「初監督の方の作品としてはおすすめ以上」クオリア yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
初監督の方の作品としてはおすすめ以上
今年90本目(合計1,182本目/今月(2024年3月度)8本目)。
(前の作品 「おまえの親になったるで」)
シアターセブンで見てきました。
初めての監督さんということでしたが、それを感じさせない品質の高さが良かったかなといったところです。
テーマというか舞台がほぼ養鶏場しか動かないし、解釈のゆらぎはあるとしても軽いホラーもの(ホラーというかは微妙ですが、怪奇ものというのも変?)という扱いになるんじゃないか…と思います。
一応気になるシーンもないわけではないですが(法律上怪しい行為がちらほら)、この作品、元ネタが演劇(お芝居)であることも関係してストーリー自体にあることないこと入れられない(原作改変どころではすまない)事情もあるし、飯田市(一応、クレジットとしては登場する)のローカルネタという事情まで鑑みれば、大きくは引けないといったところです。
また、主人公(この映画の主人公を誰に取るかは色々ありましょうが)佐々木心音さんが良かったかな、といったところです。
軽いホラーもので、PG12以上つくような内容ではないですが、一部表現上の「かわし」が見られる点もあり、PG12以上はついても仕方ががないんじゃないかな、と思います。
これらの配慮の問題ほかまで含めて以下のように評価しています。
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(減点0.3/養鶏上の一部の表現について)
テーマが養鶏であること、また軽いホラーものという事情もあり、動物愛護法上よろしくない行為がいくつか見られますが、これらについては通常はエンディングロールで「動物愛護については適正に対応されています」などの断り書きが出るのが普通かなと思うのですが、本映画ではなし。
ただ、そのあとの舞台挨拶(シアターセブンは比較的観客との「距離の短さ」が売りのシアター)で、それがないまま「ファミチキで油ぎっちょの~」といった漫才ネタに飛ぶのも、「やや」配慮が足りないかな…という気がします(ただ、個々個々複合的に起きる問題であり、「ファミチキ~」に関しては台本なしの漫才ネタで出てきただけで「結果的に」気分を害しうるという部分に過ぎないので、採点上はこの程度にしています。
(減点0.1/ニワトリが出荷される前日にパンくずをあげるのあげないのの話)
そのパンくずが、人間が食べるものではなく他に転用がきかない場合、鶏に食べさせるかどうかは、簿記会計上はいわゆる「埋没原価」と呼ばれるもので原価計算上無関係になります。一方で、この映画の経営者と思われる男性(父親)も、ある種ホラーという世界観からうかがい知ることは完全には難しいものの「養鶏なんてどうでもいい」とまでは思っていないはずです(そうであるとすると個々の発言がかなり矛盾する)。この点やや配慮を欠くかなといったところです(パンくずなんて、何年も持つものではないので、埋没原価になるのであればさっさと消費しないとある意味でフードロスです)。
※ なお、埋没原価になるというのは原価計算上の「理論的な」話です。養鶏においてどのような「実際上の」簿記会計が行われているかは調べてみましたが不明でした(個別原価計算?何らかの仮定をおいた総合原価計算?)。
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