市子のレビュー・感想・評価
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余韻がしっかり残る映画だった。 暑い夏の日、ザラザラとした感情や違...
2人ではなく、きっと3人なんだと思う。
太陽の下汗ばみながら鼻唄を口ずさんでいるのは、一体誰なのか。
私の苦手な時間軸が行ったり来たりするパターンで、あれ?これ何歳なん?なんかおかしくないか、ってなりながらの前半。市子の秘密を知ってからはこの苦しい物語をどう締め括るんだろうと思いながらクライマックスへ。これは切なすぎる。お母さん、色々あったで片付けないでよ、あなたが悪いよ。本当に母親を張り倒してやりたい気分になった。
自分ではどうしようもできなかった市子がそれでも自分自身として生きると決めた。与えられなかった人生と与えられたはずの人生の狭間でもがきながら。杉咲花が普段のほんわかしたかわいらしい一面を封印し何者にもなれない一人の女性を見事に体現しています。
そして市子を支えようと奔走する二人の男性。長谷川はあくまでストーリーテラーのような存在でむしろ重要なのは北。彼には市子と関わった全てで違う選択をしてほしかったな。
法律の不備よりもダメ母親の元に生まれた姉妹の悲劇
どうする市子、どうなる?
なかなかな重たさ
3年間一緒に暮らした恋人からプロポーズされた市子は突然姿を消してしまう。
そこから市子の過去がどんどん浮き彫りにされていくのだが、市子の幼少期からかなりヘビー。
家庭環境の悪さが育ちを悪くしてしまったのかと思ったが、そんな生易しいものではなかった。
市子として生きられなかったのには凄まじく不運な背景があり、胸が押し潰されそうになった。
そうか。長谷川にプロポーズされたのは 心から、本当に、嬉しかっただろう。それなのに、ちゃんと働くことも出来ず、病院にも行けない市子に、1枚の婚姻届。何とも辛く悲しかっただろう。
冒頭の市子の涙と最後の市子の涙は同じだが、市子のそれまでの壮絶な人生を知った後では、ものすごくその意味が重く揺さぶられた。
最後 ニュースで伝えられた海に落ちた車の男女はどういう事だったんだろう。
市子を守るために北が北見と心中したということにしたのだろうか。エンドロールで聞こえて来た関西弁は誰のものだったのかな?
最後いろいろと謎が残ったのだけれども、観る人に委ねる系なのだろうか。
子役も含めて個性派俳優が勢揃いという感じで、しっかり心に残った作品。
ある女
話題になっていたので、観に行こうと思いましたが満員御礼なくらい人がいたので、なんとかタイミングを見つけての鑑賞。
友人から聞いてた通り、「ある男」と似たようなテーマを扱っており、あちらもそこまでハマりませんでしたが説得性は「ある男」の方があり、比べるとこちらの方が映画として見劣るかなと思いました。
なんだか人尋ねの様子がドキュメンタリーの様に思えてしまい、映画的なメリハリが失われていたのも残念だなと思いました。演技も舞台と映画と異種のものが同じ空間にいて、それがうまく噛み合っていなかったのも違和感を感じる要因でした。
市子と関わってきた人物のほとんどが大変な未来を迎えており、現代的な問題を多く抱えているのはフィクションとはいえどやり過ぎだよなぁと思ってしまいました。
まだ普通に過ごしている北くんも市子のストーカー的なポジションも、好意を持っているくらいで抑えられなかったのかなと思いましたし、自殺願望の子は物語に必要だったのかとも思ってしまいました。
関わる人物が多いせいか、一つ一つのシーンが作業的に進められており、テンポがいいと思うのとは裏腹に雑だなと思ってしまったのが惜しかったです。
市子の身勝手さ、ホラ吹きな感じは普通になりたいという願望から生まれたもう1人の自分だろうなと思いましたが、身勝手さが先行して感情移入できず、それでいて逆の意味で凄いと思えなかったのも残念だなと思いました。
杉咲花さんが今作では素晴らしい活躍をされていました。心ここに在らずな女性を見事に演じ切っていましたし、観客を見つめる黒目がこれはこれは大きくて吸い込まれてしまいました。
普通の人生を生きたい女性が、普通の人生を過ごす女性になり変わって過ごすというテーマ自体は良かったですし、杉咲さんの演技には惹き込まれましたが、映画として面白かったかと聞かれると微妙な作品だなと思いました。驚きのあった「ある男」とはまた違う切り口で終わらせるのかと思いきや、中盤で明らかになってしまって消化不良だったのも残念でした。
元々が舞台スタートな作品という事で、舞台版を観たら印象も変わるのかななんて考えたりしてしまいました。
エンドロールでの鼻歌、良い味を出していました。
鑑賞日 12/19
かわいそうだった
貧困かつ無戸籍で、ヤングケアラーでもあり、最終的には4人の死に関わっている市子、気の毒ではあるけど手を差し伸べるとしたら相当な覚悟が必要で、距離をおきたいタイプだ。しかし美人なので好きになってくれる男性には不自由しない。見てくれが悪かったらなお悲惨だ。
児童相談所や福祉のお世話になれるレベルではないだろうか。親切な共産党系の弁護士さんなら無料でケアしてくれることもある。
北くんが、ベランダから部屋をのぞく場面がすごく面白い。臨場感がすごいし、結果的にことが起こるまで何もしないのがリアルだ。
高校時代の彼が団地についてきてドン引きする。若いし、子どもだし、そりゃそうなるでしょうね。男気を見せられても嘘くさい。
市子が長谷川くんと暮らし始めてすごく幸せそうで、ケーキ屋でバイトしていた時も表情が明るい。新聞配達の時は暗い。風邪もひいていた。
タイトルなし(ネタバレ)
2015年、関西のとある平凡な町に暮らす20代後半の女性、川辺市子(杉咲花)。
恋人・長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日に突然失踪した。
長谷川とは、3年間一緒に暮らしてきた仲だった。
しばらく後、途方に暮れた長谷川のもとに後藤と名乗る刑事(宇野祥平)が現れた。
別の事件の関係者として市子を捜しているという。
質問する後藤に対して、長谷川は市子の過去はあまり知らないと答える。
過去についてはあまり語りたがらなかったからだ。
そんな長谷川に後藤は衝撃的な発言をする。
川辺市子なる女性は、どこにも存在していないのですよ・・・
といったところからはじまる物語は、過去の時間軸が交錯しながら、川辺市子と名乗る/名乗った女性の過去、アイデンティを探っていく。
ある時は月子と名乗っていた市子。
何人かの証言で、そこへ辿り着く。
その理由は・・・
と明らかになるところで終わるのが「普通のミステリ」なのだが、映画でその理由が明らかになるのは中盤。
いわゆる、謎解きのカタルシスを超えて映画は市子のアイデンティティに迫っていく。
何人かの証言、いくつもの事件・・・
それらを通して見えてくる/見えてこない市子のアイデンティティ。
世間の枠組み、社会のシステムからはみ出してしまった/しまわざるえなかった存在を救う網はなかった。
セーフティーネットはなかった。
だれかの好意、だれかの愛情は彼女を安全な場所には導かなかった。
社会上どこにも存在していない市子は、それでも生き続けて、存在し続ける。
市子=イチコ=一子=ひとりの人間として。
市子を演じる杉咲花は、一個の人間としての凄みを感じさせる演技。
そして、彼女を取り巻く青年/少年を演じる、若葉竜也、森永悠希、倉悠貴の若手男優も素晴らしい。
刑事役の宇野祥平、母親役の中村ゆり、母の交際相手の渡辺大知ら、中堅俳優も素晴らしい。
素晴らしいところ、気になるところ
役者さんの演技が素晴らしいので、作品世界に没入できます。
杉咲花はこうした過度の演技性を必要としない作品のときに活きると思いました。
しかし一方で、見た後にいろんなことが気になってしまいました。
戸籍がなくても、学校には通えます。別人になりすます必要はありません。
無戸籍だからと言って不幸になるわけではないし、この作品の舞台となった頃はともかく、現在では父親がDV男でも戸籍を取得できるよう、手を貸してくれる人たちがいます。
この作品にもそうしたNPOが協力しているようですが、そのこともわかるように描いてくれるとよりよかったかなとは思います。
福祉につながれないこと(というか、あの男がそうしてしまったわけですが)が問題を大きくてしまうケースとして見ました。
免許がないはコメディだげと戸籍がないのは悲劇なんだろけど···だからと言ってねぇ
戯曲が原作の映画。
中村ゆりは美しいのですが、怖~い女の役がここのところ続きますなぁ。すごいんだけど、お気の毒。
市子ってゆう名前の女の人、一人だけ知ってます。浦和のマダム。ウラワネーゼ。カンケイないけど。
出生届けが出されていなくて、戸籍がない市子。母親は夜の蝶。種の違う妹は福山型筋ジストロフィー。相当重症の病気でもちろん難病指定。医療費免除で定期的に補助や介入が入るので、途中で生死が確認できなくなったら、大騒ぎになるのに決まってるのにねぇ。
そこんところが甘いねぇ。
市子が犯した罪はその他に、何人目かは知らんけど継父役の渡辺大地と顔にやけどの痕のある女と森永悠希扮する月子(市子)にいれあげる高校の同級生を心中にみせかけ車ごと水没事件。どうやったかは知らんけど。
森永悠希の勇気あるストーカーはものすごく頑張ったし、市子もかなり頼りにしたに違いないのにね。
血も涙もない。
戸籍がとうとかの問題じゃないんじゃないの。
杉咲花は花魁役が学芸会と揶揄された時代劇映画よりは色っぽくなってたけど、中村ゆりの娘にしては色気が。
子役たちは頑張ってました。
ドキドキするわけでもなく、カタルシスがあるでもなく、なんだかな~な映画だった。
ただ、毎度のことではあるが若葉君が不憫でならなくて、やるせなかったよ~
中田青渚のケーキ屋さんは応援したい。そこは誰でも惹きつけられるよ。
カミュ「異邦人」青木理「誘蛾灯」
市子が妹を殺す場面のセリフが印象的。「暑いな」。勿論妹の介護疲れが原因ではあるが、本当に暑いから殺したのかもしれないと思わせる演出と杉咲花さんの演技が圧巻。即座にカミュの「異邦人」を想起した。母親が気持ちを整理するために皿洗いをしながら発する「ありがとう」も鑑賞者の感情をあらゆる方向にかき乱す。
身体が「女」になりつつある市子は、複数の同級生(実際には年下の男の子)から好意をうけるのみならず、義父の性的虐待にもさらされる。滅茶苦茶美人というわけでもない(杉咲花さん失礼!)うえに、傍目には不思議ちゃんなのにやたらモテる女性というのが実際にいるのは、私(男)も経験則から何人か思い出す。青木理さんの「誘蛾灯」は、鳥取の連続不審死事件を追ったルポルタージュ。お世辞にも良い容姿に恵まれているとは言えない女性が複数の男性(主に老人)を不審死に追い込んでいくさまを、現地に何度も足を運んで取材している。本作における市子はこれを連想させる。だからこそラスト、次の戸籍を得た市子の鼻歌が「殺人鬼の狂気」にも「新たな幸せを手に入れた女神の喜び」にも聞こえる。見事というほかない。
今作を、無戸籍・DVなどの社会問題として捉えるのは単眼的である。もっと深く「人間とは何か」という根本的な視点が底流にあると思うのだ。
ささいなきっかけで殺人を起こしてしまう人間という生き物。
説明できない魅力に抗えない不可思議さを持つ人間という生き物。
これらを、映画ならではの表現方法で描ききっている「市子」。素晴らしいのひとことである。
星5つではなく4つにしたのは、完全に個人的な理由。最近見たある映画(作品名はさけるがゴジラマイナスワンである)があまりにもセリフの説明が多すぎて辟易したのだが、その直後であるからか却って「説明が少なすぎる」と思ってしまったのである。しかし本作の素晴らしさとは関係なく些末なことであり、ここまで書いたことを確かめるために2回目を見るかもしれない。傑作だと思います。
成長著しい。
存在しない
コロナからも、インフルからも1人逃げていた∧( 'Θ' )∧
可愛いのと(えw)身体が頑丈なのだけが取り柄な私が、肺炎で2週間ちんでいました:(´ཀ`)
これからは、可愛い(えw)病弱なキャラでいきますd( ̄  ̄)
はぁ〜しんどーー( ´Д`)
久々の映画は市子。
随分と古風な名前でございます。
花ちゃん(パパも♡)倉君♡♡
若葉君と大好きなキャストなのでウキウキですよ♪
無国籍問題ですね。。
以前、井戸まさえ先生の「無国籍の日本人」という本を読んだ事があります。
その中では、日本には戸籍のない人が1万人以上いると書いてありました。
しかし、きちんとした統計がないので、1万人というのは「最低限、確実に、その位はいる」という数字らしい。
驚愕通り越して、信じ難い話しでした。
無国籍になる理由は様々ですが、本作の場合は、いわゆる「民法772条」のケースでしょうか。
何も悪くない子が、無責任な親の元に生まれてしまったが為に、普通の権利を与えられず罪を犯す事になる。。
市子には同情出来るのだが。。
さて、どうしたもんか。。。
市子(花ちゃん)は殺害した妹月子になり代わり、その戸籍を利用し暮らしている。
そして自分に好意のある北(森永君)や長谷川(若葉君)の男心を利用し逃亡しているという事実。
月子の白骨化した遺体が発見された事で、妹と義父(大和君)を殺害した事を知っている北が邪魔になり、自殺志願者の女性と共に偽装自殺させる。
彼女の戸籍を手に入れた市子は、又、違う場所へと歩み出す。。
この物語を、どう捉えればいいのか。
自分が生きる為に人を殺し逃げ続ける市子。
本当に好きだった長谷川との幸せな暮らしを捨ててまでも生きようとする市子。
彼女は悪魔なんだろうか。
ただの殺人者だと思えばいいのだろうか。
市子の人生はスタートそのものが不憫ではある。
母親のせいで無国籍となり月子のフリをさせられた事で狂ってしまう。
市子も被害者なのだ。そうは感じる。責めきれない。犯した罪や逃亡の事実。
同情してしまう自分はいた。
しかし、上手く整理出来なくて混乱している。
凄いものを見せられている気もするし、でも考えると雑な箇所が多くて困っちゃうよ(°▽°)
長谷川は可哀想だったけど、コロされなかっただけマシ?とか、田中(倉君)はあの後少年院に入って「OUT」なのかな?とか、、
映画観るの久しぶりでテンションは高いんだけど、頭がちんでた('◉⌓◉’)
花ちゃん、倉君、若葉君のファンなので星は多めです♪
あとを引く感覚がすごい
もちろん杉咲花は素晴らしい。こんなに悲しくて苦しくて切ない役を完璧に演じています。若葉さんや他の俳優さんたちも皆さん素晴らしいです。何時間でも観てられます。このようないろんな時間軸で行ったり来たりしてると何か訳分からなく事になったりする事もありますが、本作は出てくる役者さんたちのメリハリが効いた芝居や演出が素晴らしく完璧です。最後の方に出てくる自殺願望の人やストーカー的な森永さんも最後そうなるんだ!という感じでした。最近ハピネットファントムスタジオは素晴らしい作品を送り出しますね。たしかバンダイ系のおもちゃ問屋さんから始まってテレビゲーム流通で大きくなり、ミニシアター系の洋画の配給からはじまり今や映画界のメインプレイヤーになりつつあり、キノフィルムもそうですが新興勢力が邦画界を盛り上げてくれて嬉しい限りです。
無題
鼻歌と静かに流す涙
私も終映後しばらく動けなかった
秘密を知るものだけが味わう苦痛
余韻に浸りたかった
市子の笑顔が可愛いだけに守ってあげたくなる
友達も良い子ばかりだった
きっと母親も綺麗なだけに色々苦労したんだろうな
あの時も母親は鼻歌を歌っていた
顔はあまり見えなかっただけに想像して自分が涙する
この親子はお互いにちゃんと愛情はある
表現が少し苦手なのかな
"法廷遊戯"では恐怖を感じましたが
こちらは静かに絶望感
3月公開の"52ヘルツのクジラたち"も楽しみです
杉咲花さんの演技に圧倒される秀作
失礼ながら、杉咲花さんは見た目も演技も子供みたいで、これまで全く魅力を感じませんでしたが、本作の彼女はすごいです
無戸籍児として自らのアイデンティティを否定され、不幸な家庭環境で絶望の淵で生き続ける主人公 川辺市子という到底 一般人には理解できない超難解な役を演じる杉咲さんの渾身の演技だけでも見る価値のある作品だと思いました
日本には市子のような無戸籍者が一万人ぐらいいるそうで、その人達が皆、このような辛い思いをしているかと思うと心が痛みます
それでも一生懸命生き続け、なんとか自分で幸せを見つけそっとしておいて欲しいのに、人の人生は残酷でとんでもない方向へ転がっていく、という顛末には驚愕を覚えました
市子はただただ幸せを願い、ようやく若葉竜也さん演じる長谷川くんと出逢いプロポーズまでされたのに、その辛すぎる出自と生い立ちはとんでもない”怪物”を生み出してしまったのか
と、観ていてめちゃくちゃ苦しいエンディングでした
時代が行ったり来たりしながら、市子を追う人々と一緒に彼女の人生を噛み締め、全貌が明らかになっていくストーリー展開が見事、グイグイ惹き込まれ、あっという間の126分でした
そしてそんなエモーショナルでスリリングな物語を彩る俳優陣も素晴らしかった
特に宇野祥平さん演じる後藤刑事が渋かったのと、中村ゆりさんが色っぽくてすごく綺麗でした
なかなか見応えのある良作でした
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