「慈愛と狂気」クオリア Kchunさんの映画レビュー(感想・評価)
慈愛と狂気
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今日は、上映後に舞台挨拶のある回を鑑賞できたので、それも踏まえたレビューにしたい。
養鶏場の妻ユウコへの感情移入が、はじめは中々出来ずにいたが、ストーリーが展開していくに連れ、田中家(義姉サトミ、夫リョウスケ、従業員タイチ、そして夫リョウスケの不倫相手のサキ)との生活の中で起きる、様々な出来事によって、じわじわユウコの思いに導かれていく…
いいのか悪いのか、はたまたなんなのか、なんとも言えない、今まで感じたことのない感覚に陥ったのだ。
ユウコの自己犠牲といっても過言ではないほどの慈愛と、姉との過去を引きずり、不倫相手との逢瀬でストレスを発散するリョウスケ。その二人の間に入り込んでくる人間たちの狂気。
登場人物が全員、何らかの闇を抱えながら生きている…その様を「スクリーン」という窓から眺めているというのが、この作品との付き合い方だろう。
上映後の舞台挨拶、牛丸監督の「わからないことをわからないこととして見せる」という言葉が印象的だった。
兎角、映画はわからないことをわかるように、様々な演出や編集で見せることが多い中、あえてそのままにする。
だからこそ、初見の感情と二度目の感情の違いが明確になり、それがこの作品の大きな魅力となっているのではないだろか。
今回は監督の牛丸亮氏、主演の田中ユウコ役の佐々木心音氏、そしてユウコの義姉、田中サトミ役の久田松真耶氏のお三方の貴重な話を拝聴する機会に恵まれ、作品と共に素敵な時間であった。
二度目の鑑賞でどんな感情を得られるのか…
もう今から、その期待で一杯である。
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