劇場公開日 2025年2月14日

「愛を耕すひとというよりは」愛を耕すひと ihatakaeightさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0愛を耕すひとというよりは

2025年2月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

18世紀デンマーク開拓史で実在した退役軍人の活躍を描いた歴史ドラマ。

物語は主人公ケーレンの幾つかの闘いを描いている。
荒地を支配下に置きたい残虐地方領主との血みどろの闘い。荒地開墾による自然との闘い。当時の封建社会の身分・出自や偏見との闘い。家族を守る闘い。錦の御旗だけで有力な後ろ盾も無い不器用なケーレンは、いずれにもかなり苦戦するのだ。
これらの闘いがまさに怒涛のように主人公を襲い、127分尺が長く感じた程、各々の闘いが確り描かれ、お腹いっぱいになった。

ケーレンは、最初は出自を覆す為に野心に燃え、気位貴族だったが、困難に直面する度に、最初は距離を置いていた未亡人と親から見捨てられた少女とも、家族にも似た関係へ変化していく。特に少女の健気さは観る者をホッとさせる。

鑑賞後感想は、正直言うとちょっとひんやりとしている。本作は一流の歴史ドラマだが、当時の封建社会の厳しさと残虐領主のせいで、現代人目線からは救いの無い展開が、映画のエンタメ性を下げていると感じた。邦題の愛を耕すひと、というホワッとしたタイトルより、原題Bastardenの殺伐感の方が腑に落ちるかもしれない。

ihatakaeight