「カミュ「異邦人」青木理「誘蛾灯」」市子 guganさんの映画レビュー(感想・評価)
カミュ「異邦人」青木理「誘蛾灯」
市子が妹を殺す場面のセリフが印象的。「暑いな」。勿論妹の介護疲れが原因ではあるが、本当に暑いから殺したのかもしれないと思わせる演出と杉咲花さんの演技が圧巻。即座にカミュの「異邦人」を想起した。母親が気持ちを整理するために皿洗いをしながら発する「ありがとう」も鑑賞者の感情をあらゆる方向にかき乱す。
身体が「女」になりつつある市子は、複数の同級生(実際には年下の男の子)から好意をうけるのみならず、義父の性的虐待にもさらされる。滅茶苦茶美人というわけでもない(杉咲花さん失礼!)うえに、傍目には不思議ちゃんなのにやたらモテる女性というのが実際にいるのは、私(男)も経験則から何人か思い出す。青木理さんの「誘蛾灯」は、鳥取の連続不審死事件を追ったルポルタージュ。お世辞にも良い容姿に恵まれているとは言えない女性が複数の男性(主に老人)を不審死に追い込んでいくさまを、現地に何度も足を運んで取材している。本作における市子はこれを連想させる。だからこそラスト、次の戸籍を得た市子の鼻歌が「殺人鬼の狂気」にも「新たな幸せを手に入れた女神の喜び」にも聞こえる。見事というほかない。
今作を、無戸籍・DVなどの社会問題として捉えるのは単眼的である。もっと深く「人間とは何か」という根本的な視点が底流にあると思うのだ。
ささいなきっかけで殺人を起こしてしまう人間という生き物。
説明できない魅力に抗えない不可思議さを持つ人間という生き物。
これらを、映画ならではの表現方法で描ききっている「市子」。素晴らしいのひとことである。
星5つではなく4つにしたのは、完全に個人的な理由。最近見たある映画(作品名はさけるがゴジラマイナスワンである)があまりにもセリフの説明が多すぎて辟易したのだが、その直後であるからか却って「説明が少なすぎる」と思ってしまったのである。しかし本作の素晴らしさとは関係なく些末なことであり、ここまで書いたことを確かめるために2回目を見るかもしれない。傑作だと思います。
個人差のある話なので 良い悪いに関してはしょうがないですね
説明多いのも少ないのも脚本や監督次第で 好みの話だから有名ラーメン屋でみんなが美味しいって言っても自分には合わないってパターンあるからどうにもならんですから。
バトル 笑笑笑
自分は山崎監督の作品初めてだったから あのセリフと演出にパーフェクトデイズレベルで衝撃を受けて 永遠のゼロとオールウェイズをわざわざ確認の為に見ましたよ! みんな褒めてるからアレですが 自分はこの監督の作品は何を作ろうが一生観る事無いです笑
まあ邦画にありがちが大袈裟演技ですがそこに特化し過ぎてますから気にならないなら傑作ですね
感想がめちゃくちゃ面白っ
自分はパーフェクトデイズを見てセリフが少なくて何も起こらない作品なのに面白かったからゴジラと比較するって感じになりました。
ゴジラは見たものと感情を全てセリフで言うアニメみたいな手法の逆に斬新な脚本と演出なので!