「思ったよりも辛い過去」あの歌を憶えている kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
思ったよりも辛い過去
原題は「MEMORY」。エンドロールで改めて原題を見てなるほどと思えるタイトルだ。
若年性認知症で記憶をなくしてしまう男と、トラウマとも言える忘れたい記憶を持つ女の物語。序盤は結構淡々としているが、それなりに見どころがあって飽きない。認知症を患っている人はケアが必要な人とイメージしがち(実際は大なり小なりケアは必要ではあるが)だが、新しいことを始めたり、新たな恋が始まったりしてもいい。そんなことに気づかされた。2人が恋に落ちていく姿は、何かを補完し合うようにも見えるが、でもシンプルに求めあったようにも見えて微笑ましい。
正直、全て解決して終わるわけではない。むしろこの先の方が大変なことが多いかもしれない。それでもあの終わり方は悪くない。穏やかな気持ちでエンドロールを眺めることになった。プロコル・ハルムの「青い影」がソールのお気に入りという設定で結構な頻度で流れたことも影響している。とてもいい曲だし、いい使われ方だった。
シルヴィアのような目にあっている人が実際にいるのだろう。身近にそんな人が目の前にいた場合、自分はどんな言葉をかけ、どんな態度がとれるのだろうか。そんなことを考えてしまった。当然答えは出ていない。
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