ダンスで這い上がる若者を追い続けた「RIZE」
2006年1月24日 12:00
全米一治安の悪い街と言われるロサンゼルスのサウス・セントラルで、ヒップホップ・ダンスに新しい流れを巻き起こした若者たちを追ったドキュメンタリー「RIZE」。公開に先駆けて来日した、デビッド・ラシャペル監督に話を聞いた。
ファッション・フォトグラファーとして、「ハリウッドで撮ってないセレブはいない」というほどのキャリアを築き上げた人物が、なぜ3年間にも渡って危険なサウス・セントラルに通い続け、撮影することを選んだのか。「僕が題材を見つけたというよりは、題材に見つけられたんだ。まずダンスに惹かれ、踊る彼らの人生を知れば知るほど、抑圧の中から生まれたダンスがポジティブなアートに変わっていく様子が素晴らしいと思ったんだ」
ファッション写真を撮り続けてきた監督は、その写真にシュールな世界を描き出すことを得意としてきた。「スチル写真を撮るときでも、自分の頭の中には常にストーリーがあるんだ。僕の写真は常に生命力、エネルギーを表していて、ダークなものから這い上がろうとする気持ちは、映画の題材<サウス・セントラルからダンスで這い上がる若者たち>と全く同じだと思うよ」
とはいえ、暴力と銃声が日常的なこの街で撮影を続けることは危険ではなかったのか。「サウスセントラルはもちろん危険な場所ではある。撮影中、15歳の女の子が白昼殺されるということも起きた。でも、仕事をしてる自分の身に危険を感じたことはなかった。ビジネスをしていると、ハリウッドの方がよっぽど怖いっていうのは本当だよ」。「RIZE」は1月28日より公開。