劇場公開日 2025年2月21日

あの歌を憶えているのレビュー・感想・評価

全43件中、1~20件目を表示

4.0二人だからこそ前に進んでいける

2025年2月27日
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鑑賞方法:試写会

ミシェル・フランコ作品はいつも説明的なセリフや描写を徹底して廃し、無駄なく研ぎ澄まされた登場人物の動線や顔色などから、置かれた状況や半生を自ずと浮かび上がらせる。本作もその流れは同じ。しかしメキシコ出身の偉才がブルクリンの街角で二人の米国人俳優と共に描く今作は、これまでと何かが違う。身を切るような痛みを内包しながらも、そこにはほんの微かな希望と日のあたる場所が提示されているかのよう。さらに”記憶”という要素を用いることで男女を思いがけない手法で出会わせ、大切な関係性へと導いていく。フランコ作品ならではの傷を持つからこそ、彼らは空いた穴を埋めるために互いを抱きしめ、支え合うのだろう。記憶によって苦しめられてきたシルヴィアはソールといる時間だけは記憶から解き放たれ、毎日が新たな自分であり続けられる。そのかけがえない幸福が切実に胸に迫る。二人を祝福するプロコル・ハルムの名曲の響きも深くて優しい。

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牛津厚信

3.5「青い影」のオルガンの対位法と、記憶をめぐる男女の対比

2025年2月22日
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鑑賞方法:試写会

悲しい

「青い影」(A Whiter Shade of Pale)といえば若い頃はジョー・コッカーが熱唱するカヴァーが好きだったけれど、久しぶりにYouTubeで聴いたらあの印象的なイントロのフレーズがエレキギターメインで軽くて、今はやはりプロコル・ハルムのオリジナルのハモンドオルガンのほうが神々しくて美しく感じる。バッハの「G線上のアリア」との類似性は昔から指摘されていて、「青い影」のオルガンも左手のベースパートは二拍ずつ長調のスケールを下降、右手の主旋律は八分音符で細かく降りたり昇ったりしつつ8小節のフレーズ全体では音域が上昇する構成になっている。この下降するベースと上昇する主旋律がバッハの対位法っぽく聴こえる理由。

いきなり音楽の話を長々としてしまったけれど、映画を見終わってからふと、過去の記憶に苦しめられている女性と、現在の記憶を失って苦しんでいる男性というのも、実に対比的だなと。この男女の組み合わせはきわめて作為的で、現実にはきっとうまくいかないだろうと思いつつ、大人の寓話として二人の関係の変化を見守り、エンディングのその後に思いを馳せるべきなのかも。

ちなみに日本では映倫区分がGになっているけれど、米国ではR指定だし、十代後半で年齢制限して公開している国も多い。直接的な表現は少ないけれど、アルコール依存症、レイプ、父から娘への性的虐待の話が出てくるので、同じか近い経験で苦しんだ人や共感性の高い人が観ると、精神的にけっこうこたえるのではないか。少なくとも落ち着いた大人の恋愛映画ではないので、そのへんを留意して臨むべきかもしれない。

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高森 郁哉

3.5プロコル・ハルムの"青い影"が傷ついた男女を包み込む

2025年2月20日
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泣ける

悲しい

過去に深い心の傷を負った女性と、遠い過去の記憶しかキープできない男性が、高校の同窓会をきっかけに出会い、徐々に距離を縮めていく。時間の持つ意味がまるで正反対の2人が恋に落ち、今という時間をどうにかこうにか共有して行く。恋愛は現在、または未来を意味する人間の尊い営み、そして習性なのだ。

女性側の過去については若干既視感があるし、男性が患う若年性認知症に関しては説明不足な点はある。

でも、僕たちが住むこの社会には見た目からは想像がつかない問題を抱え、葛藤している人たちがいて、同じ時間を共有していることに、改めて気づかされる。劇中に俳優のクロースアップはほぼ皆無で、逆にロングショットが多用されているのは、他者に対する視線と距離感を意識した監督の演出なのではないかと感じた。

男性が好んで聴くプロコル・ハルムの"青い影"は伝説の名曲だ。そのメロディが過去を忘れたい女性をも優しく包み込む瞬間は、少し胸が熱くなる。

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清藤秀人

4.0タイトルなし(ネタバレ)

2025年3月8日
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鑑賞方法:映画館
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りゃんひさ

5.0凍った心が溶けていく

2025年3月7日
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鑑賞方法:映画館

予期しない出会いが、閉ざされた心に変化をもたらす  シングルマザーで辛い記憶に苦しんでいたシルヴィアが、不審な行動をするソールを見捨てなかったのは、彼女がソーシャルワーカーだったからであろうか  支援を要する人たちを援助するソーシャルワーカーだって、決して強い心を持っているわけではない  苦しい記憶や日々の生活と闘っている彼女にはソールを見捨てられない物を感じたのであろう  若年性認知症を患うソールにしても、庇護される身内が存在することは結構なことであるが、若いからこそ一方的に庇護される側の存在に追いやられることに苦しさを感じていたに違いない  映画の話だけではなく、こういった一方的に庇護される関係にある障がい者・未成年者・高齢者も、守られていることに感謝をしながらも、自分自身の人生を取り戻したい、という思いは日常のことだろう  認知症だから「カードを取り上げる」「部屋に閉じ込める」「おかしなことをしないか見張る」、家族の苦労を理解しつつも、ソールの思いもよく伝わってきた
シルヴィアの忘れたい過去に、ソールの不器用なまっすぐな思いが伝わっていく過程が、人生後半の時期にあっても瑞々しかった  それでも忘れたい過去と、直前の記憶が損なわれている病気と、2人はこれからも向き合っていかなくてはならない  それが一人で闘うのと、相手を支えながら自らも闘うのは大きな違いがある、という希望の結末でした
「青い影」もとてもよかった(3月6日 イオンシネマ和歌山 にて鑑賞)

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chikuhou

3.5思ったよりも辛い過去

2025年3月5日
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鑑賞方法:映画館

原題は「MEMORY」。エンドロールで改めて原題を見てなるほどと思えるタイトルだ。
若年性認知症で記憶をなくしてしまう男と、トラウマとも言える忘れたい記憶を持つ女の物語。序盤は結構淡々としているが、それなりに見どころがあって飽きない。認知症を患っている人はケアが必要な人とイメージしがち(実際は大なり小なりケアは必要ではあるが)だが、新しいことを始めたり、新たな恋が始まったりしてもいい。そんなことに気づかされた。2人が恋に落ちていく姿は、何かを補完し合うようにも見えるが、でもシンプルに求めあったようにも見えて微笑ましい。
正直、全て解決して終わるわけではない。むしろこの先の方が大変なことが多いかもしれない。それでもあの終わり方は悪くない。穏やかな気持ちでエンドロールを眺めることになった。プロコル・ハルムの「青い影」がソールのお気に入りという設定で結構な頻度で流れたことも影響している。とてもいい曲だし、いい使われ方だった。
シルヴィアのような目にあっている人が実際にいるのだろう。身近にそんな人が目の前にいた場合、自分はどんな言葉をかけ、どんな態度がとれるのだろうか。そんなことを考えてしまった。当然答えは出ていない。

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kenshuchu

2.5Pale

2025年3月4日
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悲しい

難しい

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いぱねま

5.0記憶の多様性の肯定

2025年3月4日
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鑑賞方法:映画館

シルヴィアとソール、ふたりが惹かれあっていく心の動き、
関係性の変化が丁寧に綴られていく。

クローズアップ少なく、引き気味で背景の含まれる様々な構図が使われていて
生活している環境、近しい人達の関係性が余白たっぷりに豊かに描かれるので、
ストーリーに劇的な展開がなくても、まったく飽きずに楽しく没入して観れた。

シルヴィアが過去のトラウマについて家族と対峙するクライマックスシーンでも
引いて固定した構図で群像として提示し、
安易な激性ではなく、関係性の描写を重視するスタンスを貫く姿勢に感心した。

登場人物の個々のエピソードについて、
結局事実はどうだったのか、不明瞭のまま終わる部分が多く一見モヤモヤするようだが、
逆にその不明瞭さが、この映画のテーマとして記憶の多様性の肯定、
記憶は事実か否か、憶えているか、正しいかどうかが全てではない、
各人個々の心の内面に残って、蓄積されているものが真実なのだ、
という主張を語っているように思え、
とかく悲劇的に描かれがちな記憶を失くすことに対して、
少し前向きな力をもらえた気がした。

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HK

3.0青い影

2025年3月3日
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hum

5.0ジェシカはいい女

2025年3月2日
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ま、それだけで十分かな😆

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マルキド花菱

4.5ミステリを含んだ人生の模索

2025年3月2日
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トラウマを抱えた女性と謎多き認知症男との触れ合い。

Mフランコの映画だからいつ何が起きるのかと常に不安が襲った。然しキャラとカメラとの一定の距離感がとても良くて、映画を堪能出来た。

配役も演技も素敵。覆る事のない家族模様と人生の中で、これからの生き方を模索する。ラストシーンも良かった。

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石岡将

4.0病んでるな、アメリカ

2025年3月1日
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ミツバチば~や

4.5ふたつの家族の物語

2025年3月1日
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泣ける

悲しい

幸せ

ソールの家族も、シルヴィアの家族も、問題を抱えながら、平和に生きようとしています。ソールの面倒をみる弟も、シルヴィアを心配する妹も、ほんとうは優しいです。
シルヴィアの母親だけ残念でしたが、彼女がのおかげで、このストーリーに深みが出ました。
全配役がピッタリで、自然でした。

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Mikikar

3.5ニューオーダーのような作品の方が向いている

2025年2月27日
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結論から言うと、
ミシェル・フランコは、
「ニューオーダー」のような、
シビルウォーよりも衝撃度の高い、
企画の切り口で勝負するような作品の方が、
向いているのではないだろうか。

本作は記憶と喪失、そして再生の難しさを描いた作品だ。

登場人物たちの感情の機微が繊細に描かれており、
キャストの演技は圧巻の一言に尽きる。

しかし、その演技があまりにもリアルであるがゆえに、
彼らの精神的な負担を強く感じてしまった。

近年、アクション映画における安全対策の重要性が認識され、
アクションコーディネーターや安全責任者の配置が一般的になっている。

また、セクシャルシーンにおけるインティマシー・コーディネーターの必要性も、まだまだ不十分ながらも広く認知されるようになった。

しかし、
精神的な負荷の高い作品におけるメンタルトレーナーの必要性は、
まだ十分に認識されているとは言えない。

本作のスタッフクレジットには、
コンプライアンス関連のスタッフはクレジットされていたが、
メンタルトレーナーの名前はなかった。

パーソナルトレーナーを付けている可能性は高いが、
これほどまでに俳優陣に精神的な負荷がかかる作品であるならば、
専門家のサポートは不可欠だろう。

そもそもの大前提として、

異なる人格を演じることは、
高度な技術と専門的な訓練を要する危険な行為、
と認識する事が必要である。

俳優たちは、
役になりきるために自身の精神を肉体を極限まで追い込む。

その過程で、心身に深刻なダメージを負う可能性もある。

ジェシカ・チャステインのタフな作品、
昨今のジュリアン・ムーアの仕事、
先日のブレイク・ライブリーの作品など、

俳優の精神的な負担が懸念される作品が少なくない。

これらのような作品を観るたびに、
シナリオや演出がキャストに過度に頼り過ぎていて、
まず俳優たちの安全を考えてしまう。

映画製作は、俳優たちの犠牲の上に成り立つものではない。

彼らが安心して演技に打ち込める環境を整えることは、
製作陣の責務である。

そのためには、メンタルトレーナーの配置を義務化するなど、
自戒も込めてより具体的な対策が必要である。

映画全体としては、
キャラクターの心情が深く掘り下げられ、
演技に感情が溢れている一方で、
現代映画製作における課題を浮き彫りにした作品でもある。

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蛇足軒妖瀬布

3.0いい話ダナー

2025年2月26日
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ふ~ん、良かったっすね。
で、感想としては終わってしまうなぁ
たまに倒れちゃうのは何か他の病気?
ベランダ的な所からは落ちた訳ではないっぽいよね。怪我して無かったし
初手ストーキングは謎のままだよなぁ
一目惚れとかにしといて欲しかった
着痩せするってのはこういう方の事を言うのねって思いました。

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みのまる

2.0面白さを全く利害で着なかった

2025年2月26日
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地味で淡々としているから、ほとんど寝ていて内容を覚えていません。

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チャーリー

3.0過去のトラウマが現代社会を映し出しているようでした。

Kさん
2025年2月26日
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過去に深く傷つき、
忘れたい記憶を抱えるシルヴィアと
若年性認知症を患い、
忘れたくない記憶を失っていくソール。

親類たちの温かさと痛さがある作品。
名曲『青い影』が対比している2人を
優しく包んでいました。

娘が良い子で頼もしい存在。
「私ならママを見捨てたりしない」
この一言でどれだけ救われたか。

ミシェル・フランコ監督作品なので
容赦ないかも…と思い、身構えましたが
意外と穏やかな印象に仕上がっていました。
余韻があるラストも好み。

人は誰もが記憶に振り回されてしまうものだと
改めて思いました。

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K

3.0J線上のアリア

2025年2月25日
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sugar bread

4.5『どう』

2025年2月25日
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映画紹介の「忘れたい記憶を抱える女と忘れたくない記憶を失っていく男が出会い、互いに支えあいながら希望を見いだしていく姿を優しいまなざしでつづったヒューマンドラマ」って凄く上手くまとめてて過不足なく伝えてくれるんだけど、大事なのはむしろ『どう』出会って、『どう』支えあうのか、ってこと。
どう考えても持続性のない関係性だが、お互いにとってお互いでなくてはならなかったのだ、ということはよく分かる。
ジェシカ・チャステインとピーター・サースガードがぎこちなく関係を築く二人を情感たっぷりに演じているし、アナ役のブルック・ティンバーさんも素晴らしかった。(本作の肝はアナだと思う…)
惜しむらくは、邦題ほどにプロコルハルムの『青い影』は重要ではなかったこと。好きとは言ってたけどね…

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ぱんちょ

4.5恋に落ちて

2025年2月25日
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鑑賞方法:映画館

2022年公開ミシェル・フランコ監督作「ニューオーダー」が、個人的年間ベストということで鑑賞

前作と作風は違うものの、家族劇というところは共通

ジェシカ・チャステインもいつもは強い女を演じることが多いが、今作では過去にトラウマをもつシングルマザー役

相手役のピーター・サースガード(セプテンバー5にも出演してた)が若くして認知症を患う男

娘、良い子スギル! オワリ

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うんこたれぞう