観世栄夫 : ウィキペディア(Wikipedia)
観世 栄夫(観世榮夫;かんぜ ひでお、1927年〈昭和2年〉8月3日 - 2007年〈平成19年〉6月8日)は、シテ方観世流能楽師、俳優、オペラ演出家。一時喜多流に転流して後藤得三の芸養子となり、後藤 栄夫(ごとう ひでお)の名で活動したが、その後後藤との芸養子を解消して観世流に復帰していた。
来歴・人物
能楽師・観世雅雪(7代観世銕之丞)の次男として観世銕之丞家に生れる。父及び観世華雪、喜多六平太、喜多実、後藤得三に師事。東京音楽学校本科能楽専攻中退観世 榮夫とは - コトバンク。
オペラにおいては、1955年に二期会『修善寺物語』の演技指導を皮切りに、1957年の二期会『炭焼姫』の演出を務め、以降、二期会、日本オペラ協会、藤原歌劇団、東京室内歌劇場等において2006年まで演出を手掛けた。
1958年、能楽界を離脱。現代演劇、映画、TVドラマ、舞踊などに活躍するが、前年に没した兄観世寿夫の遺言(意向)もあり1979年に能楽に復帰。京都造形芸術大学教授も長く務めた。
妻は谷崎潤一郎の養女(潤一郎の妻・松子の連れ子)・恵美子。ドキュメンタリードラマ『終戦の日の荷風と潤一郎』(1984年、朝日放送)で谷崎役を演じたこともある。1997年芸術選奨文部大臣賞、1998年モービル音楽賞、2001年勲四等瑞宝章受章「秋の叙勲 晴れの受章者 勲四等―勲六等」『読売新聞』2001年11月3日朝刊。
2007年5月2日、運転中に八王子市の中央高速道路で自動車事故を起こし、同乗していた能楽プロデューサーの荻原達子を亡くした。かねてから病気治療中だったが、仕事上の仲間を失った衝撃も重なり、約1ヶ月後に大腸がんのため死去。。没後に自伝と評伝が公刊された。
「世田谷・九条の会」呼びかけ人を務めていた「世田谷・9条の会」申し合わせ。
出演作品
テレビドラマ
- お気に召すまま(1962年、NETテレビ)第20話「しあわせは永遠(とわ)に」
- こんばんは21世紀(1964年、東京12チャンネル) - 証人(数学者)
- 大河ドラマ(NHK)
- 源義経(1966年) - 河辺高経
- 三姉妹(1967年) - 西郷隆盛
- 竜馬がゆく(1968年) - 岡上新輔
- 春の坂道(1971年) - 藤原惺窩
- 黄金の日日(1978年) - 武田信玄 (声のみ)
- 草燃える(1979年) - 文覚
- レモンのような女(1967年、TBS)
- 愛妻物語(1970年、東京12チャンネル)
- 天皇の世紀(1971年、朝日放送) - 山内容堂
- 土曜日の女シリーズ / 明日に喪服を(1973年、NTV)
- 追跡 第7話「天使の宝石」(1973年、関西テレビ)
- 新書太閤記(1973年、NET) - 今川義元
- 子連れ狼(1974年、日本テレビ) - 四代目・辻源七
- 土曜ドラマ(NHK)
- 松本清張シリーズ・遠い接近(1975年) - 与田編集長
- 必殺仕置屋稼業 第28話「一筆啓上崩壊が見えた」(1976年、朝日放送)- 睦屋佐兵衛
- 横溝正史シリーズ 悪魔が来りて笛を吹く(1977年、TBS) - 目賀重亮
- 日本の戦後(1977年、NHK) - 佐藤栄作
- 東芝日曜劇場 「松本清張おんなシリーズ・足袋」(1978年、TBS) - 水野孝輔
- 恐竜戦隊コセイドン(1978年-1979年、東京12チャンネル) - カイドウ長官
- 新・座頭市3 第26話「夢の旅」(1979年、フジテレビ)
- 木曜ゴールデンドラマ 「妻のまごころ」(1980年、讀賣テレビ)
- ニュードキュメンタリードラマ昭和 松本清張事件にせまる 第1回「昭和20年8月15日 終戦日の荷風と潤一郎」(1984年、テレビ朝日) - 谷崎潤一郎
映画
- おとし穴(1962年、ATG) - 巡査
- 砂の女(1964年、東宝) - 村人
- 他人の顔(1966年、東宝) - 患者
- 忍者武芸帳(1967年) - 上泉信綱
- 藪の中の黒猫(1968年)‐ 帝
- 日本の悪霊(1970年)- 警察署長
- 裸の十九才(1970年) - 少年院院長
- 鉄輪(1972年、近代映画協会)- 男
- 鍵(1974年)
- 竹山ひとり旅(1977年) - 戸倉重太郎
- 日蓮(1979年、松竹) - 比企能本
- 利休(1989年) - 鳥飼彌兵衛
- 午後の遺言状(1995年) - 牛国藤八郎
- 生きたい(1999年) - 院長
舞台
- 天保十二年のシェイクスピア(1974年、西武劇場)
- ミュージカル「紅葉乱舞車達引」(出演・演出、1977年、劇団動物園公演、原案・佐藤輝)
テレビアニメ
- ジムボタン(1974年-1975年) - ドリンガー
吹き替え
- 007 ゴールドフィンガー(1974年、NET) - オーリック・ゴールドフィンガー〈ゲルト・フレーベ〉
CM
- ネスレ日本 ネスカフェゴールドブレンド(1983年)
著書
- 『能 日本の名随筆87』(編、作品社、1990年)
- 『幽 観世榮夫の世界』(編著、小沢書店、1997年)、林義勝写真
- 『華より幽へ 観世榮夫自伝』(白水社、2007年)、北川登園読売新聞演劇記者、演劇評論家(1939-2020)構成
文献
- 船木拓生 『評伝観世榮夫』(平凡社、2007年)
外部リンク
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