神山征二郎 : ウィキペディア(Wikipedia)

神山 征二郎(こうやま せいじろう、1941年〈昭和16年〉7月16日 - )は、日本の映画監督、脚本家。岐阜県岐阜市中西郷出身。

経歴

農家に生まれる。岐阜県立岐阜北高等学校に在学中は画家を志していた。日本大学芸術学部映画学科に在学中は演劇に傾倒していたが、1964年(昭和39年)、4年生の時に肋膜炎を患い大学を中退し帰郷する。病気の回復後に再び上京し、映画芸術誌編集部のアルバイトを経て、1965年(昭和40年)、新藤兼人監督が主宰する近代映画協会に参加する。なお、大学時代の同窓生にアニメーション監督の富野由悠季がいる。

新藤兼人、吉村公三郎今井正各監督の助手を務めた後、1971年(昭和46年)、『鯉のいる村』(製作:近代映画協会)にて監督デビュー、全国労映賞を受賞する。1975年(昭和50年)には『八甲田山』(製作:橋本プロダクションほか)にチーフ助監督として務め、橋本忍野村芳太郎森谷司郎らと知り合った。その後、近代映画協会では日本映画監督協会新人奨励賞を受賞した『二つのハーモニカ』(1976年)や、文化庁優秀映画奨励金を交付された『看護婦のオヤジがんばる』(1980年)など5作品を撮影した。

1981年(昭和56年)、『日本フィルハーモニー物語 炎の第五楽章』にフリーランスとして関わり、同年、大沢豊後藤俊夫と「こぶしプロ」を設立する。1982年の東宝映画『ひめゆりの塔』では今井正監督に協同した。

1983年(昭和58年)に公開された『ふるさと』(製作:こぶしプロ)は、モスクワ映画祭主演男優賞(加藤嘉)、全国映連賞最優秀作品賞、同最優秀監督賞ほかを受賞、文化庁優秀映画製作奨励金を交付されるなど、国内外で高い評価を受ける。1986年、『春駒のうた』で、タシケント映画祭最優秀作品賞。

1987年(昭和62年)、『ハチ公物語』で山路ふみ子映画賞を受賞、また年間興行収入ベストワンとなる大ヒットとなった。

1988年(昭和63年)に「神山プロダクション」を設立。1990年(平成2年)の『白い手』は日刊スポーツ映画大賞監督賞、毎日映画コンクール優秀賞を受賞した。以降、『遠き落日』(1992年)、『ひめゆりの塔』(1995年)、『郡上一揆』(2000年)、『大河の一滴』(2001年)などの作品を監督する。

2001年(平成13年)、「時代と地域を見据えた映画製作」に対し第54回中日文化賞が贈られた。

その後も、『草の乱』(2004年)、『ラストゲーム 最後の早慶戦』(2008年)、『学校をつくろう』(2011年)などの作品がある。

人物

師である新藤、今井、吉村の衣鉢を継ぐ正統的な社会派映画作家であるが、時代の変化もあり師匠たちのような高い評価には恵まれなかった。大ヒットした『ハチ公物語』にも批評家たちは冷淡で、当時彼らにキワモノ扱いされたことに対する神山の憤懣は、後年に海外での好評がアメリカ版リメイクにつながった際、。

主な監督作品

  • 『鯉のいる村』(1971年)
  • 『時計は生きていた』(1973年)
  • 『二つのハーモニカ』(1976年) - 宮城県矢本が舞台。
  • 『あすも夕やけ』(1977年)
  • 『洟をたらした神』(1978年)
  • 『看護婦のオヤジがんばる』(1980年)
  • 『日本フィルハーモニー物語 炎の第五楽章』(1981年)
  • 『ひめゆりの塔』(1982年)- 協力監督。監督は今井正。
  • 『ふるさと』(1983年)
  • 『春駒のうた』(1986年)
  • 『旅路 村でいちばんの首吊りの木』(1986年)
  • 『ハチ公物語』(1987年)
  • 『千羽づる』(1989年)
  • 『伊勢湾台風物語』(1989年)- アニメーション
  • 『ドンマイ』(1990年)
  • 『白い手』(1990年)
  • 『遠き落日』(1992年)
  • 『月光の夏』(1993年)
  • 『さくら』(1994年)
  • 『ひめゆりの塔』(1995年)
  • 『三たびの海峡』(1995年)
  • 『マヤの一生』(1996年)- アニメーション
  • 『宮澤賢治 その愛』(1996年)
  • 『郡上一揆』(2000年)
  • 『大河の一滴』(2001年)
  • 『草の乱』(2004年)
  • 『北辰斜にさすところ』(2007年)
  • 『ラストゲーム 最後の早慶戦』(2008年)
  • 『鶴彬 こころの軌跡』(2009年)
  • 『学校をつくろう』(2011年)
  • 『救いたい』(2014年)
  • 『時の行路』(2020年)

脚本

  • 赤毛のアン(1979年)
    • 赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道(2010年)
  • トム・ソーヤーの冒険(1980年)

著書

  • 『町が海におそわれた 伊勢湾台風物語』 学習研究社、1989年、
  • 『生まれたら戦争だった。 映画監督神山征二郎・自伝』シネ・フロント社、2008年、

注釈

出典

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/05/21 19:41 UTC (変更履歴
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike and/or GNU Free Documentation License.

「神山征二郎」の人物情報へ