「杉咲花さんは市子でしたね。」市子 アキよりさんの映画レビュー(感想・評価)
杉咲花さんは市子でしたね。
3年付き合った彼女にプロポーズをした翌日に主人公の市子が失踪する。すると刑事が市子の捜査をしていると、また市子と言う人物は存在し無い人物だと伝えられ恋人の長谷川は途方に暮れる。行方を追う長谷川は市子の壮絶な人生を知る事になる…
市子を演じた杉咲花さんは最高でした。
関西弁で『好き』とあの瞳で言われるとドキドキしますよねー。
衝撃と言うか市子のキャラクターを杉咲さんが演じる事で市子に同情するか、嫌悪感を抱くか?
別れるでしょうねー。
観ていて感情が揺さぶられ、面白かったです。
無戸籍であり、月子と名乗ったり市子と名乗ったりと市子に関わった人物が登場しストーリーが過去と現在が交差し徐々に市子の人物像が浮き彫りになっていきます。
市子は小学生の頃の頃から大人の目線と言うか、開き直った生意気な子供に見えます。
もし自分が同級生なら近づかないかなー!
でもきっと男性には惹かれる魅力があり、市子はその魅力を自分でも気付いていた?女を武器にする悪魔的な存在に見える。
全編通して見て、親の無責任が故に生まれた市子。
隠された存在にされる事で徐々に歪んで行ったのか?
寝たきりの月子は自分と母親に取って邪魔な存在?
もしくは月子を母親の為に消す行動に至ったのか?
もしくは母親への復讐心があっての行動か?
いや月子の事を思っての行動か?
その心理は分かりません。しかし市子よそれはダメなやつだとがっかりさせられる。
母親の『ありがとう』と言う言葉も、ゾッとするし壊れているとしか言いようが無い。
北君もとんでもない事に巻き込まれている。少し気持ち悪い存在で、ストーカー気質で心底市子に惚れていた。しかし市子にとっては一番の理解者で助けてくれる存在だがラストまで利用されてあーそうなるのーと言う結末にやっぱり邪魔な存在だったのかと思ってしまう。
ここまで来ると、確かに親の責任、無戸籍といろんな原因はあるが、市子の存在が完全なサイコパスにも写ってしまう。終盤になると背景にある問題が薄れてきてしまう。
逃げられない過去と現実に生きる市子は悪魔にも映るし、ただ純粋に普通に行きたかっただけと健気に映る杉咲花さんの演技は素晴らしかった。
本当に可哀想なのは巻き込まれた長谷川君で、もしかしたら市子に…と思ってしまう。