オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
全673件中、461~480件目を表示
「300年の物理学の成果が大量破壊兵器なのか?」 原爆の父オッペンハイマーの伝記映画。原爆を作った彼は何を思うのか?
▼感想
ノーランの大ファン、そして日本人として8ヶ月この作品を待った!
ストーリーは「何を」作って、「どこに」落とすのか分かっていたから、破滅へのカウントダウンが刻々と進んでいるように感じた。これはオッペンハイマーの人生にとっても同じことが言えたのかもしれない。
ストーリー構成は正直分かりづらかった。
ストーリーは①オッペンハイマーの聴聞会での尋問、②ストローズの公聴会、③オッペンハイマーの半生の3つが交差しながら進むが、これがかなり混乱する。
登場人物も多くて会話で名前だけが飛び交うため「これって誰のことを話しているんだっけ?」といったシーンも何度かあった。
ノーランの「テネット」のような難解さは大好物だが、このような分かりづらさは自分は否定的だ。
オッペンハイマー演じるキリアン・マーフィーの演技は素晴らしかった!自分は学校の先生に原爆を教わったが、オッペンハイマーは教わらなかった。彼の半生・人間性はキリアン・マーフィーに教えて貰った。もし自分がアカデミー主演男優賞を選べる権利を持っていても、間違いなく彼を選ぶ!
公開後に「広島・長崎の原爆の被害の描写がない」という意見もあったが、自分はオッペンハイマーの表情や言葉で十分だったのではないかと思う。
「良くも悪くも、私たちは皆オッペンハイマーの世界に生きています。」
これは、キリアン・マーフィーがアカデミー賞のスピーチで語ったことだ。自分にとってこの映画は今一度「原爆」について考えるきっかけになった。
▼印象的なシーン
核実験「トリニティ」のシーン。爆発の音も凄まじかったが、製作途中の「ジリリリリリ...」というBGMも不気味で怖かった。
無言
こうした角度から原爆を描き、人類の大失態を訴えているこの映画にただ唖然、言葉が見つからない。途方に暮れた人類の未来はこの先どうなるか、我々になす術はあるのか?
As far as human exist on the earth,
the stupid things are repeatedly conducted again and again. No one can stop it.
ちょっとつまらない
アカデミー賞でいくつも賞をとっているから鑑賞。IMAXで観た方がいいのだろうと思ってそうしたけど、特にそうでもない気がした。宇宙の星がキラキラするような映像と、うるさい程の音楽。日本人目線では原爆を作った人ということで、いい印象はないけれど、アメリカ目線ではそうではない。攻撃されて始まった戦争を終わらせてくれた人。
日本人としてアンサーの映画が必要
アカデミー作品賞を始め7部門受賞は納得しました。
原爆の父と言われたオッペンハイマーの苦悩も理解しました。
あくまでもオッペンハイマーから見たものが映画になっているので
日本が原爆を落とされた描写は描かれていません。
割り切って観ないとこの映画を評価できません。
映像、音響、役者の心情どれをとってもさすがクリストファー・ノーラン監督です。
映画としてはすごくいいモノに仕上がっています。
でも・・・日本人としては気持ちが穏やかではありません。
最終実験成功のときの歓喜・拍手は腹立たしかった。
アカデミー賞終了後に山崎監督が語った「アンサーの映画を作らないと」に
期待しています。
原爆の父
2024年3月31日
映画 #オッペンハイマー (2023年)鑑賞
ドイツに先駆けて原子爆弾を開発するためマンハッタン計画が始動し、リーダーに天才物理学者でユダヤ人のロバート・オッペンハイマーが就任する
対ドイツ戦を目的とした兵器が、対ロシアの兵器となって、その結果、広島・長崎に落とされたとは
何で公開延期したのだろう…
結果的にアカデミー賞受賞作となり、興行面ではプラスになったかもしれないけれど、原爆投下を正当化しているわけでもないし、核兵器の拡散も憂慮している。
つい先日、広島市での試写会で原爆の被害描写足りないとかいった意見を見たけど、そういう映画ではないのは観れば分かるはず。
ただし、ノーラン監督お得意?の複雑な時間軸に、説明の少ない多数の登場人物と、多少、事前知識とかノーラン慣れwがないと、少しハードルが高い作品には違いない。
エンターテイメント色が薄い3時間の映画なのに、よくヒットしたなぁとも思う。
「フォロウイング」「メメント」を思い出す編集に熱くなる
ストーリーはよくある伝記映画。
予告編とキリアン・マーフィの妖しい容姿から何やら深遠なテーマを予想していた。
だが本編を観ると、難プロジェクトの所長に担ぎ上げられた科学者が仕事と政治と人間関係に翻弄される顛末を描く、現実ベースだからしょうがないけれど、割と普通なあらすじである。
ただ業績を知るだけならwikipediaでよいので、映画代の価値はその編集にある。
・徐々に進んでいく原爆を開発した過去
・過去を粗探しされる今
・雪辱を果たす近未来の公聴会
の3つの時間軸を慌ただしく前後させ、人間関係とオッペンハイマーの価値観が徐々に変化していく様を見せるやり方は、ノーラン初期の長編「フォロウイング」「メメント」を思い出させる魅せ方だ。
初期作にもし1億ドルの予算を出せたなら、というノーランの映画作家としてのリブート作と思って観るとこんなに楽しい作品はない。キリアン・マーフィの内面が見えにくい演技は主人公の記憶が10分で消える代わりの謎解き要素ならば、ナイスな配役である。
とりあえず話題作なのでおすすめ、ノーランファンならもっとおすすめな映画だった。
原爆をこれまでと違う視点から捉えた映画
私は広島出身なので、原爆と言えば「はだしのゲン」の影響を強く受けていて、とにかく悲惨な大量虐殺兵器のイメージしかない。
日本が侵略戦争を行ったので、その結果として原爆が落とされて、そして戦争が終わったといった内容の教育を受けた気がする。
感情的に日本は悪かった。そして原爆はひどい。2度とあってはならないといった感じ。
「オッペンハイマー」では、当時原爆を開発していたのはアメリカだけではなく、ドイツやソ連も開発していたこと、そして水爆がすでに考案されていた事など知らなかった事実が描かれていて、とても興味深かった。
アインシュタインがチラホラ出てくるんですが、写真とそっくりだし、レジェンド感があってワクワクしました。
ハイゼンベルグもドラマの「ブレイキングバッド」で名前だけ知っていて、悪の科学者だと勝手に思っていたけど、量子力学の超有名人なんですね。
ある意味隠されていた歴史を知れる映画なので、そういった意味では面白いですが、映画として見るとどうだろう?
スパイ容疑で尋問を受けているシーンがとても長く、関係性の分からない人物がちらほら。
上半分黒縁メガネのライバルっぽいおじさんは一体どんな立場の人だったんだろう。。。
ドアを開けると聴衆が並んでいて、笑顔で出ていくんですが、どういう立場の人かわからないので、ドヤ顔で退場されても困るんですけど・・・という気持ちになった。
たぶん水爆実験推奨派の政治家か何かで、聴衆に受け入れられたので、反対派のオッペンハイマーに勝利したってことだと思うけど。
第二次世界大戦に参加した国の人は見ておくべき映画ですね。
IMAXで大スターたちの演技を堪能する
主役級の大スター20人による超演技合戦に完璧に圧倒され、映画の面白さに酔いしれた。
特にすごかったのはロバート・ダウニー・Jr。マーベルやホームズでヒーローごっこして大儲けしたけど、元はメソッド演技の人だから、その演技力をIMAXで観ると凄まじいリアリティさが味わえる。お気に入りのフローレンス・ピューの体当たり演技も良かったな〜。個人的には注目しているオールデン・エアエンライクがここでも光っていて、当たり役さえ貰えれば大スターになると思う。
いつものクリストファー・ノーラン凝った構成が、オッペンハイマーの人物像を多面的に捉えるいるのがすごく良かった。
少し心配なのは洋画を見慣れてない人はこの映画は理解できないかもしれない。たぶんNHKの特番を見て、この映画を観た人は???かな。原爆開発はテーマとしては3番手の扱いだからね。
でもとにかくドラマが濃い。二度三度と繰り返して何度観ても飽きないと思う。
原爆が絡むとやむを得ないと思うが、そこまで気を遣う内容ではなかった...
原爆が絡むとやむを得ないと思うが、そこまで気を遣う内容ではなかった。広島や長崎の惨事の描写はないが、原爆投下や核開発を肯定している訳ではない。
3時間の長い作品だが、長いと感じさせない濃い内容。
誠実につくられた映画だと思うが、それでも残るやるせなさ。
例えば、独立戦争の時に核兵器開発の技術があったとして、アメリカはイギリスに、またはイギリスはアメリカに原子爆弾を落としただろうか。同様に、南北戦争の時に、核兵器開発競争をしていたとしたら、南部は北部に、北部は南部に原子爆弾を落としただろうか。もっとも、落とすのは軍や政治家だとして、開発者たちはそれを肯定しただろうか。
この問い自体ナンセンスなのだが、原爆を落とされた国の人間としては、オッペンハイマーの演説に拳を突き上げて喜ぶロスアラモス研究所の皆さんに尋ねてみたいのだ。
とはいえ、原爆こそ使われてはいないが、今だってパレスチナは圧倒的に蹂躙されているし、それもイスラエル側からしたら正義なのだから、相変わらず人間の欲望と理性や、善悪というのは大いにあやふやで、個々の信念によって変わる相対的なものであり続けているということだろう。
時折の、ものすごい音圧で腹まで響く爆裂音と、映画が始まってから休むことなく続く、低音の響きが身体にまとわりつく不快感を感じながら、誠実につくられた映画だと思いながらも、やっぱり大量殺戮兵器のやるせなさについて考えてしまった。
今なお、さも当たり前で、正しいことのような顔をして語られる「核抑止論」も、核開発を進めたい者の詭弁に過ぎなかったことが描かれるが、だからといって、オッペンハイマーたちが開発をやめても、きっと遅かれ早かれ、誰かがこの兵器を完成しただろうことも想像させられた。
そして、天才的で科学的な発見発明の陰には、数多くの人々の極めて人間的な欲望と思惑が蠢いてることも。
人類が手にしてしまったこの力をどうしていけばよいのか、今も重い問いが残されていることがこの映画で改めて明らかになり、それを観た者達に投げかけられた思いだ。
決して、原爆をつくり落とした自国を弁護するような映画ではなかったことは指摘しておきたい。また、アメリカ国民にとってJFKというのは特別な存在なのだなということに気付かされ、とても興味深かった。
<追記>
私のレビューが、アメリカ批判と受け取られてしまう可能性を指摘していただいたので、少し追記したい。
「原爆を落とされた国」という書き方をしているので、アメリカと日本の二項対立のように思われるかもしれないが、そんな国と国のどっちが正しくどっちが間違えているなどというつもりは毛頭ない。(意味もない)
NHKスペシャルもリアルタイム視聴していたので、原爆開発の状況は知っているし、特攻を作戦として仕掛けるような軍部に対し、異論を唱えられない(唱えない)民衆が支えていた日本が原爆を先に開発していたら、間違いなく原爆を落としただろうと思う。
しかもアメリカは、talismanさんが、自レビューのコメント欄で指摘されていた通り、自国の若い兵士たちをなるべく死なせないという大義名分は掲げており、国のために死んでこいと若者をそそのかし、挙句にそれを今現在も美談として奉る日本の空気感の方が余程おぞましいと思っている。
その上で自分がレビューで問いたかったのは、「当時の日本人は人間として認定されていたのだろうか」「今のパレスチナの人々は、人間と思われているのだろうか」ということ。そして、「いや、だってそれには理由があって…というならば、その理由は本当に誰がどう見ても揺るぎないものなのか」ということだ。
もちろん、誰がどう見てもという絶対はなく、相対的であるのは、上記で書いた通り。その理由が力関係で決定されてしまう状況がまだまだ多いことを、とてもやるせなく思っているし、この映画を観ても思った。
つまりは、私自身は、マスとしての力関係を、現実主義といった捉え方で無自覚に肯定するのではなく、一人一人が持つべき考える力をきちんとつけて、人権に根差した公平公正な世の中を目指したいと思っているに過ぎない。だから、誰かを否定してスッキリすることには関心はなく、それよりは他山の石として、自分自身の糧にしたいと思っている。
もとレビューにも書いたが、映画自体は、「愚かな我々人間が持て余す巨大な力を、どのようにコントロールしていけばよいのか」という重い問いを、観た者全員に投げかけていると私は解釈している。
なので、矮小化された議論に巻き込まれてしまわないよう、私も気をつけたいと思う。
面白いというより
正直、途中で寝落ちした。
トリニティ実験の辺りから面白くなってくる。
これは、役者を観に行く映画。
アカデミー賞をとった人達以外の役者にも見どころがいっぱいある。
私がよかったのは、アインシュタイン役のトム・コンティのそっくり具合、ディン・デハーンのカット数は少ないけど印象に残る顔面力、出ると思ってなかったのでびっくりしたゲイリー・オールドマンなどなど。
マット・デイモンも良い意味で馴染んでいる相変わらずの良い役者ぶり。
役者の演技を堪能しにゆこう。
ノーランの過去一の熱量
冒頭にもあるが、
主観パート(核分裂(FISSION))カラー撮影
客観パート(核融合(FUSION))モノクロ撮影
という設定になっている。
物語は、アメリカ原子力委員会によるオッペンハイマーの聴聞会から始まる。ソビエト連邦との冷戦が激化していた当時、アメリカでは「赤狩り」で多くの共産主義者が取り締まりを受けたが、オッペンハイマーもソ連のスパイだと疑われていたためである。オッペンハイマーは原子爆弾の開発・製造を目的とする「マンハッタン計画」を主導し、1945年7月には人類史上初の核実験となった「トリニティ実験」を成功。翌8月、日本の広島・長崎に2発の原子爆弾が投下される。しかし、日本の惨劇を目の当たりにしたオッペンハイマーは、戦後に態度を一変させ、水素爆弾の開発に反対したことで立場が危うくなり、聴聞会が開かれ、機密保持許可を剥奪される。というのがざっくりとしたあらすじとなるが、
ストローズの公聴会(白黒)
オッペンハイマーの聴聞会
オッペンハイマーの生涯
がチャンポンで描かれ、登場人物の相関関係も分からないまま進むし、会話も独特なので、冒頭の90分で集中力が途切れてしまったが、トリニティ実験あたりから、また緊張感が高まり、聴聞会からストローズの公聴会へと怒涛のラストを迎える熱量は圧巻である。
落とした側と落とされた側で感じ方は180度異なるだろうが、故意に2度も落としたことに義憤の念を感じざるえなかった。原爆の爆発は、映画のようなあんなちっぽけな規模ではない。都市全体をキノコ雲が覆い都市が一瞬にして消え去る威力を持つものである。ただノーランは少なくとも原爆を落としたアメリカ側の倫理観はどうだったかを国民に問うているように感じるし、オッペンハイマーの苦悩———民間人を20万以上殺す兵器を開発してしまったことへの責任と原爆行使の決定権を持てないことへのやるせなさを丁寧に描いていたと思う。
オッペンハイマーが原爆をつくらなければソ連に覇権を握られていたかもしれないので、アメリカの国益を守るためにも開発はマストだったと思う。ただ原爆や水爆は人類に対してはやはり使ってはならないと改めて感じる価値ある一作であった。
またゴランソンのトラックはTENETに続き傑作続きである。
普段主役を張る役者がゴロゴロとチョイ役で出てくるのも驚きだ。
ん~~!前評判ほど難解ではなかった。編集、俳優の方たちの凄さ、かんじまくり。
日本人として、観るのを、かなり迷いました。
自称映画ファンならば、このタイミングでみておかねばとの思いがかちました。
新しい映画時代、開幕 でしょうか。
3時間はさすがに疲れましたが、ミルよりタイケンした気がします。
映画館で、IMAXでみてほしい。
天才物理学者もひとりの弱い人間。
専門用語や時代背景を理解してないととても難しい映画。
自分の研究欲求を満たそうとしただけの一人の天才物理学者だけど…利権や欲や憎悪等いろんな感情が混ざり合いより物語を複雑にしていく。また時代も前後する巧妙な演出なのでなおさらわかりにくい。
ただ、常に緊迫感満載の音響の駆使や対話の掛け合いの絶妙さは流石ノーラン監督作品だとうなずける。
原爆の父と言われたオッペンハイマーの半生映画だけど反戦や核戦争への警戒を訴えるものではなく鑑賞した全ての方が違う感情を抱く映画だろうなぁとも感じた。
オッペンハイマーという1人の天才物理学者の弱さや強欲さ等すべてをさらけ出した生き様を丁寧に深くそして鋭く描いた映画にしていると思えます。
とても素晴らしい映画を有難うございました!
是非多くの方に鑑賞頂き各々が各々の感想を持って頂きたいと思います。
金魚鉢とワイングラスに入れるビー玉が印象的
主人公が世界中の研究者と交流し成長していく時代の描写で、自分がかつて科学を学んだときの著名な科学者が出てきて、興奮した。
オッペンハイマーの内面を描いたと、セールス・コピーにはある。確かにそれはそのとおりだろうと思う。彼の心の中を表現した映像と音が印象的だったし、詳しい説明を省いて映像でストーリーを印象づけるシーンがところどころにあり、3時間の映画は飽きなかった。
しかし、オッペンハイマーが公職から追放される政治ドラマであった聴聞会のパートは判りにくかった。そこで鑑賞後にいくつかの著作を読み始めた。映画の背景につながることが少しずつ発見しでき、これも楽しい(^_^)。
正直わからなかった
アカデミー賞受賞もあって、期待大だったのですが、ずっとほとんど?でした。アインシュタイン登場で、勝手に「オッペンハイマーとアインシュタインの、原子力を軸にしての2人の対比が描かれるのかな?オッペンハイマーが選んだ道の先には苦悩があって…」なんて想像しながら見続けていましたが、最後まで掴みどころなかったです。自分の知識不足は否めませんが、映画って、興味あるなし関わらず、心動き感情が沸き、観た後しばらく思いを馳せたりするものだと…主人公にも感情移入できず、時系列も分かりづらく、とにかく入り込めなかったです。
全673件中、461~480件目を表示