「若さと未熟さと閉塞感」僕の中に咲く花火 レトリバーさんの映画レビュー(感想・評価)
若さと未熟さと閉塞感
良かったです!
高校生の主人公の稔は、小学生の頃の母親の死がまだどこかで受け入れる事ができず、どうしても亡き母につながりたくて、怪しくて危険な道に足を踏み入れようとします。
妹は引きこもり状態で、再婚を考えていると話し、亡き母の遺品の処分する父に反発して家出しても、結局は行くあてもなく、自宅に戻るしかないのです。
若さや未熟さ、行き場のない想いから来る閉塞感が岐阜の田舎の風景と相まって、とてもよく表されていると思いました。今の私には若さって眩しいし、素敵なものだけど、若い時は確かにこんな向こう見ずな危なっかしさや辛さもあったなあとしみじみ思い出させてくれます。
気になることはあったんです。そんな汚れた服で居酒屋行っちゃうの?とか、焼肉屋の帰り、お父さん鍵預けちゃうんだ…とか、妹さんの葬儀の場面とか…。
でも町の暗さ、外で高校生がタバコ吸っちゃうような緩さ、こじんまりした花火大会、ふるさとを出てお盆に帰省してくる人、田舎独特の夏のちょっとした異界感や雰囲気がよく出ていました。
最初のコメントにも書かれてましたが、ラストシーンがとても良かったです!あの1日の終わりを告げるメロディと夕暮れの暗くて赤い川原、私は子供の頃に大垣に住んでいたのでなおさらですが、時間を巻き戻したような懐かしさや、何ともいえない気持ちが溢れてきました。
朱里さんも居酒屋の主人も、主人公を取り巻く人たちはどこか優しいし、父親とのわだかまりも溶けていきそうです。でも必ず最後は1人で立ち上がらなければならない、という厳しいメッセージもあったような気がしました。
とても若い監督さんとのことで、今後もとても期待しています。
最後に…あちこちさりげなく、スポンサー企業が劇中に出てくるのが、ちょっとした楽しみでした。
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