愛を耕すひとのレビュー・感想・評価
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苦難の果て
とても良かった。皆様も書かれてますが、私も2月時点、今年見た中でナンバーワンです。
18世紀のデンマークが舞台。
退役軍人のケーレンは、貴族の称号を得ることを目的に、気の遠くなるような荒れ地(ヒース)の開拓に着手する。しかし、土地の権力者シンケルの妨害にあって…という話。
シンケル悪質!このような権力の構図を見るにつけ、力に自惚れた者のうさばらしにしか思えない。暇なのか!拷問道具が備えてあるのが恐ろしい。あんな人間は沢山いたのだろうが、セリフにもあったように正気ではないわー。まあ、時代を表してますよね。
決して屈しないケーレン。
地道で、派手でないのが良かった。
苦労を重ねて貴族の称号を得たのもすごいが、それよりも大切なものに気づいた。
自身の心も、新たな道を切り開いていく。
人の歴史はこのような思いの繰り返しかもしれない。と同時に、広大な大地で劣悪な環境に屈しない人々に比べ、現代人がとても弱くも感じてしまった。(すぐ折れちゃう)
原題:BASTERDEN
壮大な映画でした。
素晴らしい出来映え。ストーリーが難しくないけど壮大で静かに感情を揺さぶる内容。
デ・シンケルめっ、何度も殺してやりたくなったし、こいつのお陰で面白くもあった。(笑)
最後は想像はついていたがやっぱりで、ザマーみろ!!
彼女がやってくれるとは思わなかったけど。
ヤギをやる時はやめて〜って思ったし、馬がやられた時も家畜は巻き込まないで〜って、動物を飼ってる者には観たくない場面でした。
結局、主人公は得たのか失ったのか。
最初の目的と掴んだものは変わったね。
でも皆んな幸せになれたのかな。
サクセスストーリーみたいな話しで、そこに権力争いみたいなものもあって非常に面白かった。
ヨーロッパ映画は私は苦手なんですが、この作品は凄く良かったです。
予定に入れてなかった作品ですが、seiyoさんのレビューから急遽参戦しました。有難う御座いました‼️
確かに皆さんの高評価にも大納得でした。
愛に耕された素晴らしき名作‼️
マッツ・ミケルセンが、"開拓の英雄" と呼ばれた18世紀デンマークの退役軍人を熱演した開拓ドラマ‼️シネマスコープの広大な画面に映し出されるデンマークの美しくも壮厳な大自然‼️それに加えて今作はラブ・ストーリーであり、親子愛のドラマであり、リベンジものでもあり、当時の風俗が伺い知れる偉大な歴史映画でもあります‼️主人公の退役軍人ケーレン大尉は貴族の称号を得るため、デンマークの荒れ果てた土地ヒースを開拓するという無謀な挑戦をする事に。厳しい自然の脅威だけではなく、ヒースの所有権を主張する有力者デ・シンケルが様々な妨害工作を仕掛けてくる。そんなケーレンのもとにデ・シンケルの元から逃げ出した使用人の女性アン・バーバラや、家族に見捨てられた少女アンマイ・ムスをはじめとする "愛を知らない者たち" が集まってくる・・・‼️最初はクールな軍人タイプだったケーレンが百姓となり、夫や父になっていく様を見事に演じたマッツ・ミケルセン‼️じゃがいも畑に頬ずりしながら発芽を待っている彼の表情はまるで「エデンの東」のジェームズ・ディーンみたい‼️デ・シンケルに夫を殺された後もケーレンのもとに残り、次第に愛情を深めていくアン・バーバラを、信念と力強さと美しさで体現したアマンダ・コリン‼️亡き夫の遺体に彼女がそっと触れるシーンの哀愁感‼️そしてデ・シンケルにまたがってトドメを刺し、返り血を浴びた彼女はサイコーに美しかった‼️そして素晴らしいカタルシスだった‼️肌の色が違うことで虐げられるアンマイ・ムス役のメリナ・ハグバーグちゃんの演技未経験とは思えない存在感、可愛らしさも必見‼️ケーレンを「小さなパパ」と呼ぶ彼女とケーレンの疑似親子関係は感動的‼️肌の色の違いだけで差別を受けるのは現代にも通じる差別問題の隠喩ですね‼️そんな三人をトリオにしたのも成功の要因で、三人の疑似親子関係が、この過酷な映画の内容にどこか微笑ましさを持たらしてると思います‼️そしてデ・シンケルを演じたシモネ・エンネビヤーグの冷徹で執念深い、見事なモンスター悪役ぶり‼️そしてデ・シンケルの婚約者ながら、ケーレンに惹かれるエレルを演じるクリスティン・クヤトゥ・ソープ‼️脇の扱いではあるんですが、エレルとケーレンのやりとりにも愛がありましたよね‼️そして終盤で三人の親子がバラバラになってしまう‼️入植者たちの要望でムスを手離すことになり、デ・シンケルを殺したアン・バーバラは刑務所行き‼️しかしケーレンはムスを修道院へ迎えに行き、二人での10数年の生活の末、ムスは新たなる家族を作り、ケーレンの元を旅立っていく‼️そしてラスト、貴族の称号を捨ててまでケーレンがやり遂げようとする事‼️それは命の恩人であり、奴隷刑務所へ移送されるアン・バーバラを助け出す事‼️それを決意した食事の席でのケーレンの涙ぐんだ表情‼️ホントにマッツ・ミケルセンは素敵だなぁ、カッコいいです‼️そして助け出したアン・バーバラと二人で馬に乗るケーレンを捉えたラスト・ショット‼️多分二人は追われる立場になり、悲劇が待ち受けてるのかもしれないけど、それを微塵も感じさせない幸福感あふれる二人のラスト・カット‼️貴族の称号を手に入れる事しか考えてなかった男が、愛に耕され、愛を耕した奇跡の瞬間‼️スタッフの皆さん、キャストの皆さん、お見事でした‼️
かなり暗く重苦しい物語だが、感動的な展開もあった。
北欧の不毛の荒野を開拓するだけでも困難をきわめるというのに、冷酷非道な領主の妨害まで入るというのだから、そりゃもう大変なんてもんじゃない。
暗く重苦しい物語で気が滅入る映画だったが、気に入った展開もあった。
1番気に入ったのは、途中から3人が家族になっていく所で、とても良いと思った。
また終盤、ケーレン大尉が貴族の称号と領地を捨て、バーバラと生きる事にした展開も良かった。
最後は2人が馬に乗った海辺の場面で終わって、取りあえずハッピーエンド。
マッツの表情が良い
退役軍人であるルドヴィ・ケーレン大尉が荒野の開拓に名乗りをあげ、有力者の仕打ちに遭いながらも希望を捨てずに立ち向かっていくというストーリーです。
協力を仰ぐためにタタール人に勲章を渡すシーンがありましたが、どれだけの重みがあるものなのでしょうか。そこまでしてケーレンが開拓を進めた理由は貴族の称号だけなのか…考えてしまいました。
明るい方向に向かうと思っていたけれど…違いました。民族を超えて家族同然になれたアンマイ・ムスちゃんはあっさり離れて行ってしまったけれど、幸せになっていることを願います。
鑑賞動機:ただひたすらにマッツ10割
子供の頃に、ユトランド半島の荒地を開拓する話を読んだことがある。マッツのことだったのか!(違います)
寡黙な人物ではあるものの、色々と思うところがあるのは観て取れる。矜持や野望と愛情の狭間で揺れ動くマッツ…。汗まみれ泥まみれついには血まみれのマッツ…。
悪役の小物感が強い割に、作を弄したり懐柔しようとしたり、押し引き緩急つけてくるのやらしいが、それも結局は受け手となるマッツあってこそ。マッツ以外見どころに欠けるのが難点かな。
マッツを称して「北欧の至宝」って言うけれど、全く違うと思う。マッツはさあ…「世界の至宝」でしょ?
【”不撓不屈の男、荒地と愛を開拓する。”今作は北欧の至宝マッツ・ミケルセンの喜怒哀楽を僅かな眼の動きで表現する演技の凄さと、他の俳優達の演技も見応え充分な重厚なデンマーク歴史映画の逸品である。】
■1755年。異国ドイツで大尉にまで昇進したルドヴィ・ケーレン(マッツ・ミケルセン)がデンマークに帰国し、国王の愚かしき取り巻き貴族たちに、荒地(ヒース)開拓を求め、許可される。そして、荒地開拓に成功した暁には、貴族の称号を求めるのである。
独り、荒地開拓をするケーレン。だが、そこに愚かしき領主フレデリック・シンケル(シモン・ベンネミヤーグ)の元から逃げて来た使用人夫婦や、黒い肌をした女の子アンマイ・ムスが集うのである。
◆感想
・一言で言えば、今作は重厚なるデンマーク歴史大作である。ルドヴィ・ケーレンが貧しい出自ながら、愚かしき領主フレデリック・シンケルに対し、卑下する事一切なく対等に会話する姿が、小気味よい。
彼は、偏見や差別に敢然と立ち向かって行くのである。
・器の小さいフレデリック・シンケルを演じるシモン・ベンネミヤーグの、金と地位でなんでもなるという尊大な態度と、それを軽蔑する一応婚約者のエレルを自分のものにしたいという屈託した狂的な姿を演じる様が凄い。ルドヴィ・ケーレンが開拓する国王領をあくまで自分の領地と言い張り、様々な嫌がらせを酒を呷りながら行う猜疑心と嫉妬心に駆られた姿は、胸が悪くなる。が、悪役のキャラが立っている映画は、面白いのである。
- シンケルが逃げ出した使用人夫婦の夫を捕まえ、熱湯を何度も掛けて殺害するシーンや、エレルが自分の意にならない時は、彼女の侍女を窓から突き落とすシーン。ー
・夫を殺された、且つてシンケルに乱暴されていた使用人の妻アン・バーバラ(アマンダ・コリン)が、徐々にルドヴィ・ケーレンに心を開いて行くシーンの流れの描き方も巧い。アンマイ・ムスが病気になった時に、たった一匹の山羊を殺してスープを飲ませるケーレンの姿と、それにより回復したアンマイ・ムスの姿を見たアン・バーバラ。そして、三人は”家族”になるのである。
・ケーレンがドイツから持ち帰ったジャガイモを土の質を調べて畑にした土地に生め、漸く芽が出るシーンは、希望と歓喜の瞬間である。だが、この物語はそれでは終わらない。王に認められ、開拓団がドイツから入居して来るも、執拗なフレデリック・シンケルの嫌がらせは終わらない。彼が雇った囚人たちに、家畜を殺され、それによりやって来た狼により、開拓団の女性二人が亡くなり、開拓団の男達は黒い肌をした女の子アンマイ・ムスを”不吉だ”と言い、放逐を求めるシーン。ケーレンは苦渋の選択をし、囚人たちに復讐を果たすのである。
だが、フレデリック・シンケルの配下の男は再び、やって来て止めようとしたケーレンを常に支えて来た神父アントンを撃ち殺すのである。
ー このシーンでの、アンマイ・ムスが荷車に乗せられて、孤児院に連れていかれるシーンは哀しいが、このシーンが後半に効いてくるのである。
又、神父アントンの毅然とした崇高な姿や、神父アントンの仇を打つケーレンの姿が沁みてしまうのである。-
■アン・バーバラが”もう、戻らない。”というメモを残し、再びシンケルの屋敷で働くシーン。ケーレンが囚人たちに復讐した際に、高貴な者も手に掛けたため、シンケルに捕らえられ鞭打たれ絶対絶命の時に、エレルとアン・バーバラの連係プレイによりシンケルに痺れ薬を入れたワインを飲ませ、アン・バーバラが夫の仇を取るシーンは、実に爽やかであった。だが、アン・バーバラはその為に捕らえられてしまうのである。
そして、ケーレンは孤児院に預けたアンマイ・ムスを”あの時の判断は間違いだった・・。”と詫び、再び迎えるのである。アンマイ・ムスがケーレンの胸に飛びつく様は、沁みる。
■数年後、大きくなったアンマイ・ムスは、修繕の仕事でやって来たジプシーの青年と恋に落ち、ジプシーたちと共に旅立つ。
独りになったケーレンは、何度もアン・バーバラの嘆願書を出すが、全て拒絶されている。そして、彼の元に昔から彼に便宜を図って来た男が、アン・バーバラがコペンハーゲンの過酷な刑務所に移送されることを告げると、ケーレンは漸く手にした国王からの貴族の称号を認める手紙を残し、アン・バーバラを救出し、彼女がずっと行きたがっていた海に、助けた彼女を馬に乗せて行くのである。
<今作は、北欧の至宝マッツ・ミケルセンの喜怒哀楽を僅かな眼の動きだけで表現する凄さと、他の俳優達の演技も見応え充分な、重厚なるデンマーク歴史映画の逸品なのである。>
耕されたのは主人公の心ですね。
寡黙な元軍人の主人公が意地と反骨心で不毛の荒野を耕す話だが、結局、耕されたのはその本人の心だった、ということですかね。
決意を持って復讐を成し遂げるアン・バーバラがカッコいいですね。返り血にまみれる姿はその決意を表しています。
大作で、見応えもあるよい映画です。
現代の目線から見ると主人公の動機に共感ができにくいところが、個人的にはマイナス0.5点です。とはいえ、見て損のない映画であることは確か。
良い作品だったけど結末だけモヤった
結末だけ、本当に結末だけ、主人公の動機が本当に理解できなくてモヤモヤした、、
10数年掛けたであろう野望をようやく叶えた矢先、娘(同然に育てた子)が独立して1人で孤独感に押し込まれたから、やっぱ全てを投げ捨てて自分を助けた恩人のアンを脱獄させるくだり…
なんか動機がそこだけ「1人で寂しいから」に見えて主人公が一気に自己中に見えたんだよね…
なんでこんなモヤモヤしたんだろうって自分の中で整理したくて殴り書きだけど、
1.そもそも命の恩人であるアンを助い出したいのならいつでも出来たのに、タイミングが娘が独り立ちした何年も後。その間アンはずっと投獄さてれていた。
そこは娘を一度送り出したのと同じ理由で、命の恩人を救いたいより、土地開発を優先してただろう。
2.仮に娘が独立しなかったら、アンを助けに行ったのか?
3.アンの釈放を求めた時はまだ農民扱いだから取り扱って貰えなかったけど、貴族になったのならもっと特権を使えたじゃ無いのか。(奴隷にされるタイムリミットはあっただろうけど、話を聞かされるタイミングは娘の独立前だから、そこも彼女が独立して無かったら助けに行ってないのでは)。
4.結局娘にも何も残せないよね…遊牧民?とこの先結婚したとして、貴族の称号があるならもし何かあった時も助けてやれたじゃないのか。娘の人種問題もこの先何かしら打ち当たるのだろうから、そこも貴族として助けてやれたのじゃないか。後娘が帰郷した時に誰も残ってない…
5.物語冒頭よりも更に一文無しになっててこの先アンとどうやっていくの?
6.1を踏まえてだけど、アンを助けたいの理由も見えない。「命の恩人だから」ならもっと早くに助けて、娘と家族同然に3人で暮らす世界もあった。「愛する女だから」にも見えない(貴族の娘にも気があったように読めた)。ただ「1人で寂しいから」にしか行動原理が読めなかった…
ここまでで衝動的な描写もあるけど、行動原理がしっかり読める主人公だったから、ラストだけ急に短絡的で後先何も考えてない感じがした。
1時間20分は良い映画だったのに最後の2分で全部ひっくり返された気分。
やっと手に入れた称号も何の役にも立たず、それにより命を絶たれたアンの元夫の命も報われず…
因みに実話の方は貴族になってその土地で寿命を迎えたらしい。
ただ1時間20分は本当に良い映画だったのよ。
構成も人物描写もとても丁寧で、情景と心情が上手くマッチングした撮り方してるし、各登場人物に移入出来る作りだった。
マッツが短髪でイケメンでHANNIBAL再来並みに人を家畜のように殺めて馬乗りで人をぶん殴って頭をぶたれて跪きで縛られて髪を掴まれて鞭打ちされて地下牢に物のように放り投げられて惨めに泣き叫ぶあたりも置いといて。
期待度◎鑑賞後の満足度◎ 何でも「愛」をつけりゃ良いという邦題の悪しき伝統?実はデンマーク版『修羅雪姫』とでも云いたいアナーキーでハードボイルドな歴史寓話でした。
①邦題とか、予告編とか、原作ありきとか云った先入観を引き摺って、クライマックス直前までは未開の地の開墾に初めて成功した元軍人の御苦労話かと思いきや、クライマックスからラストに至るツイストの効いた展開で、「こりゃ、“必殺仕事人”か“修羅雪姫”かい」とガラリと鑑賞後の印象が変わる或る意味トリッキーな映画。
②マッツ・ミケルセン(ミッツ・マングローブと間違えちゃう)の、ヴィトルという男の内面・喜怒哀楽・正の感情・負の感情をほぼ表情だけで演じ分けてしまう懐の深さ。
さすがデンマーク映画界の至宝と云われるだけはある役者さんではある。
ただ、彼が主役なのは、殆んどサイコパスの領主シンケルにとうとう殺されそうになるところまで。
③このヴィトルとシンケルという二人のキャラクター。両極端の様でもあり或る点では共通している様でもあり。
シンケルを憎らしく思えば思うほどヴィトルに肩入れする、という作劇上の巧みさはもとより、この二人のキャラクターとその背景を通して当時のデンマーク王国の社会構造や特権階級の傲慢さ・階級意識・差別意識等々が炙り出される。
領主のお手付きで私生児として生まれて幼少期から苦労し比較的身分差別の少ない軍隊で何とか社会の階段を25年かけて登ってきたヴィトル。(封建社会や階級社会における権力者のお手付きの話ってホント世界の何処でも、どの時代でもあるね。)
それだけ爵位を貰い貴族になり、自分の土地を持つ領主になることがヴィトルにとっては執念となっている。
そしてそれが、シンケルからの犯罪レベルの数々の妨害にも耐えて開墾し続ける動力となっている。
④他方、シンケルは領主の正式な跡取りという特権的立場に加えて生来の殆んどサイコパスな性格もあり、封建社会の特権階級の旨味を存分に味わいながら、デンマーク王国中枢から遠い土地であるため政府の目がなかなか届かない地理的優位も利用してやりたい放題。
しかし、このシンケル、口先では虚無主義者めいたことを嘯きながら、自分の特権・所有するものを侵されることを何よりも恐れ、それを守るためには殆んど病的と云える執念を見せる。
貴族・爵位・土地、と共通のものを巡って同じような執念を燃やす二人の男達。手に入れようとする、守ろうとする、と違いは有ってもコインの裏と表の様でもある。
⑤また、あくまで国王のご威光をシンケルの横暴に対する盾にし続けるだけのところが、ヴィトルも結局まだ封建社会の枠内に留まっているという限界を示している。
ジャガイモ栽培に成功(普通の偉人伝であれば此処をクライマックスにするところを通過点にして、更に主人公達をサディスティックスにいたぶる流れからして本作が単なる感動的なサクセスストーリーを目指したものではないのが分かる)したご褒美として国王の思し召しで入植してきたにも関わらず、そのドイツ人入植者達を襲って女子供を殺したシンケル一党。
デンマーク版プロジェクトXの豊饒な物語
待望のマッツ・ミケルセン主演作品でした。個人的に「アナザーラウンド」以来でしたが、またまた素晴らしい演技でした。
日本での題名は「愛を耕すひと」と上品なものですが、デンマーク語の原題「Bastarden」には、「ろくでなし」や「私生児」「非嫡出子」といった意味があるそうです。ルドヴィ・ケーレン(マッツ・ミケルセン)は貴族の私生児として生まれた設定で、原題はその境遇を端的に表しています。英題は「The Promised Land(約束の地)」で、原題・英題・邦題の異なる視点がユニークながらも、いずれも作品の本質を捉えた好題だと感じました。まあ原題を直訳した邦題にしたら、日本では敬遠されそうですが。
物語は18世紀中頃のデンマーク辺境が舞台。国王の許可を得て、不毛の地を開拓するルドヴィ・ケーレンの姿を描きます。史実を基にした小説の映画化で、開拓の苦難はデンマーク版「プロジェクトX」とも言えるかもしれません。
物語を彩るのは、地元領主デ・シンケル(シモン・ベンネビヤーグ)との対立。不毛の地ながらも国王直轄地であるこの地を横取りしようと画策するデ・シンケルに、ケーレンは敢然と立ち向かいます。ミケルセンの姿は、まるで日本映画の“健さん”的なヒーロー像を彷彿とさせました。
恋愛要素も見どころでした。デ・シンケルのところから逃散してケーレンの下で働くことになった小作人夫婦の妻アン・バーバラ(アマンダ・コリン)は、夫をデ・シンケルに惨殺され、その後もケーレンの下で働くうちに彼と結ばれます。一方、デ・シンケルの許嫁エレル(クリスティン・クヤトゥ・ソープ)もケーレンに惹かれ、複雑な三角関係が物語に人間味を添えました。2人が最初に出会った場面では、女同士のバチバチした緊張感にゾクゾクさせられました。
さらに、タタール人の娘アンマイ・ムス(メリナ・ハグバーグ)の存在も重要。ケーレンの下で働くことになったものの、地元住民の偏見や差別にさらされ、一時はケーレンもやむなく手放してしまうことに。それでも再びケーレンのところに戻り、やがて成長し伴侶を見つけます。この辺りは愛娘を嫁に出す父親像として描かれるケーレンでしたが、この出来事が”土”ではなく”愛”を耕すひとになるきっかけとなりました。
そして一番の山場は、デ・シンケルをアン・バーバラとエレルが連係して討ち取るシーン。観客の憎悪を集めた悪役が成敗される瞬間は実に爽快でした。
そんな訳で、史実を基にした緻密な物語構成や、不毛な大地の風景も味わい深く、何よりマッツ・ミケルセンの演技も素晴らしかった本作の評価は、★4.6とします。
仮に最初に邦題を見たなら... 観るのをやめた!
最初はつまらない映画だと...
大切にしたい映画には、いやらしい奴が必要でもって、彼の戦略というか、困難を切り抜けていく処世術の面白さは、"芝居サバキ" の達人、菊島 隆三もびっくり!!!
少女に対してあたかも無下にぞんざいに扱うワンシーンが「ハッ!」として、魂に響かされたり、
とにもかくにも、恥ずかしくて言えなかったけど、この映画ならと...
虚ろになったあたしの脳ミソウニに怒りという刺激と昔に忘れていた "愛" にはバレンタインデーを与えてくださって、ありがとうございました。
ドイツの飢饉を救った瘦せた土地でも力強く成長する栄養価も高いジャガイモちゃん... その素朴さはミケルセン演じるケーレン大尉のように英雄なのかもね!
ウソつきのあたしより一言
「仮に最初に邦題を見たなら... 観るのをやめた!」... なんて、端からウソですから... 何か?
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