「名前というアイデンティティの重さ」市子 梅じんの相棒さんの映画レビュー(感想・評価)
名前というアイデンティティの重さ
虹は誰が見ても虹、七色があって見え方もくっきり綺麗でも、ぼんやりと滲んだように見えても虹は虹。
オープニングとエンディング、母親のハミングの虹が物語る、私は市子という名前がある。
無国籍児が色んな理由で存在することも最近ニュースで伝えられ、難病介護の苦労やDVなどの社会問題も描くことで市子というひとりの人間の人生が哀しいものに。
私達に当たり前に生まれた時から持っている名前が、自分のアイデンティティなのだろうけど、意識することはないだろう。
無国籍児として育ち学校にさえ行けない苦悩を見事に描かれ演じられている。
幼少期から彼氏との出会いまでの描写に少し頭の中が疲れるが、市子という人間が辿ってきた人生を観るものに伝えるには致し方なく、しっかりと観なくてはなりません。
私が1番苦しかったのは市子が介護してる月子を死なせたが、帰って来た母親が動揺するでもなく市子にありがとうと言って鼻歌歌いながら台所に立ったところ。
映画としても杉咲さん、恋人の若葉さんの真っ直ぐな演技力、子役や若い役者さん全てが高い演技力でこの重いテーマの映画を締まったものにしていて胸に突き刺さります。
エンドロール中の四人家族が幸せだった頃の会話が市子と母親の胸中に常にあるんだろうと思いました。
このような映画が単館でしか上映されない事が寂しいですね、シネコンも1日で一回上映でもいいので上映してほしいですね。
幸いにも私の住む街には珍しく単館系の映画を上映してくれるシネコンがあるので助かっますが。
コメントする