池脇千鶴「苦しい恋はしたくない」

2010年6月25日 19:56


藤沢作品の典型、耐え忍ぶ女性を熱演
藤沢作品の典型、耐え忍ぶ女性を熱演

[映画.com ニュース] 藤沢周平の短編小説“隠し剣”シリーズの一編を映画化した「必死剣鳥刺し」の特別試写会が6月25日、東京・半蔵門のTOKYO FMホールで行われ、女優の池脇千鶴と元NHKアナウンサーの松平定知がトークショーに出席した。

独自に編み出した必勝の剣「鳥刺し」を使う剣豪・兼見三左エ門(豊川悦司)が、海坂藩の政治に悪影響を及ぼす藩主の愛人を刺殺。この事件を機に、陰謀に巻き込まれ、絶体絶命のピンチに立たされる。「愛を乞うひと」の平山秀幸監督がメガホンをとる。

池脇が演じたのは、三左エ門の亡き妻・睦江(戸田菜穂)の姪にあたる里尾。兼見の屋敷で家事を務め、三左エ門閉門の折も屋敷を去らずに、三左エ門への思いを募らせていく。池脇は、「里尾は耐えながら、無言で三左エ門さんを支える女性。秘めた思いがあるのに、表に出せない」。そんな里尾の心情に対し、「人を愛する気持ちは、誰にもあるもの。でもこんな苦しい恋はしたくない。私自身、演じていて辛かったです」と語った。また、豊川との共演を「現場に入るときから、もう豊川さんじゃなくて、三左エ門さんなんです。里尾が好きになる気持ちを引き出してくれた。本当に格好良かった」と振り返った。

松平は藤沢作品の朗読をライフワークにしており、現在はチャンネル銀河が制作するオリジナル番組「松平定知の藤沢周平をよむ 『橋ものがたり』」に出演中。「藤沢作品は、一生懸命に生きている人に優しく温かいまなざしをおくっている。それが大きな共感を呼ぶ理由」と解説。池脇扮する里穂について「耐え忍ぶ女性というのは、藤沢作品の典型。女性の機微を描くのがとてもうまい」。また、「目の演技がすてき」と池脇を絶賛した。トークの終盤では、上映前にもかかわらず、結末を明かしてしまうひと幕もあったが、池脇が「結末を知っていても、いい作品だと思っていただけるはず」とフォローした。

必死剣鳥刺し」は東映配給で、7月10日から全国で公開。

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