オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
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面白いが、観る側にとって難易度MAXの映画(予習必須)、予習なしの私の頭は追いつかず
観る側の力量を問うてる訳ではないが、それでも観る側の力量がMAXで必要な映画です。
話しが複雑とか難解だとか不思議だとかトリッキーであるとかではありません。学術用語が多用されるなどの難しさでもありません。
本作は、時代背景、政治、世界情勢、大人の愛、謀略、科学、アイシュタイン、科学、そして「映画」そのものまで、自分の持てる力量をフル回転させながら見ないと映画の全てを受け入れられないです。それらのベースが、ほぼ無い人にとっては、何を見せられたのか分からないと思います。
原爆はストーリーの軸とはなるものの、それは主ではありません。映画は題名の通り「オッペンハイマー」そのものです。かと言って彼の幼少期から死までを描くものでもありません。
映画として大変面白いのですが、私は、この映画の面白さを全て取り込めるほどには知識が足りず頭が追いつきませんでした(ちょっと私自身の見識に残念トホホ)。
よほど自身の見識に自信が無ければ、ネタバレなどを読んでフルで予習してから観ることをお勧めします。全て知ったうえで、役者の演技、脚本、カメラワーク、音楽など、本作を「映画」として楽しむのがベターではないでしょうか。
なお、監督そのものが語っているように、作り手側からの意図した明確な「メッセージ」はありません。観る側が「映画」として自由に解釈してもらえればOKなようです。
私も、改めて皆さんのネタバレや、Wikiなどを調べて、もう一回観ようかと思っています。本当に難易度MAXでした。観終わって頭が疲れました。でも面白い。
映像 ★★★★ (出だしで引き込まれる)
音 ★★★★
物語 ★★★★
役者 ★★★★
編集 ★★★★★ (3時間は長いが素晴らしい)
粗さ ★★★★ (私の見識レベルではなし)
私の能力により ★-1
総合 4.0 (難易度★★★★★ MAX)
原爆製造者の苦悩???
この映画で日本人が考えるべき事
ヒトラーの数倍邪悪なトルーマン
原爆が日本に投下され無邪気に喜ぶ米国人の無神経さ。。。
こういう人間が平気で人を虐殺するのだと思った。
映画は3時間と 冗長。
前半は 原爆を開発したオッペンへの賛美、
後半は、オッペンにスパイ容疑が掛けられ
疑惑を晴らす戦い。
トルーマンの原爆の考え方の酷さ。。。
いわく付きの作品が本国から8ヶ月遅れで ついに公開
一度は観ておけばいいんじゃないかと思います、私は2度と観たくないと思ったシーンがあるので、ノーラン作品で残念ですが、たぶん2度と観ないと思います
3時間の長尺は大して気にならず、体感もっと短く感じました
IMAXで観ましたが、たしかに画角のダイナミックさと脳天から踵に突き抜ける様な音響は凄かったけど、いつもほどの驚きは感じませんでした、直近で「デューン/砂の惑星 part two」を2連チャンで観たからかな、あっちが凄すぎたんだと思いました
これまでのノーラン作品はごっつゴツで尖りまくり、みたいに毎作衝撃を受けましたが、本作は かなり毛色が違っていて、テーマもテーマだから仕方ないですが、とても優等生な印象を受けました
本作とノーラン過去作との決定的な違いは今回ノンフィクション原作の伝記ドラマ、なので当たり前ですが、これまでの様なキテレツでファンタジックな作品とは全然違い、シリアスでリアルなド直球の“オスカー作品賞獲るだろうね”作品になっています
でもノーラン監督なので時系列行ったり来たりがあったり、キリアン・マーフィさん演じる主人公オッペンハイマーの視点はカラー、ロバート・ダウニー・Jrさんが演じるルイス・ストローズの視点はモノクロ、と意味付けされた絵面の切替もあり、ノーラン・テイストはこれでもかってぐらい堪能はできます
全般的に会話のシーンが多く、特にラスト1時間ぐらいはずっと公聴会みたいなシーンが続くので、退屈でダメな人はダメかもしれないし、馴染みのない世界で登場人物も多くワケが解らなくなっていて、つい寝落ちしてしまう人も多い気がします
キャスティングはオスカー主演男優賞を受賞したキリアン・マーフィさんの演技がさすがだったのと、その他 超豪華なアンサンブル・キャストに大満足、特に大好きな女優さんのエミリー・ブラントさんとフローレンス・ピューさん、2人ともすごく美人で毅然とした演技がメチャクチャ合ってて今回も素敵でした
フローレンスさんはデューンにも出てるので最近しょっちゅう観ててたいへん満足、しかも本作ではエマ・ストーンさんに負けず劣らずの体当たり演技で自分にとってはある意味それが一番衝撃だったかもしれません(苦笑)
最後に、
いろんな見方や考え方・感じ方もあるし、それは人それぞれなので誰かと熱く議論するつもりはありませんが、ただ自分が感じたこと・思っていることを手短かに記載だけしておきますと
広島と長崎に原爆投下し日本が降伏、戦争が集結し、多くのアメリカ人の無駄死にを防いだヒーローとしてオッペンハイマーが登壇し民衆から拍手喝采を受けるくだり、全員が立上り狂喜乱舞するシーンは正直気分が悪くなりました、たぶん生涯2度と見ないと思います
そもそもは自衛が目的で開発を始めたとはいえ、どんな理由があろうがこの開発と実行した行為を私は自分が知りうる限り人類最大の過ちだと思っています
どうせ観るならIMAX
何で日本で評価が低いのか分かった気がする
日本人が期待する内容と監督が作った作品との乖離が激しいからだ。伝えたい事が異なる。
その気持ちは分からんでも無いがこれはお門違いと言うものだ。
すいません、うまく纏まらなくて感想が不十分のままでした。
この映画はケンブリッジ大学の学生から所謂オッペンハイマー事件までの彼の半生の物語でありオッペンハイマー事件を中心に構成されている。
時に白黒映像で強調する様に。概ね大筋は時間軸で進行するが、オッペンハイマー事件の原子力委員会の秘密の?公聴会を織り交ぜた回想の様になっている。映画を見る前にオッペンハイマーの事は以前から大凡知っていたから映画について行けたが全く知らない人には苦痛な構成だったかも知れない。過去と未来を行ったり来たりしている様な錯覚さえ利用している感じだからだ。
原爆の父として有名なオッペンハイマーは実験事には弱く先生から考え事が好きなら理論物理でもやると良いと体良く?追い払われ理論物理の世界に進み今で言うブラックホールなどに思いを馳せていた。そんな頃に大学の先生として採用される。時を同じくして核分裂反応が発見される。
オッペンハイマーはそんな事は理論的にありえないと計算を出したが、実際にあちこちで再試験が行われ核分裂は起こることが分かった。つまりオッペンハイマーの理論には間違いがあったのだ。
実験をやらない理論だけの世界ではこのミスは見つけられなかった。不明を恥じたオッペンハイマーは理論と実験の検証を大事にした。
その事が後々原爆製造に繋がる事となる。
学者としてはともかく私人としては恋人や弟がアメリカ共産党に入っていたり共産党の集会に参加したり労働組合活動をしたりで当局からは危険人物の芽として睨まれる存在だった。
後のアカ狩の元だ。
そんな彼に目をつけたのが有名な原爆開発の推進者グローブス准将だ。何故厄介者のオッペンハイマーに目をつけたのかは分からないが、彼なら原爆を実際に作ってくれそうだと見ていた。グローブスはMITを出ており技術に明るい。何かを見抜いたのだろう。そしてマンハッタン計画に進む。
彼は自分の故郷とも言うべき弟の牧場があるニューメキシコのロスアラモスに秘密の開発拠点となる科学者、技術者、その家族をまとめて集める街を作って貰った。
彼は科学者として原爆を発明したわけでは無い。
プロジェクトリーダーとしてそれぞれの得意分野の科学者グループをまとめ上げ理論と実験を繰り返し原爆にたどり着く。
続く
一見では全容を把握する事は出来なかった
圧巻の180分に詰め込まれたドラマに唸る
日本人としていくつか文句を言いたくなったり、複雑な感情を持ってしまう登場人物の言動や描写があることは事実です。
しかし、本作が評伝をもとにした作品として、下手に歴史を修正したり、現代の価値観を意識したりせず、映画的な省略や演出がありながらも当時のありのままに忠実に描いていることがわかります。また、オッペンハイマー本人が必ずしも核兵器に対しポジティブな意見だけを持っているわけではないことがキチンと見て取れる作品でした。
それを踏まえた上で、見事にお話が詰め込まれた映画であったと思います。アカデミー賞の主要部門を受賞したのは納得の一作です。
トリッキーな作品構成も登場人物の多さなど、ついていけないような感覚に陥る部分はありますが、まったくの予備知識なしでもこの物語が何を伝えるもので、どういう帰結を迎えたのかを受け取ることは難しくないです。
ここは監督の流石の手腕というところでしょう。
ノーラン版「シンドラーのリスト」か?核は世界を崩壊する
原爆を作った科学者の栄光と挫折を描いた作品です。
前半は栄光パート。マンハッタン計画の責任者に抜擢され、核実験成功、原爆投下で「戦争を終わらした」「アメリカ兵を救った」として一躍時の人に。
後半は挫折パート。ある筋の企てによりヒーローが一転、赤狩りの対象に。数奇な運命に翻弄される苦悩の表情は必見です。
とにかく最初は登場人物が多く絡んできて、かつ物理の専門用語も出てくるので、なかなか入り込めません。
やはり、日本人だからか、「広島」「長崎」という言葉が出てくる後半からやっと入り込めた感じでした。
アメリカ側の原爆投下の論理が明かされ、複雑な感情になったのは私だけではないのかと思います。
主人公のアップが印象的ですが、なるべく感情は抑えて、より科学者らしく理知的に演じてました。
また、戦争中にも関わらずその描写や風景が一切出てこない演出もすごいなと感じました。
ノーラン監督が好むのは「科学」「時間」。インターステラーから、サイエンスに傾倒している作品が多いですね。
スピルバーグが「シンドラーのリスト」でアカデミー賞を狙って取ったみたいに、まさしくこの作品はノーラン版「シンドラーリスト」と言ったところでしょうか。核が世界を崩壊させる、という意味において。監督として「幅」があることを内外に見せつけ、悲願のオスカー獲得です。
正直、どんな感想が相応しいのかなかなか思いつかない作品でしたが、過去、そして、今行われている戦争、未来にも起こりうるだろう戦争も想像しながら、今一度このテーマについて考えるきっかけにはなると思います。私ももう一度観て理解を深めたいと思います。
これから観る人へ
内容は難しいため、当時の世界情勢や科学の動向などを予習することをオススメします。
第96回アカデミー賞を振り返りつつ
本作、ノンフィクションの原作を元に作られた作品ですが、私は事実について知らないことばかりか、トレーラー以上の前情報を全く入れずに挑んだ結果、(今回は)鑑賞しながら後悔。序盤こそ「それでもついていけるだろう」と高をくくっていましたが、重要な役割のキャストが結構多いのに、その人の立場すら大して説明がなく、そして人間関係も複雑ながらそここそがポイントでもあるため、もう少しこの歴史を知ってから「改めて観たい」と思う一本となりました。
もし、これからご覧になる予定の方は、せめてロバート・ダウニー・Jr.が演じる「ルイス・ストローズ(ス)」について簡単に調べておくと、より作品に入り込みやすいかもしれません。そして恐らく事実をよくご存じの方が観れば、この作品の「編集の妙」をより堪能できるのではないかと思います。
ちなみに、第96回アカデミー賞では13部門のノミネートに対しsweep(総なめ)する予想もあったなか、結果として最優秀賞は作品賞など7部門。まだ全ての候補作品を観られていませんが、本作に対してはノーラン監督がこの作品を請負うだけの覚悟と責任は感じられ、確かに受賞するだけの作品だとは思います。私にとっては正直いい気持ちのしないセリフやシーンもありましたが、逆に言えば時代が変わっても同じことを繰り返す「人の仕業」を考えると、これでもまだ(表現として)逃げているとも感じます。と言うことで、個人的には「作品賞」は他の候補にあげてほしかった気も否めません。まぁ、鉄板だったようなので、もしそうなったとしたら相当なサプライズだったのでしょうけど。。
一方、俳優賞のうち最優秀賞を逃したエミリー・ブラント(キャサリン/キティ・オッペンハイマー)は思いのほか良かったですね。前半では出演シーンも少ないですし、キャラクターの重要性が判りずらいですが、中盤以降の紆余曲折を乗り越え、他人には解らない(ロバートとの)夫婦という関係性を絶妙な表現力で演じて、特に終盤では身動きをとれない状況に対する推進力としても、効果的で重要なキャラクターを素晴らしく演じています。
それにしても、こうして作品を観終わって感じるのは、折角受賞したアカデミー賞のスピーチにおいてもう少し「メッセージ」が欲しかったかな、と。勿論、敢えて政治的な発言は控えめにしているのかもしれませんけど、受賞後の上映となった日本など「これから観る勢」に対しては、彼らのスピーチも重要な宣伝材料ですし、鑑賞して現状を考え直す意味でも「作品賞の箔」を活用しなきゃ勿体ない。
そして、ビターズ・エンドさん、配給ありがとうございました。ただ、「オッペンハイマー」で検索すると公式ページが全然出てこないのは残念です。難しい作品ですが宣伝も頑張って下さい!
プロメテウスは神から火を盗んで人間に与えた、そして、、。
二回目鑑賞。
キリアン・マーフィー演じるオッペンハイマー。
ロバート・ダウニーJr.演じるルイス・ストローズ。
戦後、二人になされた尋問(?)によって進んでいく。
最初、置いていかれそうになったが、ロスアラモスに研究者たちを集め出したあたりから、どんどん惹きつけられて、駆け足のように3時間が過ぎていった。
日本で公開されるかどうか心配していたが、原子爆弾を扱った内容であるからこそ、公開すべきだと思う。
ただしかし、実験が成功して喜んでいるところから広島に爆弾が投下されるあたりは、観ていてきついものがある。映画の出来不出来、内容と関係なく涙が出てきた。
広島や長崎、被爆者の方々は見ていられないだろうとは思う。
物理学300年の集大成が大量破壊兵器か。
科学者、軍人、政治家、皆実在の人物だろう。アメリカの俳優の層の厚さには関心させられる。みんなそれらしく見える。
アインシュタインはミスター・ローレンスだったな。久しぶりに見た。
フローレンス・ピューは裸になる必要あっただろうか。
40年近く前、バークレーのある教会では毎年8月になるとヒロシマ・メモリアル・サービスを行っていた。
日本から来ている若者ということで少しコメントさせられたそのサービスが終わると、1人の老人が近寄ってきて私の手を取って深々と頭を下げた。付き添っていた息子さんが、父はアトミック・ボンブの開発に携わっていました。父も私たち家族もずっと苦しんでいます。と語ってくれたことを思い出しました。
きっとあの老人も当時、ロスアラモスにいたんだろう。
賛否はあるだろうが、ひとりでも多くの人に観てほしい作品だと思います。
二回目鑑賞。
春休みにも関わらずイオンシネマ津南では終日一番大きなスクリーンULTIRA VIVE AUDIOで上映してくれている。
日本ではヒットしそうにないだろうし、来週には小さなスクリーンに移りそうだから、初日IMAXで観てからまだ4日しか経っていないけれど二回目の鑑賞。
初回の鑑賞ではついていくのに精一杯だったので、パンフレット読んでロバート・ダウニーJ rが演じたストローズのことや時系列、人間関係などを確認。
ストーリーがわかっていても、いやわかっているからこそか、とても面白く三時間が少しも長く感じなかった。
二回、三回と観るたびに面白さが増してくる作品だと思う。それほど良く作り込まれているんだろう。
フローレンス・ピューの裸必要あったか疑問に思ってたけど、彼女のオッピー目的で二回、三回と観に行く人がいれば、ある意味必要だったのかも。
(フローレンス・ピューのオッピーが目的ではないけど、なければ二回目観に行ってないかもしれない)
来週もまだ音響の良いスクリーンで上映していたら、また観に行くだろう。
諸行無常
徹底的な権力者への批判を根底に紡ぎ出す、人間の高潔さと矮小さ
上映時間が3時間とは思えないほど、張り詰めた緊張感のまま突っ走る作品だった。3時間もあるのに尺が足りないんじゃないかと思うほど、ロバート・オッペンハイマーという人物自身を掘り下げ、その背景にスペイン内戦から米ソ冷戦までのアメリカの空気を描き出した。
映画の主題だが、核兵器や新たなテクノロジーの危険性云々や、大量殺戮に対する罪悪感云々、反戦のメッセージなんかより、もっと何度も繰り返し映し出されていたのは「権力に奢った者に対する辛辣な批判」だったと思う。
オッペンハイマーへの機密アクセス権に関する審問会と同じくらい、ストローズの入閣を検討する上院公聴会に尺が割かれているのだが、ストローズという人物が「世界でパワーを誇示する存在」の暗喩として機能しているのだ。
その暗喩の対象とは他でもないアメリカという国家そのものであり、現在世界で無視出来ない存在とされるテック企業である。
この映画は彼らに「お前が世界の中心だなどと思うのは単なる驕りだ」という、辛辣な批判を突きつけている。
また、冒頭に書いたようにスペイン内戦から米ソ冷戦までのアメリカの空気とは、イデオロギーの熱気に半ば病のように取り憑かれた空気感でもある。それはアメリカだけでなく、この頃の世界全体がそうだったのかもしれないが、ある程度の理想に燃える若者であれば反ファシズムの共産主義者になるのが自然だった時代から、第二次世界大戦を経て、終戦後の赤狩りの時代へと「善」とされていた共産主義の立場が変わっていた時代なのだ。
それは誰が「仮想敵」とされるかで大義が変化することを意味する。
第二次世界大戦でもナチス・ドイツより先んじて原爆を開発することが是とされ、いざ敵が降伏したら行き場のなくなった兵器を使用する為に「とりあえず」日本に落とす選択が大義となったと言っても過言ではないだろう。
「とりあえず」敵にされる方はたまったものではないが、愚かな行為に突き進む人間の性に国籍や民族や宗教は関係ない。
安易な善悪二元論に陥った事のない人などいないはずだからだ。
原爆の父オッペンハイマーは、時代と言う背景の中で、時代が求める理想のために行動した。また人間は「世界全てを燃やすほどの火」を使うほど愚かではないと信じ、その使用の是非も含め他者に託すことしか許されなかった。そして時代にも人間にも裏切られたのだ。
とにかく登場人物が多く、時系列も前後するので映画を観慣れていない人にとってはかなり難度の高い作品とも言える。基本的にはオッペンハイマーの視点で構成されている映画の中で、唯一彼が登場しない部分、ロバート・ダウニー・Jr演じるストローズの視点部分だけがモノクロで撮影されているので、それを手掛かりに観ていればだいぶ理解を助けてくれるだろう。
人物の見分けについては頑張るしかないのだが、映画好きなら仰け反るほど豪華なキャストが次から次へとスクリーンに登場するので、これもまたこの映画の楽しみの1つでもある。
殆ど事前に調べなかったので、フローレンス・ピューとケネス・ブラナーが登場したあたりでは「えっ豪華すぎない?!」と驚いていたのだが、ケイシー・アフレックやラミ・マレックが出てくる頃にはもう変な方向で覚悟が決まってしまい、「Blu-rayが出たら絶対買おう」と密かに決心した。
勿論オッペンハイマーを演じたキリアン・マーフィーの代表作としても、是非何度も観返したい。
想像以上に面白く、大満足の1本である。
プロメテウスの狂気
アカデミー賞が多様性を重視するのは理解しますが
やはり超長尺の大作白人映画これぞ作品賞の直球ど真ん中作品が受賞したことに
何やら胸のつかえがとれた気がします
長尺作品ですが他国との原爆開発競争で終始貫く緊張感・疾走感により
ノンストップ怒涛の物語が展開していきます
演者のセリフと演技だけで構成され
アクションも無ければ綺麗なロケーションも無い
何ともソリッドな作品ですが正に対峙のし甲斐がある作品です
原爆については一部にユダヤ人の憎しみをナチスにぶつけるために造られたが
ドイツ降伏により日本に振り向けられたような話を聞きましたが
実際には全然そんなことは無く必然的に日本に投下されたが正しいようです
(対ナチスは連合軍として戦ったがあくまでヨーロッパの話
太平洋戦争こそが血で血を洗う殺し合いを演じたのでそりゃそうだ)
劇中のセリフは一つ一つ心に刺さるものがありどんどん引き込まれていきます
やがて彼は科学者ではなく軍人であり政治家となっていたことが象徴的に表現されますが
軍人でもなく政治家でもないことがハリー・トルーマンによって突き付けられます
そして彼のある種思い上がりだったかもしれない所業に気づき我に返ります
プロメテウスは人類に火をもたらすべきだったのか
もたらさなくても誰かが火を生み出したのかはわかりません
しかし彼は世界から戦争が無くなることを願い原爆を作ったが
それは新たな開発競争を生んだだけであることもまた認めざるを得なかったのです
ウィンストン・チャーチルのゲイリー・オールドマンが
ハリー・トルーマンを演じていて思わず吹きました
是非一人二役の作品も作ってもらいたものです
ほぼゲスト出演でしたが狡猾でいやらしいオールドマン節が炸裂していました
まず日本人には好まれない作品ですが是非劇場で挑戦対峙してみてください
重厚で得るものの多い素晴らしい作品です
深呼吸してこの評価を下す
日本人なら、この映画を見て原爆を作り、それを投下した米国人の考えを知っておくべきだ。そして、今も戦火が絶えない地球上の平和のためにも、80年という時間を超えて理解し合い、戦争と平和の意味を考えるためにも重要、見るべき作品だ――。
そういう言い方で評価しておいたほうが無難かな、と思った。でも止めておく。
米国の近現代史の知識がないと非常に分かりにくい。
先に「落下の解剖学」のレビューでも、書いたが僕は法廷劇が苦手だ。
本作も、法廷ではないが、赤狩りに巻き込まれたオッペンハイマーを追及する場面が全体の中で半分くらいはあり、まさに法廷劇の体である。
東京大空襲で10万人が、広島・長崎で20万を超える人びとが死んだ――と登場人物に語らせているし、原爆の熱戦で人が焼かれる幻影を主人公が原爆成功の称賛の熱狂の中で見るといった場面がある。
これからすれば、本作が反核、反戦をテーマにしているのは明らかである。その点は評価する。
しかし、ノーラン監督の「テネット」「ダンケルク」を映画館で見ているが、あれらと同様とにかく持って回った描写が多く、ひとりよがりなのである。
本作も、説明が圧倒的に不足している。それでも引き付けるだけの「物語」があればよいが、それは極めて希薄だと思う。
そして、3時間という尺は長い。頻尿にはつらいよ。
アインシュタインを演じているのが、なんとトム・コンティであった。「戦場のメリークリスマス」以外で彼を見るのはおそらく初めて。まだ生きていたのか、と思った。
鑑賞後、パンフレット(1200円)を購入したが、キャスト紹介の中でコンティの出演作に戦メリが入っておらず、これまたびっくり。宣伝マンは何を考えてるの?
日本の映画ファンには戦メリは欠かせないだろう。リアルタイムで見ていたら50歳は過ぎてるから、若い人は知らないか。
見た後、分かりづらく、もやもやした気分だったが、YouTube「映画の秘密マーク2」というサイトが全米公開後、今から7カ月も前に解説しており、それを見てこの映画についての評価が定まった。関心あれば、チェックしてほしい。事前に情報を入れると興ざめするけどね。
下町のシネコン、封切り初日のファーストショー、午前9時前に入った。客席には半分近くが入り、関心の高さは伺えた。
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