【第77回カンヌ国際映画祭】スタジオジブリに栄誉パルムドール授与、宮崎吾朗監督が登壇 監督週間部門の「化け猫あんずちゃん」、地元の子供たちの歓声に沸く
2024年5月22日 16:00
第77回カンヌ国際映画祭で、現地時間の5月20日、スタジオジブリに栄誉パルムドールが授与され、宮崎吾朗監督が登壇してトロフィーを受け取った。同賞が個人ではなく団体に与えられるのは今回が初めてのことだ。
ジブリの名前が発表されると会場の観客が総立ちになり、拍手が鳴り止まないほどに続いた。会場ではこの日のために用意した宮崎駿と鈴木敏夫プロデューサーによる、メッセージというよりはふたりの掛け合いのような短いビデオが上映され、その後審査員のひとりであるフアン・アントニオ・バヨナ監督から宮崎吾朗監督がトロフィーを受け取った。
吾朗監督は、「ジブリはほぼ40年前、宮崎駿と高畑勲監督、鈴木敏夫プロデューサーの3人により創設されました。その後ジブリ美術館、ジブリパークも建設されています。3人の功績は疑う余地はありませんが、今日ジブリがあるのは、たくさんのスタッフの献身があってのことです。この喜びを彼らと分かち合いたいと思います。同時にこの賞は、スタジオだけの努力ではなく、世界中の人々が愛し、支えてくれたからこそだと思います。みなさんにも感謝します」と語り、再び大きな拍手で迎えられた。
授賞式に続いては、日本ではジブリ美術館で上映されているものの国外では初公開となる、4本の短編、「めいとこねこバス」「やどさがし」「パン種とタマゴ姫」「毛虫のボロ」が上映され、終映後は再び熱狂的なスタンディング・オベーションが起こるなど、あらためてジブリ人気の大きさを印象付けた。
さらに翌日には、併設の監督週間部門で、いましろたかしの原作を久野遥子監督と山下敦弘監督が共同でアニメーション映画化した、「化け猫あんずちゃん」が披露された。上映会場には、教育プログラムの一環として180人の地元の子供たちも招待され、監督ふたりが舞台に呼ばれると、大きな歓声に沸いた。山下監督は、「カンヌでワールドプレミアができることに大きな喜びを感じています。一緒に楽しみましょう」と語り、久野監督も、「カンヌに行けるというのは夢のようで、現実じゃないみたいに感じています。日本ではこの作品はまだ大人の方にしか観てもらっていないので、お子さんたちのリアクションをすごく楽しみにしています。一緒に楽しみましょう」と語ると、会場はさらなる歓声に沸いた。
本作はカンヌに続き6月に、世界最大のアニメーション映画祭と言われるアヌシー国際アニメーション映画祭に出品された後、日本で7月19日に公開を迎える。
ちなみに今年の監督週間のメインビジュアルは、北野武が描いた茄子のイラストで、現地ではTシャツ、ポスター、ピン・プローチが発売された。Tシャツとピン・ブローチは映画祭終了前に在庫がなくなるほどの人気ぶりだった。(佐藤久理子)
フォトギャラリー
Amazonで関連商品を見る
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
犯罪が起きない町で、殺人事件が起きた――
【衝撃のAIサスペンス】映画ファンに熱烈にオススメ…睡眠時間を削ってでも、観てほしい
提供:hulu
映画料金が500円になる“裏ワザ”
【知らないと損】「映画は富裕層の娯楽」と思う、あなただけに教えます…期間限定の最強キャンペーン中!
提供:KDDI
グラディエーターII 英雄を呼ぶ声
【史上最高と激賞】人生ベストを更新し得る異次元の一作 “究極・極限・極上”の映画体験
提供:東和ピクチャーズ
クリスマス映画の新傑作、爆誕
【「ホーム・アローン」級の面白さ】映画ファンへの、ちょっと早いプレゼント的な超良作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。ジャーナリストとしての使命感と狂気の間で揺れ動く藤井役を山田孝之、死刑囚・須藤をピエール瀧が演じ、「先生」役でリリー・フランキーが初の悪役に挑む。故・若松孝二監督に師事した白石和彌がメガホンをとった。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。