「青い影」あの歌を憶えている humさんの映画レビュー(感想・評価)
青い影
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幼い自分の身体いっぱいになった怖さはその後も感覚と記憶で支配し続ける。
その罪の深さがシルヴィアにある影をもたらしていたことにソールは気づいたと思う。
それは、自身も病を持つ人生を生きている彼だからこそ。
そして彼女がようやく自分の本音を吐露できたのは、苦悩があっても自分の心に向き合いありのままに生きているソールの姿に触れ安らぐ自分をみつけることができたおかげだったか。
あの日をきっかけに年頃の娘も母を1人の人間としてみつめるようになり厳しい躾の理由がわかるとわだかまりもすっと消えた。
その成長はとても頼もしく素敵だった。
ソールが好きなプロコル・ハルムの「青い影」が劇中に
悲しく美しく響く。
だんだんとこの大好きな歌さえも思い出せなくなる日が彼には来るかも知れない。
だけど今度はシルヴィアが彼を支え、この歌がそっとそばにいてくれるのだろう。
影の切なさがあるからこそまぶしい喜びをより感じられる。
そのすべてが人生。
自分のために、どんなときも目をそらさずに
そんなふうに聞こえて来る。
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