「ブラッドリー・クーパーがアカデミー各賞を取りに来た作品。 ★2.9」マエストロ その音楽と愛と レオンさんの映画レビュー(感想・評価)
ブラッドリー・クーパーがアカデミー各賞を取りに来た作品。 ★2.9
アカデミー7部門ノミネート作品だが、
各シーンが断片的過ぎて、全く見入ることなく終盤へ。 音楽家としての表現が僅少で、バイセクシャルな夫に嫌悪を増す妻・・。 そんな物語を期待しました?
会話シーンから突然舞台になったり、ドアの隙間から描写だったりと見せ方は工夫あるも、各シーンがあまりに日常のワンカットで、ドラマになっていないと思う。
ちと細かい指摘・・。↓
序盤のワンシーンにも強い違和感。 台詞稽古を真似るシーンでお互い顔の距離がグンと近くなる。 が、次の瞬間クーパーのタバコの煙がマリガンの顔に覆いかかる・・。
私も40歳まで煙草を吸っていたが、デート中に例え相手が喫煙者であっても、顔に煙りを吹きかけた事は一度もない。 横を向いて吐く場合がほとんど。
それは好意を持った相手に自然な配慮。
細かい事だが、リアルを追求する監督なら、絶対にしない描写。
クーパーも容姿はバースタインに似せているが、その時黙っていても心情が伝わる様な深い演技はないと感じ、アカデミー候補になるも、レミ・マレックが「ボヘミアン・ラプソディ」で主演男優を獲った時にの様な違和感が湧く。
マリガンは演技としては上手いのだが、彼女はなぜか人物的に好きになれる役をあまりやってなく感じ、損をしていると感じる。 今作の前日に見た、「アメリカン・フィクション」の家政婦役と好意を寄せる警官の二人など、わずかなシーンだけでも、見てる方が好きになれる役は多々あるのだが・・。
ほぼ再生速度を速めての視聴だったが、終盤の演奏シーンにやっと通常再生に・・。 ややオーバー気味にタクトを振るのはバースタインそのものだが、「あれっ再生速度がまだ速い・・。」 というより演奏されている曲の拍子より、クーパーのタクトが早く感じる。 演奏の終盤では早いというより拍子が合ってないぐらいに感じる。
(私は軽音楽・特に洋楽には多少詳しいが、クラシックは素人なので、このタクトの振りが拍子と合っているのか、是非演奏家の方に聞きたいものだ。)
と不満ばかりのレビューに・・。
(他の方レビューも高得点なのに、面白く感じてない場合が多い)
「監督がカリスマになりたいだけでは」や「ものまねと演技は別物」との意見もあり、的を得ていると感じた。
今年のアカデミー作品賞には、「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング」は入ってない。
なぜなら、アカデミー基準のマイノリティ要素を含んでないから。
が、私がこの1年で見た作品で、開始からの1時間を最も引き込んだ作品でした。
が、今作は再生速度を速めて、早く見終わらないかと思ったぐらい・・。
もし今作がネトフリ配信じゃなく、通常の劇場公開のみで収益を得る作品だったら赤字作品だろうと・・。
↓ネタバレ含む
終盤、マリガンが病床に苦しむシーンでやっと感情移入するかと思いかけたところで、また若い指揮者志望の黒人男性との描写に・・そしてエンド・・。
エンドロールでバーンスタイン本人がタクトを振る映像が映るが、BGMが実際に指揮している曲とは違うようだ・・。
これって本当に音楽を愛した者の映画と言えるのだろうか。
私にはブラッドリー・クーパーが顔を似せ、アカデミック要素を加味して、賞レースを獲りに来た・・その様な作品に感じてしまう。
逆にトム・クルーズは、アカデミー賞対象作とはならない作品だと百も承知で、観衆が本当に見たい物を追求する姿こそ本当のスターだと・・。
アカデミー作品賞候補がこの様な作品ばかりになっては、
日本国内では益々、洋画離れが進むのではないかと危惧する事に・・。