イスマイル・カダレ : ウィキペディア(Wikipedia)

イスマイル・カダレ(Ismail Kadare 1936年1月28日 - 2024年7月1日)は、アルバニアの小説家。アルバニア文学を代表する作家としての地位を占めている。

人物像

アルバニア南部の都市であるジロカストラに生まれる。ティラナ大学で文学及び歴史学を学んだ後、モスクワのマクシム・ゴーリキー世界文学研究所に留学したが、ニキータ・フルシチョフのアルバニア批判により両国関係が悪化し、1960年帰国。

第二次世界大戦中のパルチザンを描いた『死者の軍隊の将軍』(1963年)や、『城』(1970年)、『夢宮殿』(1981年)など、アルバニアの歴史や社会情勢を踏まえた著作がヨーロッパで有名となる。アルバニア労働党の一党独裁体制下で、発禁・海外翻訳禁止処分や国内での地方追放などの弾圧を受けたが、同体制が崩壊した1990年からは一時フランスに亡命しパリに在住、1992年には帰国した。1990年代には政界から大統領になるよう求められたが、カダレ本人は断った。

2005年に創設されたブッカー賞の国際版であるブッカー国際賞の第1回受賞者に選出された。2016年レジオンドヌール勲章を受勲。

2024年7月1日朝、アルバニアの首都・ティラナのアパートにある自宅で亡くなっているところを親戚に発見された。自然死と見られる。。

受賞歴

  • 1992年 チーノ・デル・ドゥーカ世界賞
  • 2005年 ブッカー国際賞
  • 2009年 アストゥリアス皇太子賞文学部門
  • 2015年 エルサレム賞
  • 2019年 朴景利文学賞
  • 2020年 ノイシュタット国際文学賞

主な作品

  • 『大いなる孤独の冬』(Dimri i vetmisë së madhe)
  • 『死者の軍隊の将軍』(Gjenerali i Ushtrisë së Vdekur 1963年)
    • 2009年 井浦伊知郎 訳 松籟社、東欧の想像力
  • 『城』 (Kështjella 1970年)
  • 『石の年代記』(Kronikë në gur 1971年)
  • 『砕かれた四月』(Prilli i Thyer 1980年)
    • 1995年 平岡敦 訳 白水社
  • 『夢宮殿』(Pallati i ëndrrave 1981年)
    • 1994年 村上光彦 訳 東京創元社/創元ライブラリ文庫 2012年
  • 『誰がドルンチナを連れ戻したか』 1986年
    • 1994年 平岡敦 訳 白水社
  • 『草原の神々の黄昏』 1996年
    • 1996年 桑原透 訳 筑摩書房
  • 『独裁者の召喚』(Kur sunduesit grinden)

関連項目

  • 『ビハインド・ザ・サン』

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/09/28 16:33 UTC (変更履歴
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