オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
全723件中、461~480件目を表示
今までのノーラン映画とは違うので
オッペンハイマーは本当にプロメテウスか?
オッペンハイマー(以下オッピー)の前半生、原爆開発後の人生、ストローズの閣僚審問の3つの時間軸が入り乱れ、多数の人物が登場するので、初見では詳細は理解しきれないかも。ただメッセージは明白。監督は、息子世代に希薄になった核兵器への畏れを喚起したいと語っている。
原作の表題は American Prometheus。プロメテウスは、ゼウスが取り上げた火を人類を戻すが、人類は火で文明を発展させる一方で戦争を始める。ゼウスは怒り、プロメテウスを磔にして3万年苦痛を与え続ける。人類に原爆(火)を与えたオッピーをプロメテウスに擬え、彼の後半生の不遇を罰として描いたと感じる。
しかし、オッピーは本当にプロメテウスだろうか? 1945年の原爆投下を可能したのは、明らかオッピー率いる科学者チームの成果。ただ原爆開発は、アメリカ以外にもドイツやソ連ばかりでなく、日本でも進められていた。仮りにオッピーが居なくても、数年の誤差で原爆は実用化されていた筈。罷り間違って日本が先に開発していれば、被曝国と加害国は入れ替わっていたかもしれない。
加えて、オッピーの後半生は本当に不遇だったのか? 赤狩りの煽りで国家機密には関われずとも、62歳で癌死する前年までプリンストン高等研究所の所長を勤めている。科学者としてかなり安定した要職。政府の仕事から解放された分、趣味的な研究にも時間を割けたかもしれない。
結局、原爆投下を決断したのは大統領であり、大統領に投票したのは米国民である。武器を作ったのが科学者だとしても、投下を指示した政治家や、被爆国の損害に歓喜した米市民が、オッペンハイマーに責任を押し付けている内は、核兵器の拡散は止められない。
自分の作った物に一生呪われ続ける人生…
慧眼と盲目
国会答弁みたいな茶番が延々と続く
ロバート・ダウニー・Jr演じるストローズがあなた誰ですっけ?状態だったので面白さ半減してしまった ラミ・マレックは重要な役どころだったのですね
20億ドル掛けて街造って、開発に集中って米も力の入れようがハンパない そしてあの実験立ち会った人達って被爆してるのではないかと、小動物なんかもいたのでは?とにかく実験には感心出来なかった
ブラックホールの研究してたのが意外、核は宇宙のエネルギーにも繋がってるのかな キャストはいつもの顔触れとしれっと豪華だったので、お話的にもなんとなく裏切りのサーカス思い出した ヒトラーが死んだ時点で開発止めるべきではと思ったけど、時の事情対ロシアも有ってのっぴきならない状況に、そしてついに日本が標的 相当国力弱りきった終戦間際の映画も見たので(何故か玉砕と言う)、時間の問題だったのではないかと思う、原爆が本当に抑止になったのか甚だ疑問である
作中出てきたフロイトにアインシュタイン、オッペンハイマー、テラーにユダヤ系は頭脳明晰で世界を一新させる人が多い
長かったけど、伝記にしては面白かったしマット・デイモンが久し振りにカッコ良かったので☆4。
人類史に残る凄惨な殺戮であったことは日本人としてこの映画を素直には讃えられなかった
予習と解説あって満点
凝縮された3時間
化学に善悪なし
勝利した側の論理でしかない
戦争の描き方は、勝った側と負けた側で異なってしまう。たとえ残虐なことをしていても、勝った側は勝つためには仕方なかったんだと言い訳めいたことをアピールする。原爆の父と呼ばれたオッペンハイマーを描いた本作。原爆投下を仕方なかったと言われてしまうのは少し受け入れがたい。日本での公開が延びてしまったのもある意味仕方ない。でも観てみると原爆投下を仕方なかったこととして礼賛している感じでもなかった(原爆開発の成功に湧くシーンや戦争勝利後のスピーチでの盛り上がりには引いてしまうけど)。
戦争に関わった科学者を描いた物語がたまに公開されるが共通しているのは、科学者は知的好奇心には勝てないということ。やはり本作もそうだったが、本作では科学者としての名声や嫉妬も絡まった物語となっていた。後半、法廷もののような展開になってからは俄然目が離せなくなったが、中盤までは動きが少なく観るのが意外としんどかった。時系列の転換も含めて、彼が追求されることになった流れが微妙に分かりづらい描写になっていたのが少し残念。
一方、女にだらしないとか、妻との関係とか、人間オッペンハイマーの実像はなかなか意外で面白い。原爆を開発してしまった彼の苦悩と、人柄を描いた物語としてはなかなかよかったと思う。たしかに開発した科学者ではなく、実際に使うことを決めた者こそ責められるべき。トルーマン大統領との会合で2人の立場の違いを見せたのはとても効果的だった。トルーマンめ!
原爆投下を扱う話を聞くと考えてしまうことがある。日本だから原爆を落とせたんだろうなと。オッペンハイマーがユダヤ人てあることを示すシーンもあったし。ナチスドイツに勝つためとはいえ、多くのユダヤ人を殺すことになってもドイツに原爆を落とせなかったんじゃないか。やはり複雑な感情を抱くことになった映画だった。
頻繁に入れ替わる時系列と登場人物の多さに置いてけぼりになる場面もあ...
長かった。
彼らはボタンを押した。多くの人は「優位と破滅は紙一重」と気がつかない。
ある程度は事実関係の知識は持ってたが
その程度のレベルじゃ追いつかなかった。
それでも3時間は長くは感じなかった。
できれば「ネタバレ」を気にせずに
全ての登場人物や内容を押さえておくこと。
それがこの映画を一番楽しめる方法だと思う。
ネタがバレてもカット割までは分かるまい。
全編に渡り監督は問いかける。
手にしてはいけないものの正体を。
権力者は優位に立つことが全てと思い
調査し、策略し、罠を仕掛ける。
「核爆弾」という兵器を作り上げ
名を上げ、金儲けをし、優位に立つが
それが破滅への道と気がつかない。
学者は常に新しいものに挑戦する。
没頭し、探って探って探りまくる。
敵国と競う様にソレを作り上げ
ソレが完成した途端、恐れを感じる
オッペンハイマーの気付きと
アインシュタインの顔が全て。
彼の描いた、とある破滅のシーンは
今ある核を使えば簡単に現実化する。
※
功罪を冷静に観れるか?
科学者の視点で描かれる、研究・発明の苦悩と葛藤。
小さい頃に近所で企画され、親の手を握りしめて見た原爆写真展。そして修学旅行の広島・原爆ドームで改めて実感・体感した悲劇の記憶。幼い時に受けた、あの衝撃的な日本の描写は本作には無い。
だがロスアラモスで行われた『マンハッタン計画(トリニティ実験)』、この実験で起こる事と頭の中にあるイメージが重なる瞬間。まさに息を呑むと言った表現がピッタリ合う。そして数十秒後、思い出したかの様に遅延して襲い掛かってくる現実。
原爆開発の他国間競争、そして時間との戦い。開発している科学者達とは別のベクトルで進んでいく、戦争という誰にも止められない国の暴走。
キリアン・マーフィー演じるオッペンハイマーの乏しい表情は、本人もきっとそうだったと何の疑いもなく受け入れてしまう程のハマり役だった。
本作で広島や長崎への投下描写が無かったのも、オッペンハイマーの視点からすれば納得。それでもほんの一瞬、あの酔っぱらいの嘔吐までの数シーンの描写をオッペンハイマーに絡めて入れてくれたノーラン監督に感謝。人間の想像力を最大限に活用して、あとは個々人に任せてくれた。
そして圧倒的な演技力で本作の主演を奪う程の勢いだったロバート・ダウニー・Jr.演じるストローズ。本作を観るまで知らなかった人物だったが、2つの伏線に見事にやられた。
"赤狩り"や"共産党"の予備知識だけは、鑑賞前に必要かも知れない。
何が良くて、何が悪いのか。何処に所属するとどうなるのか。この時代だからこその歴史背景がわかると、オッペンハイマーが翻弄されてしまった意味もある程度は理解出来ると思う。
(という自分も一回の鑑賞だけでは全く理解しきれませんでした(笑))
日本人の根底にある原爆被害国という意識は一旦横に置いておいて、科学者という1人の人間が戦争に翻弄される人生を擬似体験する3時間。新たな視点で原爆を考えさせられた素晴らしい作品。
ノーラン監督お得意の時間軸、カラーとモノクロで複雑に絡み合うが、絶妙な脚本で混乱一歩手前ギリギリで楽しませてくれた。何度も観たくなる傑作。
見終わったらシワシワ
割と人間ドラマだよと聞いていたがそんなことなかった。ちゃんとプロメテウス的世界を描いていたと思う。映像と主題とが、時間を操作したがるノーランの作家性と(ようやく)うまく一致したのではないか。/キリアン・マーフィもRDJもよかった。RDJに至っては、あとから「あれか!」となる始末。/善悪なんてそう簡単にはわからないこと、未来は予測可能か・コントロール可能か、ということを通して人間というもののダメさと限界を突きつけられ、それは当然こちらに残された宿題になるので、見終わったらシワシワである。
(2024.4.2追記)原爆の惨状を描いてないという批判もあり、そうかもしれないが、それを直接描かなかったのに、原爆なんかにそうそう手を出すもんじゃねえ、と思わせたのがこの映画の凄みではないか。
(2024.4.23追記)原爆の被害の惨状に関する描写についてしつこく考えていて、アジアへの軽視みたいなことも考えたんだけど、それでいうと『バービー』の方がそれを感じたんだよなあ。先のアカデミー賞受賞式でも話題に上がっていた、“そもそも視界に入ってない”みたいな意味で。
全723件中、461~480件目を表示