テオ・ヤンセン : ウィキペディア(Wikipedia)

テオ・ヤンセン( 1948年3月17日 - )はオランダの彫刻家(キネティック・アーティスト)。

経歴

1948年3月17日、オランダのデン・ハーグ、スヘフェニンゲンで生まれる。1968年からデルフト工科大学で物理学を学び、1974年に学位なしで卒業した。1975年に画家に転向する。1990年、風力で動作するストランドビーストオランダ語で、砂浜を意味する”Strand”と生命体を意味する”Beest”の2語を繋げた造語。「ビーチアニマル」とも言われる。の制作を開始。アートと科学が融合した多くの芸術作品を生み出している。2009年にはアジア初の作品展示「テオ・ヤンセン展」が日比谷パティオで開催され、以降、日本では日本科学未来館など各地で作品展が開催されている。

ストランドビースト

ストランドビーストは、プラスチックチューブで構成され、風力によって生物のような歩行をする造形作品。一脚を構成する各チューブの長さの比率は、「ホーリーナンバー」と呼ばれる13の数字で示される。プラスチックチューブの各部品を細胞(セル)と呼び、ストランドビーストを構成する基本単位としている。作品の変遷を生物の進化に模している。

作品の変遷

ストランドビーストの一覧

+時代年代ストランドビースト
前グルトン期グルトン期以前1986-1989* リニアメンタム* クアドラプス* ヴェルミキュラス・アルトラメンタム
グルトン期テープの時代1990-1991アニマリス・ヴァルガリス
コルダ期ひもの時代1991-1993* アニマリス・カレンス・ヴァルガリス* アニマリス・デルバ
カリダム期熱の時代1993-1994* アニマリス・スペキュレーター* アニマリス・アリーナ・マレウス* アニマリス・サブローサ・キューティス* アニマリス・カレンス・ヴェンドーサ* アニマリス・サブローサ・アドレセンス
タピディーム期熱が和らいだ時代1994-1997* アニマリス・グリロサルパ* アニマリス・ニューマ* アニマリス・スピラリス* アニマリス・ヘルバ* アニマリス・フィリウム* アニマリス・リジデ・アンコーラ* アニマリス・リジデ・プロペランス* アニマリス・ジェネティクス* アニマリス・プロパガーレ* アニマリス・ジェネティクス・オンジューラ
リグナタム期木材の時代1997-2001* アニマリス・リノセロス・タブライ* アニマリス・リノセロス・ヴァルガリス* アニマリス・リノセロス・トランスポルト* アニマリス・リノセロス・リグナタス* アニマリス・スピッサ・カルタ
ヴァポラム期蒸気の時代2001-2006* アニマリス・ルゴサス・オンジューラ* アニマリス・ヴェルミキュラス* アニマリス・ヴァポリス* アニマリス・ルゴサス・ペリストハルティス* アニマリス・カレンス・ヴァポリス
セレブナム期脳の時代2006-2008* アニマリス・オルディス* アニマリス・ペルシピエーレ・プリムス* アニマリス・ペルシピエーレ・セカンダス* アニマリス・ペルシピエーレ・レクタス* アニマリス・モデュラリウス* アニマリス・ペルシピエーレ・エクセルサス* アニマリス・サーコデンティス
スイシディーム期自己破壊の時代2009-2011* アニマリス・グベルナーレ* アニマリス・シアメシス* アニマリス・ユメラス* アニマリス・ユメラス・セグンダス
アスペルソリウム期尾を振る時代2012-2013* アニマリス・アデュラリ
アウルム期微風の時代2013-2015* アニマリス・プロティヌス* アニマリス・プロボスキス* アニマリス・サスペンディッセ* アニマリス・ブラウデンス・ヴェーラ* アニマリス・アポディアキュラ* アニマリス・デュアバス・コーディス* アニマリス・トゥルゼンティア・ヴェーラ* アニマリス・カルチアメント* アニマリス・ブラウデンス・ヴェーラ2世
ブルハム期キャタピラの時代2016-2019* アニマリス・ルゴサス・セグンダス* アニマリス・ブルハス・プリムス* アニマリス・ブルハス・セグンダス* アニマリス・ムルス* アニマリス・ウミナミ* アニマリス・カリプス・プリムス* アニマリス・オムニア・セグンダ* アニマリス・ミミクラエ* アニマリス・ブルハス・フィルム* アニマリス・カリプス・セカンダス* アニマリス・カリプス・テルティウス* アニマリス・シリウス・プリムス* アニマリス・シリウス・セグンダス
フランタム期空を飛ぶ時代2020-2021* アニマリス・アダル* アニマリス・ムルティ・トリポデス* アニマリス・アダル・マテル* アニマリス・アデル
フィルム期紐でつながる時代2021-* アニマリス・スピナリス* アニマリス・スクイーラ* アニマリス・マテル・エクステンザ* アニマリス・レックス

1990年以前、コンピューター上を動く人工生命の実験をする。1990年から1997年まで、チューブを粘着テープで接合したビーストの制作に始まり、風力を活動のエネルギーとする作品を制作。1997年から2001年、木材を素材とした巨大なビーストを制作。2001年から2006年、活動のエネルギーであった風力が、ペットボトルに風を貯めた圧縮空気に変わる。2006年から2014年まで、プラスチックチューブと弁を組み合わせた部品のストランドビーストを制作。2015年に塩ビ管、タイラップ、ロープ、2016年には塩ビ管、帆布を組み合わせて制作。2017年にプラスチックチューブ、2018年にはPVCチューブ、プラスチック、キャンバスを使用。2019年は塩ビ管、タイラップ、テープ、ロープを使用してビーストを制作した。

繁殖

ストランドビーストは無料で公開されている設計図や原理を見られることで人間が「ウイルス」に感染し、複製されたり新たなビーストが作られたりすることによって増殖する。これは、ミームと同じような仕組みではないかとヤンセンは言う。

Strandbeest Leg Proportions.svg|ホーリーナンバー Strandbeest-Walking-Animation.gif|ストランドビーストの動き Walking Strandbeest.gif|ストランドビーストの歩行

注釈

出典

参考文献

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/11/21 07:34 UTC (変更履歴
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