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志村けんの"最後の女"と週刊誌を飾ったグラビアモデル、レースクィーン、チョイ端役俳優『奥村美香』を取り上げたモキュメンタリーフィルムである 今作の成り立ち自体がどうもどこかのオーディション企画みたいなもので、その胡散臭さ(日本映画批評家大賞製作短編作品)も相俟ってその、まことしやかで虚構が湧き出る雲を掴むようなイメージに踊らされるプロットである
冒頭の彼氏なのかそれとも枕営業なのか、ラブホの部屋で1人置いてけぼりを食う主人公から始まり、コンビニでの栄養ドリンク一気飲み、公園での配信、ラーメン二郎系店でのニンニクマシマシの頬張り、タンニングマシーン等々、中々の"肉食系"の日常を淡々とカメラは追う それは所謂今日の彼女のような職業のイメージを描いているステレオタイプである そんな彼女も35才であり、その身の振りを一見焦燥は感じさせず、さりげなく舞台やユーチューバ-、又は炎上系配信者との会合で、その可能性を探るところも、制作者の意地悪さも相俟って、含みのあるフィルターが掛っているストーリーテリングになっている 大久保界隈での、外国人からのナンパも又、確かに周りの女性とは一線を画す美貌ながら、そのプライド故、身の振り方を未だみつけられないもどかしさを滲ませる演出が興味深い 結局、ラストの飲食店の軒先での地元の友人であろう人との電話のやり取りが何を物語るのかは、観客に委ねる落とし処になっていて、そのあとの「カット」の声と演技が終わった後の安堵感の表情込みでの作品なのであろう なかむらゆうじの演技指導で、マイムの大家にあれだけ下手なパントマイムを見せ、「回転木馬」の意味が分らず、メリーゴーランドの事とようやく気付く世間ズレ等々、ちょいちょい小ネタで彼女のディスリを演出してみせるシナリオは、それでも受けた彼女の或る意味"天然"性なのか、計算された"退路絶ち"なのか、そんな全てが虚実皮膜に彩られた構築に心を持って行かれた作品である
ではなぜ、点数を1.5にしたのか? "脱がなかった"からである・・・ 濡れ場が無い事が最大の欠点であるから、そこをクライマックスに出来なかった今作品の低評価を敢えて公表するものとする