危険な薬を安全と偽り販売した巨大資本と戦う写真家、ナン・ゴールディンのドキュメント「美と殺戮のすべて」予告編

2024年2月6日 17:00


ナン・ゴールディン
ナン・ゴールディン

2022年・第79回ベネチア国際映画祭最高賞(金獅子賞)受賞作で、写真家ナン・ゴールディンを映したドキュメンタリー「美と殺戮のすべて」の日本版予告編が公開された。

1995年、米国では製薬会社パーデュー・ファーマがオピオイド系処方鎮痛剤「オキシコンチン」の承認を受け、常習性が低く安全と謳って積極的に販売。主に疼痛治療に大量に処方されるようになり、2000年頃から依存症や過剰摂取による中毒死が急増。全米で過去20年間に50万人以上が死亡し、大きな社会問題となっている。

2018年3月10日、写真家ナン・ゴールディンは多くの仲間たちと共にニューヨークのメトロポリタン美術館を訪れていた。目的の場所は「サックラー・ウィング」。製薬会社を営む大富豪が多額の寄付をしたことでその名を冠された展示スペースだ。サックラー家は、「オキシコンチン」を鎮痛剤を安全な薬と偽り販売し、多くの命を奪いながらも、その莫大な売り上げを世界中の美術館に寄付することで慈善家として知られていた。到着した彼女たちは、ほどなくして「オキシコンチン」という鎮痛剤のラベルが貼られた薬品の容器を一斉に放り始めた。「サックラー家は人殺しの一族だ!」と口々に声を上げながら……。

本作の監督を務めたのは、「シチズンフォー スノーデンの暴露」のローラ・ポイトラス。ゴールディンがなぜ、巨大な資本を相手に声を上げ戦うことを決意したのか、大切な人たちとの出会いと別れ、アーティストである前に一人の人間としてゴールディンが歩んできた道のりを映し出していく。

予告編では、Bush Tetrasの“You Can'be Funky”をバックに、写真家のゴールディンが、斬新で生々しい題材を被写体にして時代の寵児となり、今や「どこの美術館も彼女の作品を欲しがる」という、輝かしい経歴を紹介。場面は変わり、ゴールディンは多くの仲間とともにメトロポリタン美術館で「サックラー家はウソつき!人殺し!」と叫んでいる。ゴールディンの途方もない戦いの道のりの一端が収められている。

画像2

3月29日から、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、グランドシネマサンシャイン池袋ほかにて全国公開される。上映劇場ではゴールディンが撮影した写真のポストカード3枚がついたムビチケカードが販売されている。

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