オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
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ノーベル、そしてオッペンハイマーへと科学者の功罪は続く
1 原子爆弾の父と呼ばれた人物の半生を通して、科学者の本能と良心を描く人間ドラマ。
2 映画は、オッペンハイマーが中心となり原爆実験に成功する第二次世界大戦前と核利用について国家と意見対立し表舞台から消される戦後の姿が描かれる。
戦前のパートでは、オッペンハイマーの人物像と成功への歩みが描かれる。その中で彼の行動や言動は誤解を生みやすいがために、戦後自ら窮地に立たせる要因になったことが示される。核開発については、終始アメリカ側の視点で描かれている。彼は科学者の本能から成果を追い求めながら、その威力に恐れ、そして重大な結果責任を前に自らを死に神だとして悔やむ。
3 戦後のパートでは、商人から成り上がった狡猾な政治家の策略に巻き込まれる姿が描かれる。その原因は冒頭で示され、あらゆる答合わせは、終局で明らかとなる。彼の「核は国ではなく国連が管理すべき」「水爆開発はしてはならない」との主張は今日では的を得たものであるが、当時の時代の風は許さなかった。出来レースの聴聞会において、彼はかつての仲間が彼を非難する側と擁護側にわかれる姿を諦念の境地で見つめるしかなかった。
4 本作品はオッペンハイマーの科学者としての探究心と一人の人間としての苦悩と後悔が描かれた。また、核戦争による世界の破滅という戦後体制から解決されていない課題の原点も示された。彼の主張は、実現が叶わなかったが今日的なバランス感覚そのものであり、先駆的であったと言える。
5 本作品には、多くの物理学者が出てくるが、人物相関が分かりづらく、テンポが緩む所がある。加えて、戦後の聴聞会の場面が早い段階から時おり挿入され、理解が追いつかないこともあった。俳優では、顔がそっくりで主役になりきったキリアンマーフィの自然体の演技や狡猾な政治家を演じたのロバートダウニージュニアの存在感が印象に残った。
サピエンスを名乗る資格
ラスト5分から受けた衝撃があまりにも凄まじく言葉にできません。
ノーラン監督はこれまで最新の科学的知見をもとにした着想で、我々の想像力をはるかに超えた映像作品を生み出し、内容的にも興行的にも高いレベルで世に送り出すことを成し遂げてきました。当然、実際の科学者たち、とりわけ時空や重力の概念を驚異的に解き明かしてくれたアインシュタインへのリスペクトの気持ちは強いと思います。
そんなノーラン監督が、人類史にひとつの画期をもたらした科学者オッペンハイマーについて並々ならぬ関心をもったというのも十分に頷ける話です。
そんなオッペンハイマーに、本来人類が共同で負うべき倫理的哲学的な懊悩の責任の大半を負わせた社会システムに対しての大いなる疑問、大いなる問いかけをしたようにも感じました。
もちろん、これといった答えはありません。社会システムを構成している我々ひとりひとりが考えなければならない問題だし、現在も未来も進行形のまま存在するであろう人類共通の課題。
ヒト属で唯一の生き残りである「ホモ・サピエンス」…サピエンスとはラテン語で「分別のある・賢い」。
そのサピエンスたる人類が今行っていることについての大いなる問いかけ。
科学者たちが発見・発明してきた文明のツールを享受する(一部の権力者は圧倒的な力として行使する)ばかりで、倫理的な責任だけ科学者に負わせてきたのではないか。
IMAXの効果もあってか没入感が半端ではなく、天才とは程遠い私のような凡人でも、オッペンハイマーの内面に迫る映像表現を通じて、倫理的な懊悩が伝わってきます。
ノーベル賞を創設したノーベルについても思いを馳せることになりました。
「ダイナマイト王」「死の商人」などと言われることもあったノーベルは、「物理学」「生理学・医学」「化学」「文学」「平和」等を対象分野として遺言を残しました(「経済学」はノーベルの遺言には記載がなく、スゥエーデン国立銀行の働きかけで後年追加された)。
オッペンハイマーとは違った種類の成功と苦悩ではあったとしても、「我は死なり、世界の破壊者なり」に近い感情に襲われたことがあるのではないだろうか。
アメリカ映画で原爆を作った事を後悔する初の作品!
ノーラン作品の割にはめちゃくちゃ分かりやすい時系列でした🤤 日本人ならではの特殊な感情での鑑賞になる内容でここから本題に入りたいと思います。
実験の時のカウントダウンの緊迫状態からの静寂! からの爆風!
無音なのが怖いって思わせるのは中々の表現方法ですし(普通は効果音で怖がらせるので逆のやり方なんですね)あのシーンがかなり強烈でした!
ノーラン作品だけあって内容以上に映像やカット割りや編集や音響などの見所が沢山あるんだけどそこを抜きに内容のみでの鑑賞だとつまらないとは思いますね。(会話だけの作品なのにわざわざIMAXだし初の白黒IMAXのシーンの為にわざわざ開発してまで白黒でIMAX撮影するとか!ノーラン作品の合う合わないが極端になる原因だったりするんすよねー スピルバーグみたいに万人受け一切しない超変人の手法で超大作とか作るから笑)
その後のキノコ雲を見て自分は実験の成功の感動なんかあるわけないし嬉しいでも無い複雑な感情で分かってはいるけどあーあ!成功かよ!!ってなりました、ノーラン作品の中でも時系列は相変わらずバラバラだけど比較的分かりやすい内容ですが白黒とカラーの二つの時間軸とアインシュタインと会う場面と公聴会の4つの時間があったけど自分は白黒のほうが新しい時代のシーンだったりするんだけどノーランらしいなあで済む話ですね。
登場人物が多くて名前と把握が難しいからそこが今回の個人ごとの難易度の数値になって来ますね!あと編集でアカデミー賞取るのも納得なくらい時系列以上に超複雑な編集をしていて(見ていて編集よくやったなコレって思いながら見るシーンが何ヶ所もありました)凄いと思ったのとその場面に合わせて曲が恐ろしいくらい的確に入っていて(人によってはうるせえよくらいの場面もまあまあありました)作曲でアカデミー賞も納得ですし音響も相当凄くて劇場の椅子が揺れるくらいの音圧で強烈でした!(自分はノーラン作品の音響効果が100%で直撃する身体で音響効果で心拍数上がって来たりするので見て居て普通の人以上に体感レベルが高いのでUSJのアトラクションみたいに感じる得する体質なんです笑)
あと修行かよって思ったんですがセリフだらけ過ぎて字幕の切り替わりがまあまあ速くて二回くらい字幕を全部読み終わる前に次に切り変わる所があって笑ってしまいました(字幕をひたすら必死に読みに劇場に来てるような感じになっててハッキリ言って画面なんてほぼ見てませんから笑 これ後に吹き替えとかで見たらこんなシーンあったっけ?ってなると思います笑笑)
キャスティングもビックリするくらい豪華でみんなキャラ立ちしていて良かったし(マットデイモンも良かったしジョシュも良い感じのオッさんになってたしターミネーターのジョンコナーの人の尋問の時の圧迫感も良かったしアイアンマンは後半のあの感じ最高だったなあ!
とはいえオッペンの最初のイキイキした感じからの後半の病んでおじいちゃんみたいになるのも良かったです!ラミマレックも良かったですね)
アカデミーの作品賞や監督賞の受賞に関しては色々と政治的な理由を言ってる方居ますが自分はよく知らんから普通に良かったねとしかおもいませんでした。
観ても居ないで批判するやつとか居ますが決して原爆肯定作品じゃ無いしオッペンは不器用で人としてクズだけど頭の中で原爆のイメージが出来ている超人で(とはいえ結局は超優秀な科学者を見極めて集める才能があった)作った事によるリスクもある程度わかってる上で開発してるけどそれ以上に科学者としての好奇心が勝ってしまい道を踏み外すというか悪用されてしまう話ではあるんだけど(署名してないとかどこに原爆落とすのか決める会議で辞めろって発言出来るタイミングはあったのにしなかったし色々とダメな選択してる)結局後悔してるんだよねー(完成したらオッペンさんお疲れ様ですあとは軍で勝手にやるのでバイバイってのが怖いです)世界で唯一の被爆国ならではの見方が出来る訳ですし見る価値はあると思いますよ。
自分はノーラン作品はフォロウィングとメメント以外オール劇場で観ているノーラン信者(IMAX作品は全部IMAXで鑑賞)なので当然楽しめましたがインターステラーが別格に一位ですがその次のダークナイトレベルでオッペンは良かったしあのラストで色々考えさせられますし余韻が半端ないですよ!(ラスト最悪なシナリオの妄想映像で終わる時も感動でもなんでもない言葉にしようのない感情になったし)
あとIMAXの話ですがこの作品IMAXカメラで撮影されているので通常のスクリーンの4割大きい画面サイズでの撮影なので通常のスクリーンだと単純に上下が4割カットされていますので本来の撮影された絵の4割が削られるしほとんど会話で恩恵が無いから通常スクリーンでいいって言う人居ますがそんな事無いですし音響も相当凄いのでIMAXでなるべく見たほうが良いです(とはいえ近隣にIMAXスクリーンが無い人も多いからそれはしょうがないですが!)
しかしアナログ大好きノーランパイセンどうやって爆発シーンとか脳内の核融合とか撮ったん?
あとこの作品4時間くらいの内容を詰めに詰めて3時間にしてるのがビックリだし(情報量が異様に多いし登場人物アホみたいに多いのに紹介すら無いのはビックリ)
実験成功した時にみんな喜んでましたが日本人はあのシーンで1ミリ足りとも実験成功が嬉しく無いし感情が複雑で言いようがありませんね!
今回オッペンのシーンはあくまでオッペンの主観映像のみなのでオッペンの見てない場面のシーンが無いから原爆投下の場面もルール上ある訳ないんですが自分は全く問題だと思って無くて無いからダメで面白く無い理論では全くありません!
あと不謹慎な表現にはなるんですが自分は気持ちのダメージこそありましたが大量に居る登場人物で難しい会話の話だったけどそれを楽しめたって感覚はあります。
パンフレットですが見た目がめちゃくちゃ良くてジャケ買いしたくなるくらい表紙が良いし厚くて活字も多くて色々と説明とインタビューも多く載っていて買う価値ありますよ!(1200円てまあまあの値段ですね)
この作品自分は何故か相当精神的ダメージが大きくてノーラン作品好きっての含めて今のところ今年見た作品ではダントツで1番の作品です(会話だけの作品なのに体感時間90分くらいって感覚で集中して見てました)最初のアインシュタインとの会話(このシーン原爆が落ちて二年後の場面なので映画の始まりがそもそも原爆落ちた後の場面から映画が始まってますが説明無いから分かる訳無いんですよこれが)で何を言ってたかを秘密にして最後にそこで何の会話をしてたのかを見せて最後のオッペンのあの言葉で終わるとか嫌でも余韻になりますよ(ノーランて終わらせ方が天才的で厳密に言うと最後のシーンが必ずしも作品の本当のラストじゃないパターンもありますしインセプション ダークナイト メメント テネット インターステラーとかラストを見て思うんだけど1番最初にオチを決めてからストーリー作ってますよね!シナリオ考えて最後にコレにするかって考えであのオチになる訳ないですよ)
あとノーランて映画作る時に役者や製作者のみんなに色々説明するんだけど時間軸と構成が複雑過ぎて???になるらしく正にこの作品のオッペンそのものだったりするんです、結局自分を投影してるんやろな!
最後に参考までに ノーランて時間の歪め方が凄くてなんなの?って思ってたんですが小さい頃にマンガを最後から初めに読んで最後に最初にたどりつく読み方をしていて(時間の概念がそもそもおかしいです)その発想が映画に取り込まれるからこんな見た事無い構成になるんでしょうね。
最後に自分はジェームズワンちゃんとノーランパイセンは全作品ハズレ無いと思い込んでる人で自分のメインの畑はホラー映画だったりするのでノーランがホラーを作って公開されて見た時が 後悔無く死ねるタイミングになのでそれまでは絶対に頑張って生きます笑
オッペンハイマーとアインシュタインは何を夢見たか
クリストファー・ノーラン「オッペンハイマー」を観る。「アインシュタインと原爆」は戦争とファシズムを憎んだアインシュタインがなぜ原爆の開発を推進したのかという話だったけど、今作は組合運動を支援するリベラリストのオッペンハイマーがなぜ原爆を開発したのかというお話でした。
まあ、傑作だとは思うんだけど、ノーラン監督は相変わらず面倒くさく、マンハッタン計画、レッド・パージ、聴聞会のつの時間軸をいったりきたりする難解な展開で、観客は「テネットを乗り切った俺たちなら大丈夫だ」と暗黙にお互いを励ましながら観るはめになる。でも、仕方ないよね、ノーランだもんね。
「ダンケルク」が愛国的な映画だったので、ノーランがオッペンハイマーを撮ると聞いたときは、原爆投下に肯定的、あるいは仕方なかった的な作品になるんじゃないかと危惧したけど、ラストシーンでも示された様にそれは杞憂でした。ただ、オッペンハイマー自身は原爆の開発、投下対して罪悪感を持ちながらも被害を直視できない人物として描かれていて、オッペンハイマー目線の今作には広島、長崎の惨状は登場しない。その意図はわかるんだけど、やはり短いショットでも入れるべきだったと思う、それが可能なシーンはあったしね。
恐ろしい😱
成功と過ち
まずは、日本公開を実現してくれたビターズエンドに感謝🙏 原爆の父と呼ばれたオッペンハイマーの物語ということで、日本人としてはもちろん胸がえぐれるシーンもあるけど、何よりこうして映画館で、しかもIMAXで見れて心から嬉しく思います。扱っているテーマ的にもあまり下手なことは言えないけど、第一に映画とはエンターテインメントであるため、とりあえず面白いか面白くないかで判定したいと思うが、前評判通り、期待以上にめちゃくちゃ面白い映画でした。胃もたれするほどの見応えの上に、3時間あることを感じさせない技量は、流石クリストファー・ノーラン👏
半分以上は会話劇であり、知らない用語や難しい表現が常に飛び交う。作風は伝記映画ということもありこれまでとはガラリと変えてきたが、1回じゃ理解できないのはこれまたノーラン節。原爆の開発パートと共産主義の疑いを掛けられるパートを行ったり来たり。時系列の把握もかなり大変。
1回目はあまりの難解さから途中で《見る》ことに振り切ろうと思い、映像を注視していたが、理解度40%でも想像通り圧巻だった。無論、事前に予習をしているとより一層深くなることは間違いないんだけど、キリアン・マーフィを始めとした名優たちの演技、とても現実とは思えないストーリー展開、そしてIMAXによる最高級の音響に見惚れ、聞き惚れてしまうため、歴史に疎くとも正直なんら問題がないっちゃない。
オッペンハイマーの伝記映画と言いながらも、「ここまで来たら理由がなかろうとやりたい」という損切りの考えだったり、「見方を変えれば成功も失敗に映る」という物事の真理であったり、更には全体のほんのわずかを見て判断する、現代にも通用する人間の悪行といった、哲学的・心理学的に面白い場面が多い。その辺りの描き方がオッペンハイマーの人物描写と共に最高に秀逸であるために、この映画はここまで評価されているんじゃないかと勝手に妄想した。
要約すると、クリストファー・ノーラン監督はまたしても《何度観ても新たな発見》のある大傑作を生み出してしまった、とそういう訳です。公開終了するまでに完璧に理解できるか...新たな挑戦の幕開けです😁
1回目 2024年3月29日 公開初日 初回IMAXにて鑑賞
我は死神なり、世界の破壊者なり
ヒンドゥー教の聖典『バガヴァット・ギーター』からオッペンハイマーが引用した聖句。
これが若かりし頃の恋人ジータとのベッドシーンに出てくるので驚いた。
騎乗位で腰を振る彼女に「声を出して読んで」と強いられるのだが、このシーンに対して、インド政府筋から「ヒンドゥー教社会に対して戦争を仕掛けるに等しい」と指摘されているほか、右派政党のインド人民党(BIP)からは非難声明も出されている。
この聖句は、人類初の核実験トリニティ計画が成功し、現代のプロメテウスになった恐怖を実感したオッペンハイマーが思わず呟くシーンで使えば十分であり、性行為の最中に使う文句ではないだろう。制作側の意図が不明で、無神経と云われても仕方ない。
IMAXを上手く使ってますね。
原爆の父、オッペンハイマーの危うき才能
開始から壮大な音楽にあわせながらほぼダイジェストの形で滝のような情報量に襲われる。時間軸も複雑で、4つあったと思う。たぶん。
三時間の間頭をフル回転させたが、理解の追い付かない部分が多くある。自分は科学史にある程度知識があるのでなんとか大筋はつかめたが、そうでなければは厳しいかっただろう。
いやはや非常にヘビーな映画だった。
良い点で言えば、主人公がとにかく魅力的。何を考えてるかさっぱり分からないミステリアスな雰囲気と、節々の発言から垣間見える危うさに引き込まれる。
アインシュタインも出てきた。少々狙い過ぎて映画の雰囲気から明らかに一人浮いてる感はあったが、生きてるアインシュタインとは言葉にできない魅力があるものだ。感動して涙が出そうだった。
それから音楽が壮大で、終始心臓が高鳴る。
ただ、それを望んでいたわけでもないが、アメリカの原爆への姿勢の変化や、自省的な態度がみれたとは思わない。あくまで原爆は正しいというアメリカのプライドがチラ見えする。後半の凋落も、原爆への罪悪感からというよりも、世の中の無情さによるもので、そこは意外に感じる人もいるかもしれない。
とはいえ、全体的には素晴らしい映画であったことは間違いない。
三時間が余ってる人がいたらぜひ。
私の手は血塗られているbyオッペンハイマー
(なにを泣き虫男が、とトルーマン大統領は立腹!!)
作ったのはオッペンハイマーだが、投下を決断したのは
俺様だ!!とトルーマンは思ったのだ!!
広島・長崎に原爆投下が成功した祝賀会。
オッピー!!オッピー!!と熱狂するアメリカ人。
彼らの心に、業火に焼き爛れ苦しみ死んだ20万人の日本人の顔は
浮かびもしない。
それがアメリカ人の現実。
《原爆投下はこの戦争を終わらせるためだった》
この台詞は飽きるほど聞いています、
免罪符のように!!
《配色濃厚だった日本に原爆投下は本当に必要だったのだろうか?》
オッペンハイマーには原爆を投下すれば
広島で11万人。
長崎で7万人。
合計して20万人近い人が死ぬことは事前に分かっていたのです、
明確に。
オッペンハイマーは苦しみます。
焼け爛れた人々の幻影や夢にうなされます。
《プロメテウスは神に逆らって、火を盗んだ、》
その言葉が度々示されます。
大きなプロジェクト。
【マンハッタン計画】
1942年。原爆の開発・製造を目的とする計画で、
そのリーダーが物理化学者のオッペンハイマー。
ニューメキシコ州の町ロスアラモスに50万人を集めて、
20億ドルと3年の月日を掛けて原子爆弾は製造された。
そして大掛かりな最終実験がニューメキシコ州の
【トリニティ・サイト】で行われた。
大きな画面全体に火の玉の爆発と大爆音。
ここがDolbyシネマの見せ場でした。
(私の観た映画館では、IMAXではなくてDolbyシネマ上映でした)
トグロを巻く火球は溶岩の噴出のように煮えたぎっています。
そして、ためらいつつも、広島・長崎の原爆投下のゴーサインは出て、
原爆は投下されてしまいます。
【第3章】
そして戦後の1954年。
この映画のもう一つのハイライトは、
赤狩りの標的となり、聴聞会で吊し上げられるオッペンハイマー。
オッペンハイマーの視点での回想シーンはモノクロです。
妻キティー(エミリー・ブロント)は、
「どうして反撃しないのよ!!」と怒るけれどオッペンハイマーには、
そんな気力もなく俯いているばかり。
そして1959年の公聴会では
ここで鬼の首を取ったように暗躍するのがロバート・ダウニーJr.が扮する
アメリカ原子力委員会の委員長のルイス・ストローズ。
そのストローズのオッペンハイマーへの策略を追求されるシーンは
カラーで(オッペンハイマー以外の視点はカラー映像なのです)
この辺の時間経過が分かりにくく混乱しました。
ストローズのオッペンハイマーへの敵意と嫌らしさは、浮き彫りにされる。
それにしてもストローズの実物写真を見ると瓜二つです。
はじめ見たときロバートダウニーJr.とは気付きませんでした。
狡猾で人でなしでコンプレックスが強く、隙あらば人を出し抜く
そんな男。
オッペンハイマーは共産党協力者の烙印を押されて、
公職から追放されてしまいます。
(2022年に撤回される)
この小狡い男の演技でロバートはアカデミー賞助演男優賞を受賞。
そしてもちろんキリァン・マーフィーもアカデミー賞主演男優賞を
受賞します。
【まとめ】
核兵器の開発競争に各国が血眼になり、
特にナチスドイツに先を越されることを何より恐るアメリカが、
如何にして原子爆弾をオッペンハイマーをリーダーに
開発・製造に奔走して成功する過程は興味深いものではありました。
ヒトラーが自殺してドイツが降伏して、もう殆ど壊滅状態の日本への投下。
日本人の私には、
なんとか、止める手立てはなかったのか?と本当に悔しいです。
オッペンハイマーの苦しみなんか、広島・長崎の被爆者に較べたら、
おままごとのようなもの。
(確かに日本は戦争加害国ではあるけれど・・・)
そして現在の国際情勢は、ロシアとウクライナ、
イスラエルとハマスの戦争、
核で威嚇する北朝鮮・・・と予断を許さない状況です。
第二次世界大戦後、約80年。
核爆弾はその後一度も使われていません。
核の恐ろしさを日本人が身を持って伝えている事も一因でしょうか?
理性を失くした独裁者により、この世界中の叡智と努力が
無駄にならない事を願うばかりです。
「原爆の父」オッペンハイマーの半生記。
「世界を壊してしまった」
そう呟くひとりの天才科学者の功績と罪が浮かび上がり、
非常に重かったです。
物理学300年の集大成のその後
マンハッタン計画で原爆開発プロジェクトを担ったオッペンハイマーと戦後発足された原子力委員会委員ストローズの話。
オッペンハイマーの名前ぐらいは知っているけれど…という状況で観賞したけれど、時期的には戦後、公聴会で問われるオッペンハイマーや更に後にストローズが議会の公聴会で質疑を受けながら、マンハッタン計画の立ち上げからの様子を振り返ってみせている体。なのかな?
この辺の事情に詳しい人ならピンと来るのだろうけれど、いつ、なぜ、何の為に、公聴会が開かれているのかイマイチ判然としない中展開していくし、マンハッタン計画にしても、オッペンハイマーは直接開発していた訳ではなく指揮していただけなんですね。
しかも、科学的にあれやこれやの障壁があったとかいう話しではなく、人員配置がどうとか軍部との交渉がどうのとかそういうこと?
ましてや愛人云々は何のこっちゃ?
それでも原爆開発に関する部分や掌返しの評価はまだ面白さもあったとは思うけれど、公聴会でのオッペンハイマーの告解の様なやり取りとか、ストローズの発言とか、そちらがメインな感じなのにそれはいらない様な…影響は機密情報へのアクセス権に関することと出世に関わることだけだし、本心を語る必要もないし、なんせ180分ですし。
見処が違うと言われたらそれまでだけど、自分にはハマらなかった。
複雑な感覚
開発された原爆がすぐに広島と長崎に落とされて22万人もの命を奪った現実が日本人の自分の中であまりにも重く、映画でのオッペンハイマーの心情を複雑な感覚で受け止めて、少々苦しかった。
こんな恐ろしい兵器が作り出された事実を忘れないためにも、この映画は価値があると思います。
当時アインシュタインが質量はエネルギーと同じである事を発見し、ウラン235に中性子を当てると核分裂して質量が減り、または水素同士が核融合してヘリウムになる時質量が減り、その減った分の質量が桁違いの莫大なエネルギーになるという事などが物理学の分野で一斉に論じられ、ドイツなど各国がそれを爆弾に利用するために開発を進めていたことなどを事前にかじっておくと、映画の中のセリフがより理解できると思います。
レイトショーのIMAXで2回目を観ました👀
タイのチェンマイへ旅行へ行った際に本作を観て以来、2回目の鑑賞です(確かレビューを投稿したはずなんですが見当たらないので再投稿💧)。
チェンマイで観た時は当然日本語字幕が無かったので、拙い英語力と場の雰囲気で、展開をイメージして観ました。それでもエキサイトして観られました。
今回満を持して日本語字幕のIMAX‼️皆さんが仰る通り、知的な会話が本作の大半を占めるので、ついて行くのに必死でした(ギリついて行けませんでした😅)。
その中でも病的に研究に没頭する男や、彼を取り巻く女性たちや、第二次世界大戦の背景や、共産主義との対立、核爆弾を生み出したひとりの人間の苦悩はスクリーンを通して、ありありと観られました。
言わずもがなですが、IMAXで観たのは正解でした。
大画面は勿論ですが、音の迫力、オッペンハイマーの心理描写は今まで体感した事のない得体の知れない恐怖を感じました。
マンハッタン計画、トリニティ実験のシーンの後には聴聞会のシーンが待っています。何人も証人が出て、合間にはストローズのシーンも挿入されるので、頭がこんがらがりそうになりますが、集中して観るとシーンの端々にグッと来るシーンや、ゾクっとするシーンが紛れています。是非お見逃しなく👀
この作品はアメリカ人作家原作(American Prometheus)の伝記を、イギリス人監督(Christopher Nolan)がメガホンを取り撮影した映画なので、日本人から見て腑に落ちない所もあるでしょう。
日本人から見た原爆も、アメリカ人から見た原爆も、確かな原爆です。様々な視点から恐ろしい科学兵器を見て考え、学ぶ事は人類にとって有益だと思います。
この作品は日本人にこそ観ていただきたい映画です。
原爆を落とすよりも議論を戦わせる方が、よっぽど平和で生産的です。
是非IMAXでご覧下さい!少し長いですが損はさせません👍
4つの時間軸を操るノーランらしさは堪能できるものの、オッペンハイマー同様、核の悲惨さから目を逸らしているようにも感じられる
何を考えているのかよく分からないようなキリアン・マーフィーのキャラクターが、オッペンハイマーの複雑な人間性にマッチしていて、正面からのアップを多用して、それに迫ろうとするかのような映像には引き込まれる。
ただし、オッペンハイマーの聴聞会と、彼を行政機関から追いやったストローズの公聴会が同時並行で進行し、しかも、それぞれの会での証言が回想形式で描かれるため、4つの時系列を頭の中で再構成しなければならず、話の流れをすんなりとは理解することができなかった。
物語の前半は、オッペンハイマーの女性遍歴や共産主義との関係性、あるいはナチス・ドイツやソ連への情報漏洩の疑いなどが大きく取り上げられて、彼がどうして原爆の開発にのめり込んだのかといったことは、比較的さらりとしか描かれない。
それでも、「自分が原爆を開発しなくても、いずれナチスが開発するはずで、それだったら、先に自分たちが開発した方がいい」という考え方からは、科学技術と戦争との切っても切れない関係性について考えさせられた。
開発した原爆を実験で爆発させるシーンは、この映画の最大の見どころといっていいだろうが、緊迫感と爆発の規模は伝わってくるものの、「恐怖」を感じることができなかったのは物足りないし、実験に成功した後の関係者たちの狂喜乱舞ぶりには、日本人として、やはり違和感を覚えざるを得なかった。
ただ、物語の後半は、原爆を開発したことによるオッペンハイマーの苦悩と葛藤が描かれることになり、広島への原爆投下後のオッペンハイマーの演説で、歓喜に沸く聴衆が、原爆の閃光で焼けただれ、苦悶し、嘆き悲しんでいるように見える描写からは、核の恐怖を描こうという意欲を感じ取ることができる。
その一方で、オッペンハイマーの経験したことが語られる以上、広島や長崎の惨状が描かれないのは致し方ないにしても、被爆者の状況を説明していると思われるシーンで、そのためのスライド画面は映さずに、そこから目を背けるオッペンハイマーの姿だけが描かれるところを見ると、彼と同じく、この映画も、原爆の悲惨さを直視することを避けているように思えてならない。
何よりも、オッペンハイマーの罪悪感や悔恨の念が、「広島」や「長崎」に向けられたものではなく、「人類を滅亡させ得る兵器を開発してしまった」という思いに由来しているという描き方には、どうしても、釈然としないものを感じてしまうのである。
揺さぶられ、揺れ続ける。
終始うるさい音楽が流れて非常に苦痛で疲れる
だいぶ前から海外で注目されていたので公開初日に鑑賞。
結論から言うと、ずっと音がうるさすぎる。
音楽がいいとか事前に絶賛されていたが、逆にこれほどまで耳が苦痛な映画もないだろう。
ずっとやたらうるさい張り詰めたBGMが流れていて内容に集中できたもんじゃない。
終始うるさすぎる。
そしてところどころ心臓に響くバカみたいな音量の爆発音が鳴り響くもんだから、頭がおかしくなりそうだった。
映画ってこんなにもBGMがうるさいものだったかな?と疑問に思った。
それに加えて、ストーリー的に初老の既婚おじさんの不倫シーンなどなくてもよかったのにあれは必要だったのだろうか?
いろんな無駄な情報が邪魔して肝心の内容はいまいち入ってこなかった。
そして睡眠は確実にとってからの鑑賞をおすすめする。
内容をきちんと追っていこうと話を真剣に聞いていたら眠ってしまい何十分か意識がなかった。
よくあんなうるさい映画の中で寝られたものだ。
音響のせいでめちゃくちゃ疲れたわけだが
戦争というものは、人間というものは、いつまでたっても愚かなものだというのは再認識させられた。
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