マット・ケイン : ウィキペディア(Wikipedia)
マシュー・トマス・ケイン(Matthew Thomas Cain, 1984年10月1日 - )は、アメリカ合衆国アラバマ州ドーサン出身の元プロ野球選手(投手)。プロ生活をMLB・サンフランシスコ・ジャイアンツ一筋で通した。ニックネームは「The Horse」。
経歴
のMLBドラフト1巡目(全体25位)でサンフランシスコ・ジャイアンツから指名され、8月29日に契約。ルーキー級アリゾナリーグ・ジャイアンツで8試合に登板し、0勝1敗、防御率3.72だった。
はA級ヘイガーズタウン・サンズで14試合に登板し、4勝4敗、防御率2.55だった。
はA+級サンノゼ・ジャイアンツとAA級ノーウィッチ・ナビゲーターズでプレー。合計で13勝5敗、防御率2.67、161奪三振を記録し、球団のマイナーリーグ最優秀選手に選出される。シーズン終了後ベースボール・アメリカ誌のプロスペクトランキングにおいてチーム内で1位の評価を受けた。
はAAA級フレズノ・グリズリーズでプレーし、パシフィックコーストリーグでリーグ最多の176奪三振を記録。8月26日にジャイアンツとメジャー契約を結び、8月29日のコロラド・ロッキーズ戦で20歳10ヶ月の若さでメジャーデビュー。9月9日のシカゴ・カブス戦で2安打1失点で完投勝利を挙げ、球団の最年少記録を更新。2勝1敗、防御率2.33、先発した7試合の内6試合で2失点以下と好投した。
3月2日にジャイアンツと1年契約に合意。開幕から先発ローテーション入りし、最初の7試合で1勝5敗、防御率7.04と打ち込まれるが、5月21日のオークランド・アスレチックス戦で1安打に抑えてメジャー初完封勝利を挙げた。6月19日のロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム戦では初回に1点を失うものの8回二死まで無安打に抑えるなど高い素質の片鱗を見せた。最終的にチームトップの13勝(12敗)、防御率4.15、179奪三振、リーグ3位の被打率.222を記録するが、制球に難があり好不調の波が大きかった。ルーキー・オブ・ザ・イヤーの投票では5位に入った。
3月1日にジャイアンツと総額900万ドルの4年契約(2011年・625万ドルの球団オプション付き)を結んだ。4月9日のサンディエゴ・パドレス戦で6回までノーヒットに抑え、7回を1安打1失点ながら敗戦投手となるなど打線の援護に恵まれず、7月末まで3勝12敗。8月に4勝を挙げるものの、9月15日のパドレス戦で6回を1安打1失点ながら再び敗戦投手。ランサポート(登板時の平均援護点)が3.20とリーグワーストで、自身初の200イニング、防御率3.65ながらリーグワースト2位の16敗(7勝)を喫した。
はリーグ最多の34試合に先発し防御率3.76、186奪三振を記録するが、ランサポートが前年より更に低下して2年連続リーグワーストの3.12で8勝14敗に終わる。打線の援護に恵まれないことに対し「僕が投げる時だけわざと打たないわけではない」と発言している三尾圭 「2008 通信簿 FILE:496 マット・ケイン」 『月刊スラッガー』2008年12月号、日本スポーツ企画出版社、2008年、雑誌15509-12、81頁。。
は開幕から好調で5月7日から7連勝を記録するなど前半戦で10勝を挙げ、オールスターゲームに初選出される。7月までに12勝を記録するが、以降は2勝6敗、防御率4.29と調子を落とす。それでも14勝8敗、防御率2.89、リーグ最多の4完投を記録した。ランサポートは4.25で前年より1点以上上昇した。
3月28日にジャイアンツと総額2625万ドルの3年契約2010年は425万ドル、2011年は700万ドル、2012年は1500万ドル。を結んだ。5月28日のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦で、マーク・レイノルズに打たれた二塁打と死球のみで1安打無四球完封勝利。13勝11敗、防御率3.14を記録し、チームの10年ぶりの地区優勝に貢献。自身初のポストシーズンとなったアトランタ・ブレーブスとのディヴィジョンシリーズでは第2戦に先発し、7回途中1失点(自責点0)の好投も勝敗付かず。フィラデルフィア・フィリーズとのリーグチャンピオンシップシリーズの第3戦に先発して7回無失点で勝利投手となり、チームは8年ぶりのリーグ優勝。テキサス・レンジャーズとのワールドシリーズでは第2戦に先発、8回途中無失点の好投で勝利投手となり、チームは4勝1敗で以来56年ぶり、サンフランシスコ移転後初となるワールドチャンピオンとなった。ポストシーズンでは計21.1イニングで自責点0だった。サイ・ヤング賞の投票では12位に入る。
は被本塁打わずか9で、同年投手三冠のクレイトン・カーショウを上回るリーグ最多の26試合でクオリティ・スタートを記録しながら、再び援護に恵まれないことが多く12勝に留まる。サイ・ヤング賞の投票では8位。
4月2日にジャイアンツと総額1億1250万ドル+出来高の5年契約2012年は1500万ドル、2013年から2017年までそれぞれ2000万ドルで、契約金は500万ドル。(2018年・2100万ドルの相互オプション付き違約金は750万ドル。)を結んだ。4月13日のピッツバーグ・パイレーツ戦で1安打無四球11奪三振の「準完全試合」を記録。唯一の安打は6回二死から投手のジェイムズ・マクドナルドに打たれたものだった。6月13日のヒューストン・アストロズ戦では自己最多の14奪三振の力投で、史上22人目の完全試合を達成。5月12日から8連勝を記録し、オールスターゲームでは先発投手を務めた。いずれも自己最高の16勝(5敗)、防御率2.79、193奪三振、WHIP1.04を記録し、チームは2年ぶりの地区優勝。シンシナティ・レッズとのディヴィジョンシリーズでは第1戦に先発するが、5回3失点で敗戦投手。最終第5戦では6回途中3失点で勝利投手となり、2連敗から3連勝でシリーズを突破。セントルイス・カージナルスとのリーグチャンピオンシップシリーズでは第3戦に先発し、7回途中3失点で敗戦投手。その後1勝3敗と追い込まれるがタイに戻し、最終第7戦では6回途中無失点の好投で勝利投手となり、チームは2年ぶりのリーグ優勝を果たす。デトロイト・タイガースとのワールドシリーズでは3連勝で王手をかけて迎えた第4戦に先発し、7回3失点で勝敗は付かなかったがチームは勝利し、2年ぶりのワールドチャンピオンとなった。サイ・ヤング賞の投票では6位。
は自身初の開幕投手を務め、6回無失点の好投も勝敗は付かなかった。8月23日に右肘の故障で15日間の故障者リスト入りし、9月7日に復帰した。この年は30試合に登板したが、5年ぶりに2桁勝利を逃し、8勝10敗、防御率4.00だった。
は開幕ロースター入りし、開幕後は5試合に登板したが、0勝3敗、防御率4.35と結果を残せず、4月29日にはサンドイッチを作る際に右手の指を切り、5月4日に15日間の故障者リスト入りした。5月10日に故障者リストから外れた。復帰後3度目の登板となった5月21日のコロラド・ロッキーズ戦で、3回を無安打無失点に抑えたが、右ハムストリングを痛め途中降板。5月30日に15日間の故障者リスト入りした。6月6日に復帰し、7試合に登板したが、7月21日に右肘の故障で15日間の故障者リスト入りした。8月12日に骨小片と骨棘の除去手術を行い、9月1日に60日間の故障者リストへ異動し、そのままシーズンを終えた。この年は15試合に登板し、2勝7敗、防御率4.18だった。
はスプリング・トレーニングで4試合に登板していたが、4月4日に右肘屈筋腱を損傷したため、4月7日に15日間の故障者リスト入りした。6月9日にAA級リッチモンド・フライングスクウォーレルズでリハビリを開始し、6月15日にAAA級サクラメント・リバーキャッツへ昇格。AAA級で3試合に登板後、7月2日に故障者リストから外れた。復帰後は10試合に登板したが、2勝4敗、防御率6.15と結果を残せず、8月28日に右肘の故障で15日間の故障者リスト入りした。9月11日に復帰。2試合にリリーフとして登板後、シーズン最終戦で先発起用され、5回を2安打無失点に抑えた。この年は13試合に登板し、2勝4敗、防御率5.79だった。
は開幕ローテーション入りし、通算100勝を達成したものの、それよりも先に通算100敗を記録した。この年は21試合に登板(うち17試合が先発)し、4勝8敗、防御率5.64と前年とほぼ変わらない成績だった。
9月27日にシーズン終了後に現役引退することを表明し、9月30日のサンディエゴ・パドレス戦で先発登板、5回を無失点で抑えたが、チームは敗れ勝利投手にはなれなかった。10月1日付けで引退が公示された。
選手としての特徴
かつてはMLBでも稀少な「速球だけで三振を取れる投手」で、最高球速は約157.7km/hを計測した。一方、平均球速は147km/h程度と随時速いわけではない。フォーシームとツーシームの速球2種で投球全体の約50%を占めており、それ以外はカーブ、スライダー、チェンジアップの3球種をバランス良く投げている本格派の速球投手。2014年以降はややスライダーが多い傾向になっているBrooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Player Card: Matt Cain。
詳細情報
年度別投手成績
SF | 7 | 7 | 1 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | .667 | 181 | 46.1 | 24 | 4 | 19 | 1 | 0 | 30 | 1 | 0 | 12 | 12 | 2.33 | 0.93 | |
32 | 31 | 1 | 1 | 0 | 13 | 12 | 0 | 0 | .520 | 818 | 190.2 | 157 | 18 | 87 | 1 | 6 | 179 | 9 | 2 | 93 | 88 | 4.15 | 1.28 | ||
32 | 32 | 1 | 0 | 0 | 7 | 16 | 0 | 0 | .304 | 832 | 200.0 | 173 | 14 | 79 | 3 | 5 | 163 | 12 | 0 | 84 | 81 | 3.65 | 1.26 | ||
34 | 34 | 1 | 1 | 1 | 8 | 14 | 0 | 0 | .364 | 933 | 217.2 | 206 | 19 | 91 | 9 | 7 | 186 | 7 | 2 | 95 | 91 | 3.76 | 1.36 | ||
33 | 33 | 4 | 0 | 3 | 14 | 8 | 0 | 0 | .636 | 886 | 217.2 | 184 | 22 | 73 | 6 | 3 | 171 | 9 | 0 | 73 | 70 | 2.89 | 1.18 | ||
33 | 33 | 4 | 2 | 0 | 13 | 11 | 0 | 0 | .542 | 896 | 223.1 | 181 | 22 | 61 | 4 | 4 | 177 | 8 | 0 | 84 | 78 | 3.14 | 1.08 | ||
33 | 33 | 1 | 0 | 0 | 12 | 11 | 0 | 0 | .522 | 907 | 221.2 | 177 | 9 | 63 | 5 | 9 | 179 | 4 | 0 | 82 | 71 | 2.88 | 1.08 | ||
32 | 32 | 2 | 2 | 2 | 16 | 5 | 0 | 0 | .762 | 876 | 219.1 | 177 | 21 | 51 | 1 | 9 | 193 | 8 | 0 | 73 | 68 | 2.79 | 1.04 | ||
30 | 30 | 0 | 0 | 0 | 8 | 10 | 0 | 0 | .444 | 760 | 184.1 | 158 | 23 | 55 | 3 | 5 | 158 | 1 | 0 | 85 | 82 | 4.00 | 1.16 | ||
15 | 15 | 0 | 0 | 0 | 2 | 7 | 0 | 0 | .222 | 374 | 90.1 | 81 | 13 | 32 | 2 | 2 | 70 | 2 | 0 | 47 | 42 | 4.18 | 1.25 | ||
13 | 11 | 0 | 0 | 0 | 2 | 4 | 0 | 0 | .333 | 271 | 60.2 | 71 | 12 | 20 | 0 | 4 | 41 | 1 | 0 | 39 | 39 | 5.79 | 1.50 | ||
21 | 17 | 0 | 0 | 0 | 4 | 8 | 0 | 0 | .333 | 397 | 89.1 | 103 | 16 | 32 | 1 | 6 | 72 | 5 | 0 | 58 | 56 | 5.64 | 1.51 | ||
27 | 23 | 0 | 0 | 0 | 3 | 11 | 0 | 1 | .214 | 568 | 124.1 | 157 | 18 | 49 | 6 | 2 | 75 | 3 | 0 | 85 | 75 | 5.43 | 1.66 | ||
MLB:13年 | 342 | 331 | 15 | 6 | 6 | 104 | 118 | 0 | 1 | .486 | 8699 | 2085.2 | 1849 | 211 | 712 | 42 | 62 | 1694 | 70 | 4 | 910 | 853 | 3.68 | 1.23 |
---|
- 各年度の太字はリーグ最高
年度別守備成績
年度 | 球団 | 投手(P) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
試合 | 刺殺 | 補殺 | 失策 | 併殺 | 守備率 | ||
2005 | SF | 7 | 1 | 2 | 1 | 0 | .750 |
2006 | 32 | 17 | 15 | 3 | 0 | .914 | |
2007 | 32 | 6 | 25 | 0 | 2 | 1.000 | |
2008 | 34 | 14 | 24 | 0 | 3 | 1.000 | |
2009 | 33 | 17 | 22 | 0 | 1 | 1.000 | |
2010 | 33 | 9 | 24 | 2 | 0 | .943 | |
2011 | 33 | 14 | 23 | 3 | 0 | .925 | |
2012 | 32 | 10 | 24 | 2 | 1 | .944 | |
2013 | 30 | 12 | 25 | 1 | 2 | .974 | |
2014 | 15 | 12 | 12 | 2 | 1 | .923 | |
2015 | 13 | 2 | 4 | 0 | 0 | 1.000 | |
2016 | 21 | 5 | 11 | 2 | 3 | .889 | |
2017 | 27 | 12 | 18 | 1 | 3 | .968 | |
MLB | 342 | 131 | 229 | 17 | 16 | .955 |
記録
- MLBオールスターゲーム選出:3回(2009年、2011年、2012年)
- 完全試合:1回(2012年6月13日、対ヒューストン・アストロズ戦)
背番号
- 43(2005年)
- 18(2006年 - 2017年)
関連項目
- メジャーリーグベースボールの選手一覧
外部リンク
- Matt Cain stats MiLB.com
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2023/10/31 02:38 UTC (変更履歴)
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