イメルダ・スタウントン : ウィキペディア(Wikipedia)

イメルダ・メリー・フィロメナ・バーナデット・ストーントン CBEImelda Mary Philomena Bernadette Staunton CBE, 1956年1月9日 - )は、イギリスの舞台および映画女優。

人物

王立演劇学校で学んだ後、1970年代、レパートリー・シアターでキャリアを開始し、全英の様々な舞台に登場している。現在でも定期的にナショナル・シアターに出演している。

映画では地味な役が多いが、イギリスでは大変有名な女優で、ローレンス・オリヴィエ賞において『イントゥ・ザ・ウッズ』(1991年)パン屋の妻役、『スウィーニー・トッド』(2013年)ミセス・ラヴェット役、『ジプシー』(2016年)ママ・ローズ役で主演女優賞、『浮気なシナリオ』(1985年)および『小麦は緑』(1985年)で助演女優賞を受賞した。『ベガーズ・オペラ』(1982年)、『オズの魔法使い』(1987年)、『ワーニャ伯父さん』(1988年)、『ガイズ&ドールズ』(1996年)、『スローン氏の歓待』(2009年)、『グッド・ピープル』(2014年)を含め、オリヴィエ賞に計13回ノミネートされている。

2004年の映画『ヴェラ・ドレイク』のタイトル・ロールで批評家の称賛を得てアカデミー主演女優賞、ゴールデングローブ賞 映画部門 主演女優賞 (ドラマ部門)、全米映画俳優組合賞主演女優賞にノミネートされ、英国アカデミー賞 主演女優賞、ヴェネツィア国際映画祭 女優賞を受賞した。ほかに『ナニー・マクフィーの魔法のステッキ』(2005年)のブラザウィック夫人役、『ハリー・ポッター』(2007年-2010年)2作のドローレス・アンブリッジ役、『パレードへようこそ』(2014年)のへフィーナ・ヒードン役で英国アカデミー賞 助演女優賞にノミネートされた。2007年公開の『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』で、ドローレス・アンブリッジ役を演じたことで広く知られるようになった。

テレビ出演も多く、シットコム『Up the Garden Path 』(1990年–1993年)、『Is it Legal? 』(1995年–1998年)に主演した。2005年、テレビ映画『My Family and Other Animals 』に出演し、国際エミー賞女優賞にノミネートされ、『Return to Cranford 』(2009年)、『ザ・ガール ヒッチコックに囚われた女』(2012年)で英国アカデミー・テレビ賞助演女優賞にノミネートされた。『ザ・ガール』ではプライムタイム・エミー賞ミニシリーズ/映画助演女優賞にもノミネートされた。

来歴

北ロンドンのアーチウェイにて労働者階級の両親のもとに生まれる。両親ともにアイルランド・メイヨー県からの移民。王立演劇学校で演技を学んだIrish News UK – News from the Irish Community in Britain。学校ではアラン・リックマンティモシー・スポール、ジュリエット・スティーヴンソンらと学んだ"Imelda Staunton's surprising confession: I might have nibbled the odd hash brownie and I'd love to have been a hippy Chris Sullivan, 19 November 2009, the Daily Mail。2年後卒業し、6年の間様々な舞台に立つ。

舞台

1976年、王立演劇学校を卒業し、その後6年間イギリスのレパートリー・シアターに出演し、エクセターのノースコット・シアターではジョージ・バーナード・ショーの『聖女ジョウン』(1979年)のタイトル・ロールを演じた。ロイヤル・ナショナル・シアターに移行し、『ベガーズ・オペラ』(1982年)のルーシー・ロキット役でローレンス・オリヴィエ賞ミュージカル主演女優賞、新人賞にノミネートされた。1982年、ナショナル・シアターの『ガイズ&ドールズ』に出演し、のちに夫となるジム・カーターと出会った。1996年、再度『ガイズ&ドールズ』に出演してアデレイド役を演じローレンス・オリヴィエ賞ミュージカル主演女優賞にノミネートされた。1985年、オールド・ヴィック・シアターの『小麦は緑』とナショナル・シアターの『浮気なシナリオ』において助演女優賞で初のオリヴィエ賞受賞となった。1987年、バービカン・センターにてロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの『オズの魔法使い』でドロシー役を演じ、オリヴィエ賞ミュージカル主演女優賞にノミネートされた。1990年、『イン・トゥ・ザ・ウッズ』オリジナル・ロンドン・プロダクションのパン屋の妻役でローレンス・オリヴィエ賞ミュージカル主演女優賞を初受賞した。その後20年間演劇作品に出演し、『ワーニャ伯父さん』(1988年)のソーニャ役、『スローン氏の歓待』(2009年)のケイス役、『グッド・ピープル』(2014年)でオリヴィエ賞演劇主演女優賞にノミネートされた。2007年、アルメイダ・シアターにてフランク・マクギネスの『There Came a Gypsy Riding 』初演、2011年、エドワード・オールビーの『デリケート・バランス』再演に出演した。

チチェスター・フェスティバル劇場において、2011年から2012年、スティーヴン・ソンドハイムの『スウィーニー・トッド』ミセス・ラヴェット役でマイケル・ボール演じるタイトル・ロールの相手役を演じ、2014年から2015年、『ジプシー』再演で主役ローズ役を演じた。いずれも批評的、商業的に成功を収め、ロンドンに移行した。2013年および2016年、オリヴィエ賞ミュージカル主演女優賞を受賞したShenton. Mark. "Winners of 2016 Olivier Awards Announced: 'Gypsy', 'Kinky Boots', 'In the Heights' Emerge Victorious" Playbill, 3 April 2016。

2017年、ロンドンのウエスト・エンドにあるハロルド・パインター・シアターにて『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』のマーサ役で主演し、コンリース・ヒルルーク・トレッダウェイイモージェン・プーツと共演したhttp://www.atgtickets.com/shows/whos-afraid-of-virginia-woolf/harold-pinter-theatre/#overview_tab。2017年5月18日、この公演は『ナショナル・シアター・ライヴ』でテレビ放送された。

2017年、ナショナル・シアターにてソンドハイムの『フォリーズ』再演でサリー役を演じ、フィリス役のジェイニー・ディ、ベン役のフィリップ・クォストと共演した 。2017年11月16日、この公演も『ナショナル・シアター・ライヴ』でテレビ放送された。

映画

1980年代より映画にも出演するようになる。2004年、主演を務めたマイク・リー監督の『ヴェラ・ドレイク』でヴェネツィア国際映画祭女優賞を受賞し、アカデミー賞にもノミネートされた。

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』以降、ドローレス・アンブリッジ役を演じた。

私生活

1985年に俳優のジム・カーターと結婚。1993年に長女ベッシー・カーターを出産。ベッシーは現在女優として活動している。

2006年には大英帝国勲章第四位OBEを授与された。2016年には第三位CBEを叙勲。

主な出演作品

舞台

レパートリー・シアター:

  • ゴドーを待ちながら Waiting for Godot (1976), バーミンガム・レパートリー・シアター、ラッキー役
  • 枯草熱 Hay Fever, ウォーターミル・シアター
  • グリース Grease, ヨーク・シアター・ロイヤル
  • ヘンリー五世 Henry V, リーズ・プレイハウス
  • The Gingerbread Man, リーズ・プレイハウス

1978年-1979年、ノースコット・シアター:

  • Travesties (1978)
  • わが命つきるとも A Man for All Seasons (1978)
  • エーレクトラー Elektra (1978) エーレクトラー役
  • Dear Daddy (1978)
  • シンデレラ Cinderella (1978)
  • あわれ彼女は娼婦 'Tis Pity She's a Whore (1978)
  • マクベスMacbeth (1978)
  • キャバレー Cabaret (1978)
  • お気に召すまま As You Like It (1978)
  • 聖母ジョウン Saint Joan (1979)
  • ベガーズ・オペラ The Beggar's Opera (1979)
  • ヨセフ・アンド・ザ・アメージング・テクニカラー・ドリームコート Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat (1979)
  • Side by Side by Sondheim (1979)

1980年-1981年頃、ノッティンガム・プレイハウス:

  • パム・ジェムス版ピアフ Piaf -ピアフ役
  • マック&メイベル Mack and Mabel -メイベル役
  • ウォレン夫人の職業 Mrs Warren's Profession
  • リトル・ナイト・ミュージック A Little Night Music

1981年-1982年頃、ツアー公演:

  • 負けるが勝ち She Stoops to Conquer オクスフォード・ステージ・カンパニー・イギリス・ツアー-ケイト・ハードキャッスル役

2011年-2014年、チチェスター・フェスティバル劇場:

  • スウィーニー・トッド Sweeney Todd (2011)-ミセス・ラヴェット役
  • ジプシー Gypsy (2014)-ローズ役

ロンドン:

  • ガイズ&ドールズ Guys and Dolls (1982), ロイヤル・ナショナル・シアター・オリヴィエ・シアター-ミミ役、ホットボックス・ガール役
  • ベガーズ・オペラ The Beggar's Opera (1982), ロイヤル・ナショナル・シアター・コッテスロー・シアター-ルーシー・ロキット役
  • Schweyk in the Second World War (1982) ロイヤル・ナショナル・シアター・オリヴィエ・シアター-アナ役
  • ガイズ&ドールズ Guys and Dolls (1983) ロイヤル・ナショナル・シアター・オリヴィエ・シアター-ミス・アデレイド役
  • A Mad World, My Masters (1984) シアター・ロイヤル・ストラトフォード・イースト-ジャネット・クラフトン
  • Us Good Girls (Paulette, 1984) ソーホー・ポリー-ポーレット役
  • 小麦は緑 The Corn Is Green (1985), オールド・ヴィック・シアター – ベシー・ウォティ役 ローレンス・オリヴィエ賞
  • 浮気なシナリオ A Chorus of Disapproval (1985) ロイヤル・ナショナル・シアター・オリヴィエ・シアター – ハンナ・レウェリン役 ローレンス・オリヴィエ賞
  • The Fair Maid of the West (1987) ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー マーメイド・シアター-ベス・ブリッジス役
  • ひとりぼっちの青春 They Shoot Horses, Don't They? (1987) ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー マーメイド・シアター-グロリア・ビーティ役
  • オズの魔法使い The Wizard of Oz (1987) ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー バービカン・センター-ドロシー役
  • ワーニャ伯父さん Uncle Vanya (1988)ヴォードヴィル・シアター-ソーニャ役
  • 今夜あなたとクラリネット The Lady and the Clarinet (1989)キングズ・ヘッド・シアター(イズリントン) -ルーバ役
  • イントゥ・ザ・ウッズ Into the Woods (1990) フェニックス・シアター–パン屋の妻役 ローレンス・オリヴィエ賞
  • Bold Girls (1991) ハムステッド・シアター-ケイシー役
  • Slavs! (1994) ハムステッド・シアター-ボンフィラ役
  • Habeas Corpus (1996) ドンマー・ウエアハウス-ミセス・スワブ
  • ガイズ&ドールズ Guys and Dolls (1996) ロイヤル・ナショナル・シアター・オリヴィエ・シアター– ミス・アデレイド役 ローレンス・オリヴィエ賞ノミネート
  • Divas at the Donmar <i>Imelda Staunton and Her Big Band</i> (1–5 September 1998) Donmar Warehouse
  • 人生の3つのヴァージョン Life X Three (2000)ロイヤル・ナショナル・シアター・コッテスロー・シアター/オールド・ヴィック・シアター-アインズ役
  • Michael Hastings' Calico (2004) デューク・オブ・ヨーク・シアター-ノラ・バーナクル役
  • There Came a Gypsy Riding (2007) アルメイダ・シアター-マーガレット役
  • スローン氏の歓待 Entertaining Mr Sloane (2009) トラファルガー・スタジオ-ケイス役
  • デリケート・バランス A Delicate Balance (2011) アルメイダ・シアター-クレア役
  • スウィーニー・トッド Sweeney Todd (2012), チチェスター・フェスティバル・シアター/アデルフィ・シアター – ミセス・ラヴェット役 ローレンス・オリヴィエ賞
  • Circle Mirror Transformation (2013), ロイヤル・コート・シアター-マーティ役
  • グッド・ピープル Good People (2014), ハムステッド・シアター/ノエル・カワード・シアター – マーギー役 ローレンス・オリヴィエ賞ノミネート
  • ジプシー Gypsy (2015), サヴォイ・シアター–ローズ役 ローレンス・オリヴィエ賞
  • ヴァージニア・ウルフなんかこわくない Who's Afraid of Virginia Woolf? (2017), ハロルド・ピンター・シアター – マーサ役 ローレンス・オリヴィエ賞ノミネート
  • フォリーズ Follies (2017), ロイヤル・ナショナル・シアター・オリヴィエ・シアター – サリー役 ローレンス・オリヴィエ賞ノミネート

映画

日本語題原題役名備考
1992 ピーターズ・フレンズPeter's Friends メアリー・チャールストン
1993 から騒ぎMuch Ado About Nothing マーガレット
1995 ロシア52人虐殺犯/チカチーロCitizen X ブラコヴァ夫人 テレビ映画
いつか晴れた日にSense and Sensibility シャーロット・パーマー
1996 十二夜''Twelfth Night マリア
1998 恋におちたシェイクスピアShakespeare in Love
1999 デビッド・コパーフィールドDavid Copperfield テレビ映画
2000 チキンランChicken Run バンティ アニメ映画、声の出演
ラット・ゲームRat コンチータ・フリン
2003 アイル・ビー・ゼアI'll Be There ブリジット博士
2004 ヴェラ・ドレイクVera Drake ヴェラ・ドレイク ヴェネチア国際映画祭女優賞 受賞英国アカデミー賞主演女優賞 受賞ヨーロッパ映画賞女優賞 受賞全米映画批評家協会賞主演女優賞 受賞
2005 ナニー・マクフィーの魔法のステッキNanny Mcphee ブラザウィック夫人
2006 沈黙の奪還Shadow Man コーコラン
2007 ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団Harry Potter and the Order of the Phoenix ドローレス・アンブリッジ
フリーダム・ライターズFreedom Writers マーガレット・キャンベル
2009 ウッドストックがやってくる!Taking Woodstock ソニア・タイチバーグ
2010 アリス・イン・ワンダーランドAlice in Wonderland 長身の薔薇の声 声の出演
家族の庭Another Year ジャネット
ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1Harry Potter and the Deathly Hallows - Part1 ドローレス・アンブリッジ
2011 アウェイクニングThe Awakening モード・ヒル
アーサー・クリスマスの大冒険Arthur Christmas サンタ夫人 声の出演
2012 ザ・パイレーツ! バンド・オブ・ミスフィッツThe Pirates! Band of Misfits ヴィクトリア女王 声の出演
ザ・ガール ヒッチコックに囚われた女The Girl アルマ・レヴィル・ヒッチコック テレビ映画
2014 マレフィセントMaleficent ノットグラス
パレードへようこそPride ヘフィナ・ヒードン
2017 パディントン2Paddington 2 ルーシーおばさん 声の出演
輝ける人生Finding Your Feet サンドラ
2019 ダウントン・アビーDownton Abbey レディ・モード・バグショー
マレフィセント2Maleficent: Mistress of Evil ノットグラス
2022 ダウントン・アビー/新たなる時代へDownton Abbey: A New Era レディ・モード・バグショー
2023 Chicken Run: Dawn of the Nugget バンティ 声の出演
2024 Paddington in Peru ルーシー叔母さん 声の出演、ポストプロダクション

テレビシリーズ

日本語題原題役名備考
2005 荊の城Fingersmith サックスビー夫人 計3話出演
シェイクスピア21ShakespeaRe-Told ポリー ミニシリーズ
リトル・ブリテン''Little Britain ミード夫人 計6話出演
2020- Trying 〜親になるステップ〜Trying ペニー メインキャスト
2022-2023 ザ・クラウンThe Crown エリザベス2世 主演

参照

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/06/14 14:42 UTC (変更履歴
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