是枝裕和監督、川和田恵真監督＆嵐莉菜を祝福　「マイスモールランド」凱旋記念舞台挨拶に駆けつける

国内外で数々の映画賞に輝く「マイスモールランド」の凱旋記念舞台挨拶が2月13日、東京・新宿ピカデリーで行われ、主演を務めた嵐莉菜、是枝裕和監督率いる映像制作者集団「分福」に所属し、本作が商業映画デビューとなった川和田恵真監督が出席。この日は、サプライズで是枝監督が駆けつけ「おめでとうございます。いろんな縁に恵まれた凱旋上映というのは、なかなかないことなので、作品にとってはうれしい出来事」と祝福し、「この次だよね、二人とも。これがピークじゃない形で、これからのキャリアを重ねてほしい」とさらなる飛躍に期待を寄せた。

クルド人の家族とともに故郷を逃れ、幼い頃から日本で育った17歳のサーリャ（嵐）は、大学進学資金を貯めるためアルバイトを始めるが、ある日、難民申請が不認定となり、一家が在留資格を失ったことで、彼女の日常も一変してしまう。

川和田監督は「是枝監督には、企画の段階から応援していただき、5年という時間がかかりましたが、絶対に作るぞという強い思いで実現できた」と、これまでの道のりをしみじみ回想。その言葉に対して、是枝監督は「もっと早く実現するかと思っていたが、時間がかかったからこそ、嵐さんに出会えた。出会いに恵まれ、生まれるべくして生まれた作品は、強いものになる」と労をねぎらった。

現在までに、数々の新人賞を手にしている嵐は「想像していなかった」と反響の大きさに驚いた様子で、「作品を通して、私のお芝居を評価してくださったのは、これからの自信につながっているなと。ハードルが上がっている気がして、緊張もありますし、やはり受賞は重たく大きなもの」と背筋を伸ばしていた。

今後の抱負を問われると、「役を通して、学んだり感じたことを、作品を見てくださる皆さんに伝えていける女優さんになりたい」（嵐）、「映画を作って伝えることの意味と大切さを、日々感じている。映画作りを通してもらった大きなものを、次にどうつなげていくか考えたい」（川和田監督）。是枝監督は「オリジナルの企画を立ち上げ、脚本・演出を手がけて、2本、3本と映画を撮るのは、いま非常に難しい。意欲と才能ある、若い作り手を応援するためにも、ぜひ劇場に足を運んでもらえれば」とエールを呼びかけた。

2022年・第72回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門に出品され、アムネスティ国際映画賞スペシャルメンションを贈られた本作。釜山国際映画祭でのプレミアを経て、国内では主演の嵐が、第45回山路ふみ子映画賞の新人女優賞、第47回報知映画賞の新人賞、第77回毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞、第96回キネマ旬報ベスト・テンの新人女優賞を受賞。川和田監督が、将来性のある新人監督を選出する「新藤兼人賞」の銀賞に輝いている。

「マイスモールランド」は、新宿ピカデリー、MOVIX川口、なんばパークスシネマの3館にて2月10日から2週間限定で凱旋上映されている。