「見たあと疲れが。思ったこと、感想。」市子 ティム2さんの映画レビュー(感想・評価)
見たあと疲れが。思ったこと、感想。
市子を見ていて不遇で環境の悪さとかをなんか可哀想やつらいって思ってみていたけど、鼻歌を聞いていると全然彼女の気持ちがわからないなと思った。
最初と最後の鼻歌では印象が違った。同じ場面だが最初は悲しい感じだと思った。最後は気分がよくて鼻歌歌ってると思った。
もちろん複雑で陽気とは違うけど、リラックスして歩いてるような感じ。
しては行けないことを躾けられるほど大人にみられてない市子は生きるためにしたことと割り切ってると思った。
成長とともに自然と常識は身についていってる。
高校のとき線路に死体を一緒に運んだ男子は気が滅入っていたが市子は切り替えてた。
妹の介助疲れで妹を殺すときも生存本能で仕方なかったと。
高校のときの恋人や今の恋人には悪い面を全く見せてなくて、大切な人には見られたくない。
高校のときの市子のストーカー男子のことはどうでもよくて扱いが全然違う。自分は好きじゃないけど相手は好いてくれててただ利用する。市子はちゃんと突き放してて、それでも来る彼を結局は利用するかたち。
自殺願望のある女性は市子に少し似ていて、自殺願望のある人ならいいかとなるのか利用する。
市子は殺人鬼とか快楽でやるわけではなくて、生きていくために仕方がなくなれば殺すことができる。
人殺しは絶対ダメがない。食べ物に困ってるから万引きするのを皆んな理解できると思うけど、その感じで殺人があると思った。
市子の母の内縁の夫?や高校のときのストーカー男子が嫌味で「悪魔」って言うけど、性欲に支配されて、下心で行動してたやつが偉そうに言えることは何もないとむかついた。
市子と違ってそこから離れることができる他人の男たちは関係をやめればいいだけ、見捨てるのがつらいかもしれないがこの不幸を耐えられない奴が依存になってる。
市子の周りの女性は嫌いだと思ったら離れてそれきりだし、ケーキ屋のキキちゃんはいい子で気になってるけど執着はしてこない。
女性の不幸には性がつきまとう。うんざり。
助けてくれるのは下心のあるやつばかり。
キキちゃんといたときはいい方に向かいそうだった。
戸籍や身分証明書などの社会のルールのために、人を殺すというルールに反してることをする。皮肉。不完全な世の中を感じた。生きるために人を殺すって究極で仕方ないこともあるかもしれない。
でも、社会のルールから外れてて書類のために殺さないといけなくなるのはつらいと思った。
途中で戸籍取るのを助けてくれる団体が出てきてよかった。そこに行き着くまでに後ろ暗いところができてる人も多くいるんだろう。
どうしたらいいかわからないけど、未成年はもっと早い段階でそんなに難しくなく手続きできたらいいと思った。一緒に暮らしてない親や親戚には未成年とはいえ情報を明かさないのを必須にして。
障害のある妹の介助・介護もヤングケアラーになってて、戸籍がもしあっても市子が疲れて殺すのは変わらないから、支援が必要だった。そういう助けが不十分なことの積み重ねが彼女の立場をなくした。
男性陣の配役、俳優がよかった。
市子はこういう人だって知った気になれなくて、杉咲さんもよかった。
ケーキが好きで屋台の焼きそばが好きでよその家のみそ汁の匂いが羨ましくて普通に暮らしたいだけで、無戸籍が生まれてからずっと付きまとってくるせいで幸せになるのが難しいつらさを思う。でもいくつかは戸籍ではなく貧しさのせい。
いろんな問題が入ってる話し。
ただ生きようとしてるのが伝わってくる。
月子が死んでなりすますことになったけど、やっぱり市子として行きたいと思ったのに、また身分を手に入れるために自殺幇助をして誰かになる。
また市子じゃなくなるの悲しい。
それまでを捨てたんだな。仕方なく。
あの鼻歌、月子を殺した日に台所で母親が鼻歌してたもので最後の場面と状況が被る。