) ※ライブ
- 『メイド・アップ・マインド』 - Made Up Mind(2013年)
- 『レット・ミー・ゲット・バイ』 - Let Me Get By(2016年)
- 『ライヴ・フロム・ザ・フォックス・オークランド』 - Live from the Fox Oakland(2017年) ※ライブ
- 『サインズ』-Sings(2019年)
- 『レイラ・リヴィジテッド』-Layla Revisited(2021年)※ライブ
- 『アイ・アム・ザ・ムーン:I. クレッセント』- I Am the Moon : I. Crescent(2022年)※全4章から成る連作の第1章。ほぼ4ヶ月連続リリース。
- 『アイ・アム・ザ・ムーン:Ⅱ. アセンション』- I Am the Moon :Ⅱ. Ascension(2022年)※第2章
- 『アイ・アム・ザ・ムーン:Ⅲ. ザ・フォール』- I AM the Moon : Ⅲ. The Fall(2022年)※第3章
- 『アイ・アム・ザ・ムーン:Ⅳ.フェアウェル』- I AM the Moon : Ⅳ. Farewell(2022年)※第4章
オールマン・ブラザーズ・バンド Allman Brothers Band
- 『ピーキン・アット・ザ・ビーコン』 - Peakin' at the Beacon(2000年)※ライブ
- 『ヒッティン・ザ・ノート』 - Hittin' the Note(2003年)
- Live at the Beacon Theatre(2003年) ※DVD
- One Way Out(2004年)
参加アルバム
- セデル・デイヴィス : The Best of Cedell Davis(1995年)
- Various Artists : 『トゥ・クライ・ユー・ア・ソング…ア・コレクション・オブ・タル・テイル~ジェスロ・タル・トリビュート~』 - To Cry You a Song: A Collection of Tull Tales(1996年)
- グレッグ・オールマン : 『サーチング・フォー・シンプリシティー』 - Searching For Simplicity(1997年)
- Various Artists : Tangled Up In Blues(1999年) ※ボブ・ディラン・トリビュート盤
- Various Artists : Blues Power : Songs Of Eric Clapton(1999年)
- Various Artists : 『胸いっぱいのブルースを~ソングス・オブ・レッド・ツェッペリン』 - Whole Lotta Blues: Songs Of Led Zeppelin(1999年)
- Various Artists : Wintertime Blues:The Benefit Concert(2000年)
- Frogwings : Croakin' At Toads(2000年)
- Various Artists : Hellhound On My Trail(2001年) ※ロバート・ジョンソン・トリビュート盤
- スーザン・テデスキ : Wait For Me'(2003年)
- ベラ・フレック&フレックトーンズ : Little Worlds'(2003年)
- ジェイソン・クロスビー : Four Chords And Seven Notes Ago(2003年)
- Various Artists : Coast to Coast(2004年)
- スーザン・テデスキ : Hope and Desire(2005年)
- ジェリー・ダグラス : The Best Kept Secret(2005年)
- J・J・ケイル & エリック・クラプトン : The Road To Escondido(2008年)
- デイヴィッド・サンボーン : Here & Gone(2008年)
- エルヴィン・ビショップ : The Blues Rolls On(2008年)
- マッコイ・タイナー : 『ギターズ』 - McCoy Tyner, Guitars(2008年)
- スーザン・テデスキ : Back To The River(2008年)
外部リンク
- 公式ウェブサイト
- RadioDTB, a weekly podcast featuring live music from the Derek Trucks Band
- Turtle Vision photo gallery of Derek Trucks
- Derek Trucks Web Forum at Columbiarecords.com
- Divided time: Trucking between the bands - an interview
- Derek Trucks Band collection at the Internet Archive's live music archive
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/08/21 02:01 UTC (変更履歴)
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